――今回のCDには、「怪物の詩」のミュージックビデオも収録されていますが、今回、どうしてアニメという形で表現することになったのですか?
もともと「怪物の詩」にはリリックビデオがあったんです。ライブのときに後ろのスクリーンに映すために作っていただいたのですが、「怪物の詩」には、まっすぐ届けたい、まっすぐ受け取れる言葉がたくさんあるので、文字がすごく大切だというイメージが有りました。なので、実写のミュージックビデオというイメージではなく、アニメーションで作りましょうというお話をいただいて、すごくしっくり来たというか、腑に落ちたというか。アニメーションになって、イラストで表現されることによって、さらにこの楽曲に対して抱けるイメージの幅が広がるのではないかと思いました。
――出来上がったミュージックビデオを観たときの印象はいかがでしたか?
すごくダークで、インパクトのある絵で、重たいというよりも、本当に暗い絵に重なる「愛をもっと」という叫び……最初は、絵がつくことによって言葉が霞んでしまうのではないかと思ったのですが、そんなことは全然なくて、それ以上、楽曲と掛け算になる映像だと思いました。イラストだからこその解釈の余地、そのあたりを考えながら観ていただきたいです。
●「怪物の詩 -Music Video YouTube EDIT ver.-
――2曲目の「Lotus」はどのような楽曲ですか?
ちょうど一年前にリリースしたデビューシングルの制作時期にできた曲で、それからデモをずっと温めていました。ライブなどでも一度も歌ったことがなく、今回のシングルで初お披露目になる楽曲です。
――「Lotus」も衝撃的な歌詞の楽曲になっています
一見、救いのない、すごく重苦しい歌詞に思えるかもしれませんが、メロディの明るさやキラキラしたサウンド、そして、「Lotus」が意味する蓮の花の存在自体が〝救済〟をイメージしている。すごく汚い泥の中を長い間、さまよって、さまよって、最終的に輪廻を意味するお花になる。でも、キレイな瞬間はほんの一瞬、朝の少しの時間帯だけ。それは、すごく儚い時間なんですけど、その咲いた一瞬だけで、泥の中にいた長い時間が報われているのではないかと思うんです。その救いの部分、ほんの一瞬の花が開いた瞬間を届けられたらいいなと思いながら歌いました。
――歌詞に反して、すごく聴き心地のよい仕上がりになっていますよね
サウンド自体はキラキラしていますし、できる限り優しく歌っているので、ただ聴き流していると、すごく聴き心地のよい楽曲かもしれません。ただ、優しいからこそ、明るいからこそ、キラキラしているからこそ、中にこもった棘みたいなモノや毒みたいなモノが、ふと気づいた時に、浮き彫りになってくれたらいいなと思っています。逆に、衝撃的な歌詞ではありますが、その泥の中に何かつぼみのようなモノを感じてもらえたらいいなと思います。
――そんな衝撃的な歌詞の中でも、特に注目してほしいところはどこですか?
「そんな悲しみも歌にして」「どんな悲しみも歌にして」というフレーズですね。私が歌っている理由でもあるのですが、自分自身の過去、苦しかったことや悲しかったことを言葉にすることで、それが何かの価値になったり、誰かと私を繋いでくれるモノになったりするのではないかと思うんです。その気持ちが最初からずっとあったので、特にこのサビ頭は気持ちが入ります。
――早くライブで歌ってみたいですね
はたしてどのような反応が返ってくるのかがすごく気になります。先日初めてラジオでオンエアしたとき、深夜帯だったのですが、断片的に聴き取れた歌詞から、ラジオなので文字が見えるわけでもないのに、「今の自分に当てはまる」とか、「涙が出た」とか、すごく前のめりになって聴いてくださる方がたくさんいて……。それを踏まえて、あらためて皆さんの前、直接届けられる空間で、どのように響くのか、今から楽しみにしています。