ディーンとは「一緒にお仕事させていただくのが純粋に楽しいですね。魅力はとにかく話が尽きないこと(笑)、お互いに話したいことが永遠とあるという感じがあります」という太田P。
「『シャーロック・ホームズ』を2019年の東京に置き換えてやりたいという話をして、少し経ってから、池袋のチャイナタウンに連れて行ってもらったんです。そこは日本人が全然いないところですごく面白くて、そこから着想を得て1つプロットを作ってみたこともありました。ディーンさんはそれこそ海外にお住まいになっていたりするから、第三者目線で東京を“パトロール”して、知られざる世界を見ているんですよね。そうしたディーンさんの着眼点やアイデアは、ドラマ全体の雰囲気に入っています」と、何気ない会話も制作に生かされているそうだ。
そんなディーンと、ワトソンの位置付けで若宮潤一役としてコンビを組むのは、初共演となる岩田剛典(EXILE/三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE)。太田Pも今回が初めてだったそうだが、「本当に若宮潤一にピッタリです。クールでスマートなんだけど、ちょっと熱いものを隠している感じで、ディーンさんとすごく良いハーモニーなんですよ。これは西谷(弘)監督がよく言うんですけれど、すごく真面目で頑張り屋で努力家。顔が男前なのは当たり前なんですけれど、顔のきれいさを忘れるくらい気持ちに男気があるんです。やると決めたらやるという感じ」と印象を語る。
また、「岩田さんはディーンさんと(佐々木)蔵之介さんのことをすごくリスペクトされているんです。蔵之介さんの存在は、制作者の僕らにとっても“みんなのお兄さん”として精神的支柱としていらっしゃるので、すごくベストなトライアングルだと思います」と、キャスティングに自信を見せた。
■天才でスマートなイメージを壊す
ディーンが演じる役名は、誉獅子雄(ほまれ・ししお)。「シャーロック・ホームズ」のイニシャル(S・H)から取ったものだが、あまりに独特な名前に発表後、SNSがザワついた。この狙いを聞くと、「ディーンさんがシャーロック・ホームズを演じるとなると、天才でスマートなイメージにどうしてもなりますよね。今回はそれを壊そうとする演出なので、そうすると普通じゃない名前にして違和感があると面白いということで、ある日、西谷監督が字に書いて持ってきたんです」という。
これに対して、岩田演じる若宮潤一も同じく「ジョン・ワトソン」の(J・W)から取ったものだが、「誉獅子雄って画数が多くて怖そうなので、とにかく爽やかに見えるようにしようと思って『若い』と『潤う』という字に、ちょっと品があるので『宮』を入れました」と明かしてくれた。
そんな2人が共同生活を送る前のシャーロックの部屋は、第1話にのみ登場するが、このためにスタジオセットを製作した。「彼がどういう風に暮らしていたのかというところまで描かないと、この物語は成立しないんです。また、そこで雨を降らせて水浸しになるという設定がどうしても必要で、それはロケではできないのでセットを作りました」と、その理由を語る。
美術デザインは『モンテ・クリスト伯』も手がけた柳川和央氏が担当しており、太田Pは「放送時間に対する費用としては相当高いですが、やって良かったなと思います」と手応え。制作発表会見で佐々木は「見たことのない画で印象的でした」と驚き、ディーンも「気合の入り方がすごい」と制作側の姿勢に刺激を受けたようだった。
●太田大
1979年生まれ、東京都出身。03年フジテレビジョンに入社し、報道局に配属。その後編成部で『名前をなくした女神』『テラスハウス』『ファースト・クラス』などを手がけ、第一制作室に異動して『モンテ・クリスト伯―華麗なる復讐―』『レ・ミゼラブル 終わりなき旅路』『シャーロック』といったドラマのほか、現在はNetflixで配信中の『テラスハウス』シリーズのプロデュースも引き続き担当している。