ロジクールは9月18日、同社製マウスのフラッグシップモデル「MX MASTER 3」(MX2200)を国内発表しました。ドイツで開催した国際コンシューマーエレクトロニクス展「IFA」で披露された新マウスで、2017年6月に発売した「MX MASTER 2S」から約2年ぶりに登場する製品になります。MX MASTER 3はホイール機構に新たに電磁石を内蔵した「MagSpeedホイール」が最大の特徴。本体のデザイン・機能もブラッシュアップされました。
日本での発売日は9月27日。価格はオープンで、直販価格は税別13,500円です。
同社はMX MASTER 3の発表にあたり、スイス・ローザンヌの開発拠点「Logitech International」で説明会を開催。同社フラッグシップマウスの特徴である高速スクロールは、2006年国内発表の「MX レボリューション」(MX-R)で初めて搭載されたのち、改善を続けてMXシリーズのマウスにマウントされてきましたが、今回発表されたMX MASTER 3では、このスクロール機構を「再発明」したとアピールしました。
ターゲットはエンジニアやクリエイター、アナリストなど四六時中ヘビーにPC・マウスを使っている人々。開発にあたっては実際にMX MASTER 2Sを使っていた人からの話を聞くなどして、「何を前モデルから引き継いで、何を改善すべきか」を検討して新製品の機能を詰めていったといいます。
電磁石をホイールに内蔵した新機構
MX MASTER 3で最も大きく変わったのはホイール部分。従来のMX MASTER 2Sでは、ホイール内部にモーターと歯車を備え、物理的な接点をもってラチェットモードのカチカチ感を出していました。
MX MASTER 3では、ホイール内に2個の電磁石を内蔵。それぞれに磁場を発生させてクリック感を出す構造「MagSpeedホイール」になりました。これまでと異なりホイール内部に物理的な接点はありません。「静かで正確。磁気センシング技術により、正確なトラッキングと計量的なスクローリングが行える」としています。
ホイール構造は刷新したものの、機能は従来モデルを引き継ぎます。加速度センサーを備え、スクロール速度を判別。スクロール速度が遅めであれば、カチカチ感のあるラチェットモード(クリック・トゥ・クリック)、速ければカチカチ感なく滑らかにホイールが高速回転するフリースピンモード(高速スクロール)に、自動で切り替わります。
MagSpeed構造の採用で、この切り替わりが従来よりスムーズになり、回す際のカチカチ感もより滑らかで柔らかい感触になりました。MX MASTER 2Sを使っていた筆者からすると、MX MASTER 3は「カチカチ」という感覚より「スルスル」という感じに近く、ぜひ店頭で触ってみてほしいところです。そのぶん、ラチェットモード時の音は小さくなっている(ほとんど聞こえないレベル)ので、静音を好む人にはよりよい選択になりそうです。また、MX MASTER 2Sでフリースピンを止めるときに感じていた、歯車が「コクッ」と急停止する感じもなくなりました。
「MX MSATER 2Sはディーゼルエンジンの自動車だが、MX MASTER 3は電気自動車のようだ」――同社は説明会で、スクロール構造の違いをこう紹介しました。ホイールの素材も、従来のアルミニウムから、2倍重いというステンレス鋼に変更。スクロール時に高い精度と(重さによる)適度な慣性を実現したといいます。
デザインが改善、より握りやすい形状に
MX MASTER 3は本体のデザインも一新されました。まず手のひらをかぶせる部分、本体後方(おしり部分)がMX MASTER 2Sより盛り上がった形に変更。同社の縦長マウス「MX Vertical」とデザイン的に似た盛り上がりで、開発は最初に粘土で手に馴染む全体像をつくったあと、3Dスキャンを繰り返して仕上げていき、「より快適な手触りになった」といいます。