OSは? アプリは?
OSはAndroid、そして独自UIのEMUI10を搭載します。Androidコミュニティに対する貢献が大きいHuaweiですが、米中の政治的な摩擦の影響で、Google関連サービスを搭載できませんでした。
Android自体はオープンソース版を採用しているため、基本的な操作は変わりませんが、Google検索、Gmail、GoogleマップなどのGoogleアプリに加え、Androidアプリの配信プラットフォームであるGoogle Playも利用できません。
中国向けは以前から同様の措置をしていましたが、これをグローバルに拡大したかたちです。アプリ配信は、HuaweiのAppGalleryが担います。アプリ配信などのプラットフォームは、GoogleのプラットフォームであるGMS(Google Mobile Services)に対して「HUAWEI Mobile Services(HMS)」と名付けられ、すでに170の国と地域で月間5億7000万以上のアクティブユーザーがいるといいます。
Huaweiは、サードパーティーのアプリ向けに各種のAPIなども用意し、HSMのエコシステムにアプリ開発者の参加を呼びかけています。Huaweiが10億ドルの予算を費やしてインセンティブプログラムを立ち上げ、エコシステムの構築を急ぎます。
Mate 30シリーズは「Googleサービスが使えないAndroidスマートフォン」、という難しい立ち位置になってしまいました。報道陣のインタビューに応じたHuawei DeviceのHandset Product Line社長であるKevin Ho氏は苦しい胸の内をにじませつつ、未発表の発売日について「1~2カ月で提供したい」と希望を語ります。その背景には、発売まで猶予を設けて、制裁解除によるGMSの搭載にこぎつけたいという考えが見え隠れします。
Huawei Consumer Business Group CEOのRichard Yu氏は、セキュリティとプライバシーを重視する立場を強調。一例として、Mate 30シリーズには画面内指紋センサーと顔認証による2つの生体認証を搭載しています。こうした生体認証データは、マイクロカーネルOS上のTrusted Execution Environment(TEE)に保管され、コモンクライテリアの評価保証レベル(EAL)で5+という高い検証をクリアしているといいます。
アプリに提供されるIMEIは匿名化することでプライバシーを保護。クラウドへデータを保存する際にはエンドツーエンドで暗号化して保護されます。面白い機能としては、「AI Private View」が挙げられます。端末にSMSのようなメッセージが届いたとき、顔認証を実効して本人以外の顔が検出されたら通知をオフにするというものです。いわゆるショルダーハックのような状況で、プライベートなメッセージの読み取りを防げるわけです。
こうしたセキュリティとプライバシーに関するアピールは、Huaweiを取り巻く政治的な状況と無関係ではないでしょう。
これまで2億台を超えるスマートフォンを販売してきたHuaweiは、Android陣営にとっては巨大なプレイヤーです。Googleサービスを搭載できなかったMate 30シリーズや現在の状況は、Googleにとっても痛手でしょう。今後の政治的な動向を見極めつつ、最善の結果に着地することを期待したいところです。