――狐をイメージした仮面を着けると、山本さんのチャームポイントである"輝く瞳"がいっそう強調され、魅力的な女戦士という印象が強まりましたね。

僕もプロデューサーさんたちも『仮面の忍者 赤影』(1967年)を本放送や再放送で観ていた世代なので、「仮面を着けた忍者が大活躍する」というシチュエーションには強い思い入れがありますからね(笑)。仮面のデザインについても、千尋ちゃんの顔がちゃんとわかるほうがいいという話にまとまって、彼女の目力や表情の変化がちゃんと見えるものになりました。

――特撮を駆使した超能力描写があったり、カラクリ仕掛けの鷹「カスミ」が登場したりと「特撮アクション時代劇」と銘打つにふさわしいシチュエーションがありながらも、全体のムードはことさら荒唐無稽になりすぎず、時代劇としてのリアリティを重視しているところがいいですね。

それぞれの要素にリアリティを持たせようというのは、作品を作る際のテーマではありました。「リアルな作品世界の中に、荒唐無稽な設定が入っている」というバランス感覚は、『魔界転生』や『里見八犬伝』に代表される80年代の角川や東映のアクション時代劇を意識したところがあります。あのころを知っている人が今回の映画をご覧になると、少し懐かしい感覚になってくれたらいいな、という思いもありますね。

――リアルな肉弾戦、刀での斬り合いがある一方で、律花の必殺技「九尾烈風の舞」などは特撮ヒーロー的なアクションとしてひときわ目を惹く派手なビジュアルになりました。

忍者ものの醍醐味として「必殺技」がほしいね、ということになりましたが、ここでも荒唐無稽になりすぎない技を考えました。「狐」がモチーフの忍者なので、「九尾の狐」という妖怪にちなんで、九つの太刀で相手を倒すという動きをアクションチームみんなで考えました。カンフーや空手だと、「型」がそのまま相手を攻撃する「技」につながります。それと同じで、1人の動きだと演武や素振りに見えるけれども、その動きがそのまま攻撃と防御になる……というコンセプトが定まり、完成したのが「九尾烈風の舞」の動きなんです。劇中では2度、律花がこの技を決めるときがあるのですが、1回目と2回目で変化を持たせてありますので、ぜひ画面をご覧になって確かめてほしいですね。

――映画のラストでは、何やら「続編」を匂わせる不穏なカットがあったりして、今後の展開に期待を持たせていますね。時代劇の"斬られ役日本一"と呼ばれる大ベテラン・福本清三さんの姿も見られたりして……。

今回の作品を作っているときから「続編もやれたらいいね」と思って、次回作につながるような雰囲気を出しています。これを実現するためにも、ぜひとも『BLACKFOX: Age of the Ninja』をたくさんの人たちに観ていただきたいと思います!

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