扇形の羅針盤風目盛りの正体

GG-B100は、スマートフォン用アプリ「G-SHOCK Connected」を介して、Bluetoothによってスマホと連携するモバイルリンクを利用した新機能を搭載している。そのひとつが「ロケーションインジケーター」だ。

牛山氏「ロケーションインジケーターは、スマホのGPSを活用する機能です。まず、G-SHOCK Connectedアプリを起動、時計側のボタンで現在位置を記録する操作をします。この信号がアプリに送られ、GPSのデータと照らし合わせて、現在地を記録します。再び時計側でボタンを長押しすると、秒針と液晶表示でその場所の方向と距離を示す、という機能です」

  • GG-B100

    秒針でその場所の方向と距離を表示する

牛山氏「ヘリから降りたレスキュー隊員が救助活動を終えて、ヘリにピックアップされるときなどをイメージした機能ですが、日常生活でも役立ちます。たとえば、広い駐車場に停めた自分の車の位置や、海外でホテルの場所がわからなくなってしまいそうなときなど。MASTER OF Gユーザーの方は、普段の生活にもセンサーの機能を上手く利用してくださっていますし、陸がテーマのMUDMASTERなら、こんな機能も役に立つのではないでしょうか。

GG-B100のフェイスには、扇形の羅針盤風の目盛りがありますが、これは、このロケーションインジケーターのための目盛りなんです。自分が目指している場所は『30°の方向の600m先』、といったふうにわかります。

高度計でも同様の機能が使えます。時計側で現在地の高度を記録すると、移動したとき、記録した場所から高度がどれくらい上下したかがわかる。ルート上に登り坂と下り坂が複数あると、結果的に上がった下がったかがわからなくなりますよね。この機能を使えば、自分の移動した高度差がすぐわかるというわけです」

さすが、かつて「ミスター・プロトレック(PRO TREK)」「ミスター・トリプルセンサー」と呼ばれた牛山氏。目の付け所が違う(というか、機能がPRO TREKっぽい)!

  • GG-B100

    GG-B100の特徴的な扇形目盛りは、このためにあったのだ!

この扇形の目盛り形状も、視認性向上のためにある工夫をしているという。

橋本氏「横から見るとわかりやすいのですが、ちょっと手前に起き上がっているんです。こうすることで、ちょっと時計を傾けただけで、目盛りがユーザーの視線に正対して見やすくなるんですよ。だからといって立てすぎると針にぶつかってしまうので、ここでも安田とコンマ何ミリ単位の調整を……(笑)」

安田氏「このデザインを見てもらえばわかると思いますが、凹凸の間隔が信じられないくらい微妙。この隙間に金型が本当に入るのか疑問でした。これだけでも難しいのに、この造形の稜線に線を印刷しているんですよ。この造形の細い峰の部分に」

  • GG-B100

    目盛りのわずかな起き上がりと稜線への印刷に刮目!

橋本氏「これも、できるかどうかまったくわからなくて……。安田に相談したら『やってみましょう』と言ってくれた。何だかんだいってもチャレンジ精神が旺盛なんですよ。それが彼の良いところですね(笑)」

安田氏「上司からも本当にできるのかと言われたんですけど、自分の中では、まぁカッコイイからやってみようかと、そこは押し通しました。何から何まで、やったことがないのオンパレードですが、そこで挑戦することをやめてしまうと、もう新しいアイディアは出てこないし、進化もありません。であれば、チャレンジするしかないでしょう」

  • カシオ計算機 安田巧氏

    安田氏のこのチャレンジ精神がなければ、GG-B100は誕生しなかった(断言)

(一同拍手)

橋本氏「造形の峰に白を印刷すると、線がブロックで浮き出てきて、平面よりずっと見栄えも視認性も良好になるんです。GG-B100のフェイスデザインを、デザインと設計手法で実現できたと思います」

さぁ、次回はいよいよ最終回。バックやバンドに施された工夫、そして時計の使い勝手を大きく向上させる画期的な機能についてだ。