10月5日よりWOWOWプライムにてスタートする『連続ドラマW トップリーグ』(毎週土曜 22:00~ 全6話 1話のみ無料放送)で主演を務める玉山鉄二にインタビュー。原作はこれまでにもWOWOWでドラマ化された『震える牛』や『不発弾』などで知られる作家・相葉英雄の政治サスペンス。玉山が演じるのは、入社15年目にして政治部へ異動し官房⻑官番とり、またたく間にトップリーグ(※総理大臣や官房⻑官、与党幹部に食い込んだごく一部の記者)へと上り詰めていく新聞記者の松岡直樹だ。

首相官邸を舞台に、現在の日本が抱える問題を浮き彫りにしながら、昭和史に残る一大疑獄事件の謎に迫り、官邸最大のタブーに鋭くメスを入れていく松岡を演じた玉山に、ニュースとの向き合い方や、記者の役作り、「普通の感覚を持ち続けるために欠かさないこと」などについて聞いた。

ドラマ『トップリーグ』で主演を務める玉山鉄二

玉山鉄二

――台本を読んで、このドラマのどんなところに一番魅力を感じましたか?

僕はもともとニュースや情報に対して「そうなんだ!」ってすんなり受け入れられるタイプの人間ではないんですが、特にSNSが普及してからというもの、情報を出す側も受け取る側も、すごく変わったと思うんですよね。すぐに炎上してしまう時代だからこそ、このドラマを通じて情報との向き合い方を見つめ直すいいきっかけになるんじゃないかって思ったんです。

――具体的に、どういった部分に惹かれたのでしょうか?

一人の記者が政治の世界に飲み込まれて自分を見失ってしまう、というのがこのドラマのテーマでもあるんですが、いわゆる「癒着」みたいなことって、新聞記者と政治家の関係に限らず、割とどの世界においてもあるような気もするんですよね。ドラマを通じて、観た人がそれぞれ疑惑の目を持つようになる、みたいなところが面白いんじゃないかって思ったんです。情報を鵜呑みにしすぎないことや斜めに見たりすることが、僕自身はすごく大事だと思っていて。だから僕は自分の子どもにも、「ここには確かにこう書いてはあるけど、実際のところはそうじゃないんじゃないか」って、ちゃんと自分の目で見極められる大人になって欲しい。たまたま流れてきた情報に飛びつくんじゃなくて、自分から積極的に情報を掴みに行けるような大人になって欲しいんです。

――政治部の記者を演じる上でどのように役作りをされましたか?

僕はもともと政治が好きで、普段から政治家の友だちとバーで飲みながら政治の話をしたり、政治部の記者さんを紹介されたりすることも多かったんですよね。だから彼らに電話して聞いたりとかもしましたね。あとは、昔のニュースと現代のニュースを自分なりに見比べて、違いを見つけたりとかもしてました。

――身近な本職の方々からどんなアドバイスを?

シチュエーションによって、ネクタイを付けるべきかとか、シャツの色とか、衣装合わせの際に参考にした部分はありますね。政治家って「先生、先生」って呼ばれてちやほやされている印象がありますけど、意外とフランクに政治や国会の話を聞かせていただいたり、理想論を語ってもらったりすることもありましたね。

――松岡というキャラクターに共感できる部分はありましたか?

演じる役柄に共感できるかどうかについては、僕は普段からなるべく重きを置かないようにしてるんです。僕が共感しようがしまいが、視聴者の方にはあまり関係がないことだと思うから。だから逆に、たとえ共感する部分があったとしても、その表現だけを自分の中で増長させたりしないようにもしてますね。要は、なるべく自分を無の状態にして、自分本来の要素をできるだけ役に乗っけないようにするっていうか……。じゃないと、いわゆる「自分っぽい役」ばっかり演じることになってしまうから。

――なるほど。

そもそも視聴者あってのドラマだし、視聴者をどのタイミングで裏切って、どのタイミングでこっちに向かせるか。それこそが、僕は役者としての一番の「勝負どころ」のような気がしてるんです。だからどちらかと言えば、「自分がどう演じたら、このドラマにどんな作用を及ぼせるのか」を常に考えながら、役柄を構築していってるのかもしれないですね。

――松岡を演じる上で苦労したことは?

とにかく日々の現場が大変です。セリフがすごく長い上に、専門用語も多いから。

――ご自身で演じてみて、記者に対してのイメージが変わったりしましたか?

実は僕ねぇ……いやいや、やっぱりこれは言えない。危ない危ない、今危なかった(笑)!

――ハハハ(笑)。では、玉山さんはどんな記者が相手だと喋りやすいですか?

そうだなぁ。ちゃんとオリジナリティーのある質問をしてくれる記者さんですかね。たまにはちょっと奇抜な質問をして、思いもよらない答えが返ってくることもあると思うんです。でもその「思いもよらないもの」って、視聴者的にはサプライズじゃないですか。そういうサプライズが、僕は人としての魅力を伝えられるんじゃないかと思うんですよ。

――ということは、玉山さんには結構突っ込んだ質問をしても大丈夫ということですか?

全然いいですよ(笑)!