iPadの背面に置いても広がりのある音が楽しめるスピーカーと組み合わせる
上位モデルのiPad Proに比べると、新しいiPadは本体内蔵スピーカーの性能に差があるため、これが音の聴こえ方の違いとして現れてきます。特に、iPadの本体を横向きに構えて、内蔵スピーカーだけで音楽を聴いたり動画の音声を再生しはじめると、ホームボタンが搭載されている側だけから音が聴こえてくることに気が付くはずです。ステレオ再生に対応する4スピーカーオーディオを搭載するiPad Proは、本体を横向きに構えると左右からステレオで音が鳴るので、内蔵スピーカーだけでも立体的なサウンドが楽しめる強みがあります。
でも、スタンダードモデルのiPadだって、良質なBluetoothワイヤレススピーカーを組み合わせれば、iPad Proを超える良質なサウンドが楽しめる環境が構築できます。例えば、オーディオブランドのVECLOS(ヴェクロス)が、魔法びんで有名なサーモスの真空技術をベースに開発した「SPW-500WP」(実売価格は税込み35,000円前後)は、音響面でもデザイン面でもおすすめできるスピーカーです。
筒型のスピーカー本体は、横幅が約261mmほどあります。第7世代のiPadにも対応したアップル純正のSmart Keyboardを装着して立てると、その背面に隠すようにしてスピーカーを置くことができます。一般的なスピーカーは、iPadの背面に置くと音がこもって聴こえてしまいますが、SPW-500WPの場合はDirac Research社が開発した「Dirac Panorama Sound」という技術によって、iPadの存在を感じさせないほどクリアで広がりのある豊かなサウンドに包まれます。さらに、低音再生を増強する「BEAT BLASTER」という機能を合わせて使うと、Apple Arcadeのゲームサウンドも息をのむほど力強く鮮明になります。
第7世代iPadは34,800円(税別)からと手ごろな価格なので、iPad Proの購入をあきらめて浮いたぶんのお金でスピーカーはちょっといいものを購入し、エンターテインメント系のコンテンツを高品位に楽しむのもよいでしょう。
USBメモリに保存した音楽や動画を楽しむ方法
新しいiPadOSでは、USBメモリーやSDメモリーカードなどの外部ストレージメディアに保存したファイルをiPadに読み込んだり、iPadから書き出せるようになりました。この機能をうまく使えば、Macを使ってCDからリッピングしたり、オンラインストアからダウンロード購入した音楽ファイルを、わざわざiPadに読み込まなくても外部ストレージメディア上で再生し、iPadのストレージ残量に負荷をかけずに済むようになります。
Lightning端子を採用する第7世代iPadの場合、外部ストレージメディアとの接続には別売のLightning-USBカメラアダプター(実売価格は税込み3,000円前後)を使います。USBメモリーが正しく認識されると、ファイルアプリの画面左側のブラウズリストに名前が表示されます。外部ストレージメディアのなかには、iPadOSでは認識できないものもあるようで、認識できるものとできないものの法則性を筆者もまだつかめていません。今後のアップデートで幅広く対応することを期待しましょう。
ファイルアプリに搭載されているメディアプレーヤー機能は、QuickTimeをベースにしたとても簡易なものです。ユーザーインターフェースはお世辞にも快適とはいえませんが、ファイルアプリがiPadOSの2画面表示機能である「Split View」やマルチタスク機能の「Slide Over」に対応しているため、外部ストレージメディアに保存した音楽や動画を“ながら聴き・ながら見”しつつ、SafariやTwitter、メールなどのアプリを同時に開いて楽しめます。
できることなら、今後ファイルアプリのメディアプレーヤー機能がより使いやすくなるか、サードパーティーのプレーヤーアプリでも外部ストレージメディアのファイルを読み込めるようになれば、エンターテインメントデバイスとしてのiPadの魅力がさらに高まりそうです。
Sidecarによる負荷の高いマルチタスク処理も軽々こなした
10月8日にリリースされたmacOS Catalina(10.15)では、Apple Pencilに対応するiPadとの組み合わせにより、Macのデスクトップを拡張したり、ミラーリングするディスプレイとしてiPadを活用できる「Sidecar」に対応しました。
第7世代のiPadは、Sidecarを立ち上げている状態でも、力強くマルチタスクをこなしてくれました。例えば、iPadの「ミュージック」アプリで音楽を再生しながら、Macで立ち上げたPhotoshopをiPadの画面に移動させてApple Pencilで細部を加工、同時にMacでキャプションの原稿を書くなんて作業も、まったくもたつくことなくできました。筆者にとって、iPadもMacのそばにいつもなくてはならない編集作業の必携アイテムになりそうです。
そしてやはり驚くべきことは、これだけ多彩な用途に快適な使い勝手を提供してくれる新しいiPadが3万円台から買えてしまうという事実です。エントリーモデルのiPadが本格的な仕事用&エンタメ用のタブレットとして信頼の置ける完成度に到達したことを、大いに喜ぶべきではないでしょうか。