職場いじめのきっかけは"嫉妬"が大多数
このような悪質ないじめ行為を受けるようになったきっかけは一体何だったのか。聞いてみると、もっとも多くみられたのが"嫉妬"絡みの回答。「早く出世したことへの妬み」「男性社員と仲良く話しているのを見られて」「評価が人よりよかったから」など、さまざまな嫉妬心がきっかけと感じている人が多かった。また、次いで多かったのは「わからない」「不明」といった答え。ほかにも「上司のきまぐれ」「仕事でミスをした」「遅刻してから」「上司や会社の意見に反対した」などの理由も多くみられた。
「わからない」を除くと、ほとんどの回答に共通するのは良くも悪くも"職場の中で目立った"ということが言える。個々の意見や発想が尊重されつつある現代社会の風潮に相反して、"他の人と違う行動をとった"、"違う考えをもっている"といったことがいじめのきっかけになりやすいようだ。
いじめを受けても"我慢した"が約半数
日々の暴言や嫌がらせなどのいじめ行為は、到底我慢ならないものばかりだが、「いじめ行為を受けてどのように対処しましたか?」という問いに対して、48%と圧倒的に多かったのが「我慢した」という答え。次いで多かったのは16%で「退職した」(「上司に相談した」も同率)であった。「本人にやめるよう訴えた」はわずか7.4%で、いじめ行為を受けた多くの人が我慢や退職を選択していることがわかる。
ちなみに、「我慢した」「退職した」「何もしなかった」と回答した方々にその理由を聞いてみると、「相談しても解決しないと思った」という回答が50%を占める結果となった。いじめ行為が、いかに解決しづらい問題であるかがわかる回答と言える。
「いじめをしたことがある」加害者の言い分とは?
ここで、逆に「職場でいじめ行為をしたことがありますか?」という質問も行ってみたところ、約28%の人が「ある」と回答。「どのようないじめ行為を行ったのか」「誰に対して行ったのか」という問いは、前述のいじめ被害者の回答と同様に「言葉の暴力」と「部下」が多かった。
気になるのは「なぜ、いじめ行為を行ったのか」という点。それに対しては、大きく3つの意見に分かれていた。1つは「むしゃくしゃしていたから」「機嫌が悪かったから」「八つ当たり」といったきわめて身勝手な理由。2つめは「仕事ができないないから」「鈍くさいから」などの仕事に関わる理由。3つめは意外にも「やられたからやり返しただけ」「同じような行為を受けたから」といった報復とも言える理由だった。
いじめ被害者に聞いたきっかけで最も多かったのは"嫉妬心"だったので、本来はいじめ加害者の回答も嫉妬に関係する理由が大多数を占めそうなものだが、なぜかほとんど同様の回答は見られなかった。これに関してはさまざまな憶測ができるが、アンケートで回答するのも後ろめたさを感じるほど、根深い理由こそが"嫉妬"なのかもしれない。
どうすれば、職場いじめをなくせるのか?
最後に「職場いじめをなくすためには、どうすればいいと思いますが?」という質問を行ってみたところ、大多数を占めたのが「会社でいじめ防止策に取り組むこと」。個人間の解決は難しいので「相談窓口を設ける」「社内で相談し合える環境をつくる」「いじめ加害者への厳しい罰則の制定」「いいコミュニケーションをとれる環境整備」といった意見が多かった。
また、残念ながら次いで多かったのは「なくならない」「無理だと思う」「そんな方法ない」といった諦めの意見。しかし、今回のアンケートで回答してくださったいじめ被害者の回答には、下記のような悲痛な声も多々見られた。
「ひどかったので思い出したくない」
「現在進行形でつらい」
「思い出すのが怖い」
職場いじめによる心の傷は、加害者には想像できないほど深いもの。誰もが健やかなワークライフを送るためには、今後もいじめがなくなるような取り組みを諦めることなく模索していくことが必要だろう。