アンサーソングから新境地まで、本作にも挑戦と成長は満載!
――さて、続いてその他の新曲や初音源化の曲についてもお聞かせください。まずTVアニメ『この世の果てで恋を唄う少女YU-NO』異世界編のEDテーマに起用された「神の数式」からお願いします。
今回も志倉(千代丸)さんの曲というのを知っていたので、「どんな感じの曲がくるんだろう」って楽しみにしていて。間奏がちょっとフラメンコ調で、今まで歌ってきた志倉さん楽曲とはまたちょっと違うタイプの曲のように思いました。
――力任せに歌われていない点が、 現世編OP曲「この世の果てで恋を唄う少女」に通じるように感じたのですが、レコーディングはいかがでしたか?
志倉さんの曲になると、私にはもう「難しい」としか言えないんですが……(笑)。ただ、「この世の果てで――」は歌詞も含めて無機質な曲だったので感情を”無”にして歌ったんですけど、こっちは若干歌詞に感情が入っているので、この曲は特にサビでちょっと感情を入れつつ歌っていきました。
――また、曲順としてはふたつ戻っての「Turn Up The Music」は「SHINY DAYS」のアンサーソングのように感じました。作家陣も同じ顔ぶれですね。
そうなんです。まさに「SHINY DAYS」みたいな洋楽風でPOPな楽曲を作りたくて、だったら同じ作家陣のほうがいい世界観を作ってもらえるんじゃないかなということで、おふたりにお願いをしました
――歌ってみてどうでした?
すごくしっくりきました。EDMもいいんですけど、歌い上げるソウルフルな曲のほうがやっぱり自分は歌っていて気持ちいいし、聴き心地も声に合っているのをすごい感じましたね。ゆったりとしたモータウン的な感じの曲が、相性がいいように思いました。
――そこから2曲挟んで置かれているのが、「GET DOWN」です。
これは、初めて怒りをテーマにした曲なんですよ。18歳から2年間の”大人でも子どもでもない年齢”って、すごく複雑だったんです。たとえば「もう大人なんだからちゃんとしなさいよ」って言われるし、でも仕事で「まだ子どもだからできなくてしょうがないよ」ってちょっと甘やかしてもらうとか……そういうなかで、見えてしまった部分があるというか。それこそ愛想よくいたら軽いって言われちゃうし、真顔でやったら愛想悪いって言われる。「じゃあみんな、何を求めているの?」って思ったんですよ。
でも、そういうやるせない気持ちって私だけじゃなくて、みなさんも感じる日常的な不満とか怒りだと思うんですよね。なのでこの曲には自分の気持ちや怒りも入れつつ、みんなの思っている怒りを代弁するような気持ちで「代わりにストレス発散するよ」みたいな感じで(笑)、歌わせてもらいました。
――この曲の聴きどころ、どんなポイントですか?
最後のサビ以外は、ほとんど全部歌声にエフェクトをかけているところです。あんまりフィルターを通して歌を届けたことがなかったので、ちょっとデジタルロックっぽくてすごくいいなと思って。ライブで盛り上がること間違いなしな1曲になってます。
初のElements Gardenとのタッグで、大切にしたのは”バランス”。
――そして「Childhood's End」は、ゲーム『グリザイア:ファントムトリガー』のEDテーマです。
一見ミドルテンポで爽やかな感じのする曲なんですけど、歌詞を汲み取るとちょっと別れを彷彿とさせるようなシーンもあったりする曲なので、レコーディングのときにはちょっと切なく寂しい気持ちになっちゃったのを覚えています。なので、歌うときは、寂しすぎず・明るすぎずっていうバランスを取るのがすごく大変でした。というのも、曲調自体はすごく爽やかなので、あまり重くしすぎちゃうと逆に曲調に合わなくなっちゃうんですよ。でも明るすぎると、今度は歌詞に合わないし……っていうところで、すごくバランスを考えながら歌いました。
――この曲は藤間仁さんが作編曲を手掛けられたということで、Elements Gardenさんとの初タッグの曲になりました。レコーディングには藤間さんもいらしたんですか?
そうです! 初めてお会いしたんですけど、すごく物腰の柔らかい方で、「パパさん!」みたいな(笑)。優しさとか、「頼れる背中だな」みたいな感じで。その藤間さんの優しいオーラのおかげで、初めてのエレガさんのスタジオでのレコーディングも、悪い緊張は全然ありませんでした。
――そしてアルバムのラストを飾る曲が、こちらもご自身で歌詞を手掛けた「終わらない夢」です。
今年のアニサマのテーマソング「CROSSING STORIES」みたいに、みんなで手をウェーブさせて合唱したくなるような曲が亜咲花には1曲もなかったので、そんな感じでライブでアンコールにしたい楽曲が欲しくて「壮大なバラード」という大きなジャンルでお願いしました。あまり難しいメロディにはしないでいただいたので、ライブでみんなと一緒に歌えたらいいな、と思っています。
――この曲のテーマはなんですか?
「感謝」です。今まで、みんなの存在の大切さを歌に乗せたことがなかったんですよ。「Raise Your Heart!!」も「楽しい!」という気持ちしか書いていませんから。なので、私が今までどれだけみんなに支えられてきたかを書くように、すごく意識しました。
――作詞はスムーズにいきましたか?
すごくスムーズでした。なかでも1サビの「言葉より大切なもの 君が教えてくれたんだ」ってフレーズは、いちばん最初に決まった部分なんですけど……MCにも歌にも共通しているのって、”言葉”だと思うんです。だから「とにかく言葉でなにか伝えなきゃ!」っていうことにこだわって、ライブやラジオ、Twitterもやっていたんですよ。でも、今年のツアーの時期にいろいろなことが重なって、ふとしたときステージに立つのが苦しくなってしまったことがあって。
そんなとき、とにかくみんながステージの目の前に笑顔でいてくれるだけで、すごく救われたんですよね。「いつも応援しているよ!」とか「亜咲花の曲好き!」って言葉に出していたわけでもないのに……だから、そのとき「言葉が全てじゃないんだな」ってみんなに教わったから、逆に今度は私がみんなにそれを伝える番だと思って、その思いからできた部分なんです。