フジテレビ系クイズ番組『超逆境クイズバトル!!99人の壁』(毎週土曜19:00~)が、放送開始して2年、レギュラー化して1年が経った。チャレンジャーが自分の得意ジャンルのクイズで壁となる99人と対決し、全問正解すれば賞金100万円が獲得できるという斬新なルールで、“クイズ格闘場”と化した収録スタジオは、毎回熱気にあふれている。
この番組で初めてMCを務めている俳優の佐藤二朗だが、彼が本番中に「千葉!」と何度も呼びかける相手が、入社2年目で同番組を企画し、演出を担当するフジテレビの千葉悠矢ディレクター。番組スタート時は、それぞれMCと演出の“ルーキー同士”と言っていた2人に、これまでを振り返ってもらった――。
■1つの企画に安住しない
――二朗さんのMCもすっかり定着しましたが、これまでを振り返ってみて、いかがですか?
佐藤:オファーが来たとき、俺がMCなんてできるわけないと思ってお断りしようと思ったんですけど、企画書が「あなたしかいないんだ!」という非常に熱いものだったので、会うだけ会おうと思ったのが運の尽きで…。そしたら、当時入社2年目の千葉が社内コンペで優勝した企画で、演出もやって、先輩がみんな全力でサポートする言われてですね、どうせ1回だけだし、大みそかだし、お祭り気分でやろうかということでお受けしたら、あっという間にこういうふうになってしまいまして。さすがにレギュラー化のときは妻に「どう思う?」って相談したんですけど、「言っちゃ悪いけど、長く続く番組じゃないと思うから、まあ与えられた期間を誠心誠意やれば?」と言われまして、それをスタッフに言ったらみんな爆笑してましたけど。でも、相変わらずMCをやるという気持ちはあまりなく、“クイズ格闘場の主宰者”を演じているつもりでやってます。
――番組がスタートしたとき、二朗さんはMC、千葉さんは演出で“ルーキー同士”と言っていましたが、その気持ちは変わらないですか?
佐藤:変わらずじゃないですかね。
千葉:僕も全然変わらないですね。レギュラーになってまだ1年しかたってないですし、全然知らないことばかりで、二朗さんに助けられながらやってるという感じはずっと同じです。
佐藤:いや助けるなんて全然! 千葉は僕の半分の年齢ですけど、心の中ではお父さんだと思ってますので、非常に依存してるんですよ。千葉からのたった1つの要望は「番組に慣れないでください」なので、相変わらず進行も随所に滞りながら、不慣れな感じでやっております。
千葉:でも、二朗さんは何回もやったクイズは進行を覚え始めてテキパキ仕切り出したり、演者さんへの振り方とかも徐々に初期とは違ってきて、これはマズいなと思ってるので、その分収録前の打ち合わせが雑になっていくということが起こっています(笑)
佐藤:もうですね、最初のうちは打ち合わせでわりと丁寧に教えてくれていたのに、今日の収録なんか新しい企画なのに「まあ収録中に把握してくれればいいです」って言われて、なんちゅうことだよ! でも、千葉はああ言ってくれますけど、全然進行はうまくなんかなってないですよ。本番中に段取りが分からなくなることは本当に度々ありますし。
――いろいろ新ルールも導入されて、番組が進化している部分を感じます。
佐藤:一風変わったクイズ番組にしたいという思いがあるみたいで、毎回毎回安住せず、どんどん新しい企画をやるので、慣れさせてくれないから毎回進行が滞るんです。でも、安住しないのはいいなと思いますけどね。
千葉:意図的に企画を変えているという狙いもあります。決まった形ができ上がった番組でもないので、ルールをちょこちょこ変えてみたり、この前は全員動物のジャンルでやってみたり、今回(11月9日放送)は壁が全員東大生で小学生がチャレンジャーになってみたり。それが常にどうなるのか分からないという状況で、いろいろ試してみてるんです。
■毎回返しがホームランの小学生
――回数を重ねていくうちに常連になった参加者から名物キャラクターも生まれてきましたよね。参加者同士も知り合いになって、アットホームな雰囲気も伝わってきます。
佐藤:みんな友達になって、LINE交換して旅行に行ったり、遊びに行ったり、飲んだりしてるみたいですね。カメラが回ってないところで仲良くなっていて、そんな話を聞くと癒やしになります。でも、初めて『99人の壁』に参加する方もいて、そういう人が置いてけぼりに感じちゃうのも嫌なので、どんどん新しい企画をやって初めて参加する人も増えてほしいですね。
千葉:そうですね。新しく注目を浴びる人を毎回毎回出せるのが理想ですね。
――そんな中で、これまでの出場者で特に印象に残っている人を挙げるとすると、どなたになりますか?
佐藤:いやぁ難しいなあ~。もうありとあらゆる人がいますからね。でも、ジャンル「佐藤二朗」で来てくれる(住田)真綾(まあや)ちゃんですかね。どんな問題が出るのか、どうしても知りたいので、彼女にはまたぜひ来てほしいですね。
千葉:僕はやっぱり栗原叶(かなう)くんですね。最初は「京浜急行」に詳しい男の子だということで出てもらったんですけど、本番中、僕の真後ろの南の壁の最前列にいて、ずっとドス・ドス・ドスってセットを蹴る音がするんですよ。これは本物の暴れん坊型の少年を連れてきてしまって、いつかトラブルが起きて収録がてんやわんやになってしまうんじゃないか…ってちょっと不安だったんですけど、二朗さんと絡んでいると毎回返しがホームランなんですよ。年齢を聞いたら「放送日に限っては10歳になってます」とか言ったり(笑)
佐藤:小学生が何に気をつかってんだっていう話だよ!(笑)
千葉:ほかにも、「アフリカの音楽」というジャンルで、写真に出たアフリカの太鼓みたいな楽器の名前を答える問題で、自信満々に「太鼓!」って言ったり(笑)。これはすごい子が来たなという感じがありましたね。
――以前、千葉さんにインタビューした際、二朗さんと子供の化学反応が面白いという話をされていたのですが、二朗さん自身、子供との掛け合いは特に意識されているんですか?
佐藤:いや、僕は大人と同じようにしてるつもりなんだけど…。僕は精神年齢8歳の50歳児なので、相手が子供だから特別こうしようとは考えてないんですよ。でも、子供も大人もそうなんですけど、5ステージ勝ち抜くうちに100万円はどうでもよくなって、とにかく自分の好きなジャンルの問題にたくさん答えたい、みんなと戦いたいっていう感じがあるから面白いんですよね。