キーボードは非常に扱いやすく、ポートも豊富に用意
もともとThinkPadシリーズのキーボードは、扱いやすさに定評がある。X1 Yoga 2019年モデルのキーボードも変わらず非常に使いやすい。19mmフルピッチ、十分に深いストローク、無理な部分のないキー配列、しっかりタイピングできる打鍵感など、どれを取っても申し分ない印象で、さすがのひと言だ。
X1 Yogaの従来モデルでは、180度以上ディスプレイを開くとキーボード全体が沈むという独特の機構を備えていたが、2019年モデルでは省かれている。この仕様変更は、本体の薄型化やキーボードのさらなる打鍵感向上を目指してのものだろう。キーボードが沈む機構がなくなっても、タブレットモードなどで利便性が損なわれたと感じることはなかった。
ポインティングデバイスも従来同様、スティックタイプのTrack PointとパッドタイプのTrack Padの同時搭載となる。ディスプレイのタッチパネルも加えて、利用スタイルに合わせてカーソル操作などが行える点も、作業の効率性を高めてくれるだろう。
本体側面のポートは、左側にThunderbolt 3を2ポートと、有線LANアダプタ接続用の専用ポート、USB 3.0、HDMI、オーディオジャックを用意。右側にはUSB 3.0が1ポートのみ用意される。
ThinkPadウルトラドッキングステーションなど、オプションのドッキングステーションが利用可能となっている点も、特にビジネスシーンで大いに役立つはず。ただ、従来モデルで用意されていたmicroSDカードスロットが廃止となった点は残念だ。
生体認証機能は、Track Pad右に指紋認証センサーを標準で搭載し、ディスプレイ上部には顔認証カメラを搭載可能となっている。顔認証カメラには、レンズ部分を物理的に覆うThink Shutterが搭載されるため、プライバシー保護も問題ない。
ほか、X1 Carbonと同様にスピーカーとマイクが強化された。キーボード奥に中~高音域スピーカー、底面にウーファーを搭載し、Dolby Atmosもサポートすることでクオリティが向上。ディスプレイ上部には4つのマイクを搭載し、360°全方向の音を集音できるようになったことで、オンライン会議も快適に行えるとしている。働き方改革の推進を後押しする機能としてレノボがアピールしている点でもあり、注目の機能となるだろう。
性能は申し分ないが、高負荷時の発熱はやや気になる
ベンチマークテストの結果を紹介していこう。始めにPCMark 10からだ。こちらの結果を見ると、同じCPUを搭載するノートPCの結果と比較して同等以上の結果が得られている。試用機ではCPUにCore i7-8565Uを搭載していたが、性能的には申し分ないと言ってよさそうだ。
ただし、ベンチマークテストなど高負荷時には空冷ファンが勢いよく回転してややうるさく感じるのと、本体底面やキーボード右上付近が比較的高温になる点が気になった。特にキーボード面の温度はタイピング時に如実に感じられるため、熱処理に関しては改善の余地があるように思う。
次に、内蔵ストレージの速度をCrystakDiskMark 6.0.2で計測してみた、シーケンシャルアクセスはリードが3086.4MB/s、ライトが1602.4MB/sと、PCIe/NVMe SSDらしい速度が出ている。ハイエンドSSDにはもっと高速なものもあるが、実際の作業でその差を体感できる場面はほとんどなく、これだけの速度があればまったく不満はない。
最後にバッテリー駆動時間だ。今回は、PCMark 10に用意されている「PCMark 10 Battery Profile」の「Modern Office」を利用した。ディスプレイのバックライト輝度を40%に設定して計測したところ、12時間59分を記録した。
実際のビジネスシーンでの利用を想定したテストでこれだけの駆動時間があれば、通常利用する場合でも安心して利用できるだろう。モバイルビジネスマンにとって非常に心強いのではないだろうか。
いろいろな角度からX1 Yoga 2019年モデルを見てきたが、不満な部分がいくつかあるものの、全体的には非常に完成度が高く、ビジネス2in1モバイルとして現在もっとも魅力的な製品の1つに仕上がっていると感じる。軽さを優先し、タッチやペン入力が不要ならX1 Carbonをおすすめするが(*)、幅広い用途で活用できるビジネスモバイルを探しているなら、X1 Yogaは真っ先に検討すべき製品と言っていいだろう。
(*)ThinkPad X1 Carbonの構成には、タッチ対応の液晶ディスプレイと、非対応の液晶ディスプレイが用意されている。