妊娠しやすい時期はいつ? 妊娠のしやすさを調べる方法

妊娠しやすくなるために重要な役割を果たしている卵巣、卵管、子宮がきちんと機能しているかを知るための目安を船曳医師に解説してもらった。

卵巣

「月経が順調にあることは、排卵する卵巣の目安となります。1カ月に1回あれば大丈夫で、3日前後のずれは心配ありません。基礎体温を毎日測ることでも、排卵しているかどうかがわかります」

基礎体温とは、体が安静な状態にあるときの体温を指す。基礎体温を毎日測ることで、妊娠に必要な体の変化やリズムを把握できる。排卵が起こると体温が上がるため、数字の変化から排卵のあったことがわかる。基礎体温を計測する際は以下のポイントに注意しよう。

(1)婦人体温計を使用する

専用の体温計を使用して小数点第2位まで細かく計測するとよい。

(2)舌下で測る

比較的体温が安定している舌下(ぜっか)で測ると、正確な基礎体温が得られやすい。

(3)起床直後に測る

少しの動作で体温は変化するため、ベッド脇に体温計を置いておき、可能な限り起きた直後にすぐ測るようにしよう。

卵管

「動きのよい卵管かどうかを調べる方法はありません。卵管が通過しているかどうかは造影剤検査でわかりますが、動いているかどうかはわかりません。動きが悪くなる原因となるようなクラミジア感染症になっていないか、子宮内膜症になっていないかは、婦人科で調べることができます」

子宮

「着床しやすいかどうかを調べる方法は、月経量です。『月経量が極端に少ない』『3日以内で終わり、ナプキンにつく量が少ない』『子宮の中の手術をしたことがある』という場合は、婦人科で調べたほうがいいでしょう」

妊娠しやすい時期と排卵日の関係

一般的に、排卵後の卵子が生存しているのは24時間、精子は72時間とされている。寿命が長い精子が先に子宮内の卵管膨大部で卵子を待っている状態にあると、妊娠の可能性は高くなるため、排卵日の2~3日前が「妊娠しやすい時期」と言えそうだ。

妊娠しやすい体づくりのために気をつけること

先天的に妊娠に不向きな体質であるケースはまれであり、ライフスタイルや生活習慣が妊娠に関連しているのであれば、自身の行動変容によって「妊娠しやすい体」へと近づけることが可能となる。そのために注意すべきポイントを以下にまとめたので参考にしてほしい。

(1)体重

「BMI(体重kg÷身長m÷身長m)を計算してみてください。数値が18.5を下回ってしまうと、卵巣は排卵しにくくなります。また、BMIが30を超えても、排卵しにくくなります。どちらの場合も、定期的に月経が来ている方は大丈夫ですが、月経不順の場合は体重を調整しましょう」

(2)喫煙

たばこは卵子の数を減らしてしまうので、将来妊娠しにくくなるリスクがある。喫煙の習慣がある女性は、減煙・禁煙に励むようにしよう。

(3)食事

妊娠を直接的に促すような食材はないが、抗酸化力を上げる緑の葉野菜を食べた方がいいという。他にも腸や子宮の細菌叢(そう)を整えるため、豆やごぼうなどの食物繊維や納豆、みそといった発酵食品、さらには妊娠初期にも必要な葉酸を含むアスパラガス、ほうれん草、納豆を積極的に摂ったほうがいいとのこと。

「女性の社会進出が進み、働いている女性も増えているかと思います。営業と営業の合間や、仕事終わりの夜食などでコンビニエンスストアを活用される方もいることでしょう。そのような際に何を買うか迷ったら味噌汁や納豆、五目豆、グリーンスムージー、ヨーグルトといったものを選べばよいと思います」

※写真と本文は関係ありません

取材協力: 船曳美也子(フナビキ・ミヤコ)

1983年 神戸大学文学部心理学科卒業、1991年 兵庫医科大学卒業。産婦人科専門医、生殖医療専門医。肥満医学会会員。医療法人オーク会勤務。不妊治療を中心に現場で多くの女性の悩みに耳を傾け、肥満による不妊と出産のリスク回避のために考案したオーク式ダイエットは一般的なダイエット法としても人気を高める。自らも2度目の結婚、43歳で妊娠、出産という経験を持つ。2014年、健康な女性の凍結卵子による妊娠に成功。出産に至ったのは国内初とされる。著書に、「婚活」「妊活」など女性の人生の描き方を提案する著書「女性の人生ゲームで勝つ方法」(2013年、主婦の友社)、女性の身体について正しい知識を知ってもらえるよう執筆した「あなたも知らない女のカラダ―希望を叶える性の話」(2017年、講談社)がある。En女医会にも所属している。

En女医会とは
150人以上の女性医師(医科・歯科)が参加している会。さまざまな形でボランティア活動を行うことによって、女性の意識の向上と社会貢献の実現を目指している。会員が持つ医療知識や経験を活かして商品開発を行い、利益の一部を社会貢献に使用。また、健康や美容についてより良い情報を発信し、医療分野での啓発活動を積極的に行う。En女医会HPはこちら。