Windows 7/8世代のノートPCを使っているが、さすがに動作が重くてそろそろ買い替え、なんて考えている人もいるだろう。しかし、ちょっと待ってほしい。そのノートPCがHDDならSSDに換装することで延命が可能だ。SSDの価格が下落している今、HDDをSSDに換装して超高速化に挑戦してみよう。

ようこそ! ここが芹澤再生工場だ

古いPCを使っていたイライラするのは、Windowsやアプリの起動、フォルダを開いたり、ファイルをコピーしたりとごくごく一般的な処理が遅いことだろう。CPUなど基本スペックが低いこともあるが、搭載されているストレージがHDDの場合、それが『遅さ』の一番の原因となる。HDDはデータ転送速度が遅く、特に細かなデータをやりとりするランダムアクセスが苦手で、それが処理のもたつきにつながっているのだ。

その遅さのボトルネックを解消する最もカンタンな手段が、HDDをSSDに換装すること。SSDはHDDよりもはるかに高速なので、PCの環境はそのままに生まれ変わったかのように高速化できる(その効果は下段で紹介)。ノートPCに搭載されているHDDが2.5インチタイプなら、多くの場合、同じ2.5インチのSSDに換装が可能だ。手持ちのノートPCの処理に不満があるなら、挑戦してみる価値は十分ある。

  • 2.5インチのHDDが搭載されているノートPCならSSDへ換装できる可能性が高い

    2.5インチのHDDが搭載されているノートPCならSSDへ換装できる可能性が高い

  • 価格.comの今回使用したSSDの価格推移グラフ。1年前からでは4割引、発売当初からではなんと、66%オフ状態!(2019/10/3現在)
    出典:価格.com

ただし、ノートPCによってはHDDのパーティション構造が特殊でデータの移行が難しかったり、別のハードウェアを認識しないといったケースもある。また、特殊なネジを使っているなど、分解が困難なモデルも存在しているので、HDDからSSDへ換装可能なのか、事前にインターネットなどでリサーチしておくことをオススメする。

なお、パーツ交換すると保証がどうなるのか気になるところだが、ほとんどのメーカーは保証対象外だ。ただし、古いノートPCなら、多くの場合は保証切れとなっているはず。SSD換装はPCの延命策と考えてほしい。

HDDからSSDに換装可能なノートPC
・2.5インチのHDDを搭載してる
・HDDを取り出しが可能
・特殊なパーティション構造やハードウェア制限がない

必要なものは三つ、換装用SSDと外付けケースとバックアップ

さて、ここからは実践に移ろう。今回は2012年発売の富士通「LIFEBOOK AH78/HA」を用意した(OSはWindows 10にアップグレード済み)。CPUは4コア8スレッドのCore i7-3610QM、メモリは8GB搭載と現在でも十分使えるスペック。しかし、ストレージが5,400rpmの2.5インチHDD(容量1TB)と、これが遅さを感じる原因となっている。

  • ここでSSD換装に使用したのは富士通「LIFEBOOK AH78/HA」。1TBのHDDを搭載している。CPUはCore i7-3610QMと性能的には現在でも十分戦える。※ただし、今回のテスト機ではHDDが過去にクラッシュしたので、ウエスタンデジタルの750GBの2.5インチHDD「WD7500BPVT」に交換したものを使用している

HDDからSSDに移行するのに必要なのは三つある。一つは2.5インチでSerial ATA接続のSSD。これはノートPC内の総データ量よりも大容量のものを選ぶ必要がある。元のHDDと同容量かそれ以上のものを選ぶといいだろう。

二つ目は2.5インチSSDを内蔵できるUSB接続の外付けドライブケースだ。これは元のノートPC内蔵HDDのデータを丸ごとSSDにコピー(クローニング)するのに必要となる。USB接続だけで動作するバスパワータイプを選ぶと便利だ。USB 3.0対応なら1,000円程度で購入できる。動作実績が多くなる人気モデルを選ぶのが無難だ。

三つ目はクローニング機能を持ったバックアップアプリ。フリーソフトでもいくつか存在しているが、今回使用するMicronのCrucial MX500なら、高機能な「Acronis True Image for Crucial」を無料でダウンロードできて便利だ。

SSD換装に必要なもの
・2.5インチでSerial ATA接続のSSD
・2.5インチSSDを搭載可能な外付けドライブケース
・クローニング機能を備えたアプリ

  • SSDはMicronのCrucial MX500を用意した。容量はノートPCのHDDと同容量のCT1000MX500SSD1/JP(1TB)を選択。実売価格は13,000円前後だ

  • 外付けドライブケースにはUSB 3.0対応でバスパワー駆動の玄人志向「GW2.5CR-U」を使用する。実売価格は700円前後とお手頃で人気のモデルだ

  • クローニングにはCrucial MX500なら無料でダウンロード可能なバックアップアプリ「Acronis True Image for Crucial」を使用した。フリーソフトでは「EaseUS Todo Backup Free」などが有名だ

ここからは実際の作業手順を紹介する。外付けドライブケースにSSDをセットする、クローニングを実行する、ノートPCからHDDを取り出す、SSDをノートPCに搭載する、と大きく分けて四つの手順が必要となる。

  • まずは、外付けドライブケースの天面カバーをはずす

  • 内部にあるコネクタへSSDをスライドさせて挿し込む。逆向きには挿さらないので安心だ

  • カバーを戻し、付属のUSBケーブルを接続する

  • ノートPCのUSB 3.0ポートや外付けドライブケースのUSBケーブルを接続する

  • PCを起動してクローニング対応アプリをインストールする。ここではAcronis True Image for Crucialをダウンロードした

  • ダウンロードしたアプリをインストールして実行する。アプリが起動したら「ツール」にある「ディスクのクローン作成」をクリック

  • ウィザードが起動するので「自動(推奨)」をクリックする

  • コピー元になるソースディスクを指定する。今回の場合、ノートPC内蔵のHDDが1台だけなので、「ディスク1」を選択して「次へ」をクリック

  • コピー先となるSSDを選択する。今回の場合はインターフェースがUSBとなっている「ディスク2」を選択して「次へ」をクリック。最後に「実行」をクリックして作業が終わるのを待つだけだ

次はPCの電源を完全にオフにしてACアダプタも抜く。バッテリーがはずせるノートPCなら、安全のためにバッテリーも抜いておこう。そして底面にあるHDD部分のネジをはずす

  • カバーをはずすとHDDが見える。このノートPCはストレージと本体が独自のケーブルで接続されている。まずは、ノートPC本体側のコネクタからケーブルをはずす

  • HDDはゴムで固定されているので、ケーブルを傷つけないようにゴムを引っ張り、HDDをはずす

  • HDDに接続されているケーブルをはずし、外付けドライブケースからSSDを取り出し、はずしたケーブルを接続する

  • SSDをPC本体に取り付け、ケーブルをコネクタに接続する。カバーを戻せば換装作業は終了。PCの電源を入れて起動するかテストしよう