ソニーのEマウントレンズとして、開放F値1.8・焦点距離35mmの単焦点モデル「FE 35mm F1.8(SEL35F18F)」が登場しました。「G-Master」や「G」ではない無印ブランドですが、既存の「SEL50F18F」(焦点距離50mm)や「SEL85F18」(焦点距離85mm)と同様に、被写界深度の浅い写真表現をリーズナブルかつコンパクト楽しめるレンズとして貴重な存在です。
また、10万円以上の高価なレンズを除けば、ソニーのFEレンズのラインナップには、35mmより広角域の単焦点レンズは開放F値が2.8の製品しかなかっただけに、「ようやく欠けていたピースが埋まった」という印象も受けます。最短撮影距離0.22m、最大撮影倍率0.24倍という、近接撮影能力もうれしいところです。その実力をチェックしていきましょう。
フルサイズの表現力を持ち運べる280gの軽量コンパクトサイズ
魅力の1つは軽量でコンパクトなこと。最大径65.6mm×長さ73mm、フィルター径が55mm、重量は280gです。SEL35F28F(61.5×36.5mm/120g)と比べるとそれでもまだ大きいのですが、α7IIIのボディと合わせても930gと1kgを下回りますし、ギリギリ「コンパクト」といえる許容範囲でしょう。
以後すべての作例は、特に記載がない場合、ボディがα7III、絞り優先AE、オートWBで撮影しています。JPEG(スタンダード)での出力画像をAdobe Photoshop CCで読み込み、そのまま「品質90」「色空間sRGB」で出力しています。
αシリーズのカメラは、装着するレンズによって携帯性が大きく変わります。光学性能を追求すると、レンズはどうしても大きく重くなってしまいますが、「ボディが小さいαの携帯性を生かせるコンパクトなレンズ」のSEL35F18Fは、それだけで貴重な存在です。
ボディの質感などは、SEL85F18と同様に感じます。AF・MFの切り替えスイッチ、カスタム可能なフォーカスフォールドボタンを装備しています。また、「防塵・防滴に配慮した設計」となっています。ホコリや水滴の侵入を完全に防ぐことを保証するものではありませんが、運用上、心強い仕様ではあります。
テーブルフォトにも最適な近接撮影能力
最短撮影距離0.22m、最大撮影倍率0.24倍の近接撮影能力も特徴の1つです。いわゆる「寄れる」レンズです。
アイスボールのサンプルは、室内でモノブロックストロボを使って撮影しました。「SEL35F28Z」(最短撮影距離0.35m、最大撮影倍率0.12倍)でも同じように撮ってみましたが、違いは歴然ですね。料理や小物など、いわゆるテーブルフォトには重宝しそうです。写真表現の幅が広がりますし、日々の生活に自然な距離感でそのまま撮れるのでとても使いやすいと思います。