パイロットが本番に向けて行うトレーニングの姿は、まさにアスリートそのもの。「大阪府立大学 堺・風車の会」の中村侑真さんは、練習しすぎて留年の可能性が出てきてしまったそうで、プロレスラーの真壁刀義が「脚力すごいから新日本プロレスの入門テスト受けろ!」とほれ込む場面もあった。
そんな体育会系学生と、機体製作など技術面で支える理系学生という、普通のキャンパスライフでは交わらないであろうメンバーが、同じチームで1つの目標に向かって戦うというのは、彼らにとって貴重な経験に違いない。
完全にアナログな競技でありながら、出場者や観戦者の熱量は、体力と知力を結集させて戦うという点で共通する、最先端技術の『F1グランプリ』に劣らぬと言っても過言ではないだろう。バラエティでの珍コメントでおなじみの滝沢カレンが「本当に何億人という人を幸せにしました」「すべてを持った人間はどこまでいけるのかがポイントだと思います」と評しても、あながち間違いではないと感じてしまう不思議な大会なのだ。
■女性芸能人に会いたいためにパイロットに
どのパイロットも涙、涙で感動のフライトが続く中、「人力プロペラ機部門」で独特な存在感を放っていたのが、「京都大学鳥人間チームShootingStars」のパイロット・森本克己さん(21)。テレビに映るため、「ずっと(目の中が)ゴロゴロしてる」と言いながら、この日コンタクトデビューを果たしたといい、プラットフォームでレポーターの女性芸能人と会話したいためにパイロットになったと公言するナイスキャラだ。
今年、そのレポーターを務める乃木坂46・秋元真夏からインタビューを受けると、森本さんは「ありえない距離感!」と歓喜。「かっこいいフライトを見せてモテたい」と目標を掲げ、何度も自身のSNSアカウントをPRする姿に、矢部が「おもしろポイントトップです」と絶賛する一方、真壁は「おまえ飛ぶことに集中しろよ!」と思わずツッコミを入れる。果たして、彼の結果は。そして、他の学生と同じように着水後に涙を見せるのか…。
ナイスキャラは、「滑空機部門」にも登場。「上智大学 Flying Turkeys」は、チームの女子メンバーが皆、髪に花をつけるキラキラ系で、コックピットを製作しながらバーベキューに興じるという異色のチームだ。「鳥人間に参加してる学生はダサい人が多い」と、一石を投じる発言でスタジオをざわつかせたが、ストイックな姿勢を見せるチームが多い中で、新たな風を感じさせる。
■大会新記録を樹立したのは…
そして、今年は「人力プロペラ機部門」で大会新記録が生まれた。
達成したのは、設計や製作も担当するパイロットの渡邊悠太さん(32)が「(機体も体も)過去最高の仕上がりと言っていい」という自信で自らの歴代最高記録突破に挑むディフェンディング・チャンピオン「BIRDMAN HOUSE 伊賀」か。
歴代2位の36kmという記録を持ち、歴代で最も寡黙なパイロット・小林和輝さん(21)を擁する「東北大学 Windnauts」か。
39回と過去最多出場を誇り、8回の優勝を重ねる名門「日本大学理工学部航空研究会」か。それとも、思わぬダークホースが現れるのか…。
今年の大会コピーは「最初は湖に飛び込むだけの大会だった。」。その通り、42回という歴史での進化を象徴するあまりに長時間のフライトのため、着水前に「滑空機部門」の飛行を何機も行ってしまう規格外ぶりを見せつけた前人未到の大記録は、ぜひ放送で見届けてほしい。
ボート:14艇(撮影や救護用など)
ジェットスキー:5艇(救護用など)
カメラ:18台(収録用カメラ+ドローンカメラ1台)、39台(機体に搭載したカメラ)
スタッフ:約500人
来場者数:7月27日10,000人、28日30,000人、合計40,000人