チームで働くことで、自分のスキルが伸びる・広がる

――我妻さんは専門性を持っていないことを心配されていましたが、実際にフリーランスとして働き始めて、その不安は払しょくされましたか?

会社員時代に培ったスキルを生かせば、お役に立てる場面はけっこうあるなと感じています。例えば、業務の進行管理や業務のフロー作りといったスキルは、中小の企業では非常に重宝されます。大手と違い、煩雑になっている業務内容を整理するところまでなかなか手が回っていないことも多いので。

また、業務フローを組み立てていく中で、この業務は外注した方が楽になるのではと気づくこともあります。そうして仕事を切り出していくと、ナラティブベースのフリーランスのメンバーに新たな仕事をおろしていけるので、やりがいにもつながっていますね。

――こういった周辺業務って、チームで仕事を請け負うからこそ生まれる仕事ですし、それによってチームに新たな仕事を生み出せるのも素晴らしいですね

会社員時代に培ってきたスキルを生かせるのに加え、これまでとは違うスキルを身につけることができるのも、チームで仕事をする良さですよ。例えば私、ライター経験はないのですが、チームの中でライティングを担っている人の仕事を見て、執筆・編集のノウハウが身につくこともあります。

チームの中でスキルを補い合ったり、育てあったりできるのも魅力です。

――スキルを伸ばすだけでなく、広げることもできているのですね

会社員時代に比べると仕事の幅は広がったと感じますね。自分のスキルを直接提供したり、チームをマネジメントしたり、これまで営業経験はなかったけれども営業的な要素のある仕事にチャレンジしてみたり……会社にいたら、もしかしたら一生できなかったかもしれない仕事ができているので、それは強みになっていると思います。

それからもともと趣味だったカメラも、仕事にすることができました。会社員では副業として取り組むのも、難しかったかもしれません。今は平日に撮影を入れることもできるので、柔軟に対応できます。

――仕事の仕方も変わってきそうです

会社員時代は「評価」を念頭に置いて働いていました。しかし今は評価制度があるわけではなく、お客様に対してどういう価値を提供できるのかが全てです。そのため、自分で商売をしている感覚が持てるようになったなと思います。

また、よりお客様に対して真摯に向き合えるようになりました。他者からの評価に縛られなくなったことで、精神的にもすごく自由になったと感じています。

会社員を卒業後、生活の変化は?

――フリーランスになってから、きっと生活も大きく変わりましたよね

そうですね、毎日毎日全然違う働き方をしています。その日の予定によってお客様とアポがあれば外出したり、アポのない日は1日家で作業をしてオンラインで会議をしたり。

子どもとの時間に加えて、美容室に行ったり映画を観たり、自分の時間も持てるようになりました。まさに、会社員を辞める前に私が望んでいた生活です。

  • 我妻さんの1日(我妻さんのnoteより引用)

    我妻さんの1日(我妻さんのnoteより引用)

――自分で仕事の進行を管理しないといけないという点では、モチベーションの維持が難しそうな印象もあります

時に怠惰になってしまい、会社員であれば否が応でも出勤して仕事に集中できるのになと思うことはあります。ただそういった管理の大変さはありながらも、今の自由な生活と天秤にかけると、フリーランスとして働くことはメリットの方が大きいと感じています。

――仕事量や収入の面で変化はありましたか?

会社を辞めた直後は、会社員時代の半分以下の稼働時間でスタートしたと思います。子どもの成長と共に仕事量を徐々に増やしていて、今は当時と同じくらいになりつつあるのかな、という感じです。

収入面についても、「最低限いくらくらいは稼ぎたい」といった希望を代表に相談できるので、ありがたいですね。

フリーランスになりたい人へ

――収入が不安定だったり、仕事があるか心配だったり、フリーランスとして働いていると、不安な気持ちになることはありますか?

不安か不安じゃないかで言えば、よく考えたら不安です。でも、ベースとして「不安なのは当たり前」というところからスタートしているので、常に不安だ不安だと思っているわけではありません。今できることに集中して取り組んでいる感じです。

会社員を辞めるかどうか悩んだときに、「不安っていうのは、大前提でしょ?」と言ってくれたフリーランスの友達がいて、その言葉が大きいですね。

今の時代、会社員だって仕事がなくなるかもしれない。職場環境が悪化して今いる会社を辞めたくなったり、仕事を続けられなくなったりする可能性は、誰にだってある。会社員であれば不安を感じにくいだけで、みんな不安なんだと。

不安を感じにくい生活と、自分が実現したいライフスタイルを比較したら、後者の方が欲しいと思ったので、私はフリーランスになることを決めました。

――フリーランスになるか悩んでいる方たちにとって、勇気のもらえる言葉ですね

自分の理想の生活を実現するために、フリーランスになりたいと考えている方がいたら「自分には無理だ」って思わないでほしいと思っています。私も実際、無理かもしれないと思いながら始めてみましたが、今はチームという場であれば、できることがいっぱいあるんだなって思えているので。

今の時代、フリーランスとして働いてみて合わないなと思ったときに、会社員に戻ることもそんなに難しくありません。フリーランスになることのハードルを高めずに、チャレンジしてみてほしいですね。