プロが「Fresco」を使ったらどうなる?
体験会では、Adobe Creative Residency2019のプログラムメンバーで、イラストレーターの福田愛子さんが登壇。Frescoで描いたひまわりのイラストが完成するまでの過程を紹介しました。
Frescoタッチ&トライ、面白かったポイントは
今回Frescoを実際に試して面白かったポイントは、大きく3つありました。
1つはライブブラシで、水彩、油彩ともに、リアルタイムの絵の具の広がりや重ね合わせの描画が非常にうまくできています。油彩を描いたことはありませんが、実際に水彩で描くときと比べると、特に細い線ではやや機械的な印象もありますが(とはいえブラシ設定を調整すれば解決するポイントと思われます)、普段描かない人間としては、色はこういうふうに滲むのかと楽しみながら、気軽にお絵かきができました。アナログのお絵かきと違い、2本指で画面を叩くとUNDO、3本指で叩くとREDOと、iPadならではの操作性で手軽にやり直しできるのもよかったです。
2つ目はタイムラプス。イラストが完成したら書き出し(保存)ができるのですが、同じ書き出し機能から、タイムラプス動画をAirDropやクラウドストレージに保存できます。AirDropでiOSデバイスに保存すると、自動で「写真」フォルダへ格納され、見返しやすかったです。イラストが出来上がる過程が動画になるのは、それだけで1作品できてしまったかのような印象があり、全く絵心がないのに上手になったと錯覚しそうになりました。
3つ目はFrescoで描いたイラストの保存操作。FrescoがインストールされているiPadへの保存は書き出しから行えますが、きちんと保存操作をせず、描いた後そのままメイン画面へ遷移した場合でも自動でデータが残され、Frescoで再び開いたり、クラウドへ書き出したりすることができます。描いている途中で強制終了したときも、再度起動した後には直前まで描いた内容が反映されており、数日試した限りでは、しまった、保存し忘れた……! という惨事が起きなかった点も、よくできていると感じた点でした。
Frescoと他アプリとの連携
Frescoは開発初期からクリエイターの意見を取り入れ、製品に反映してきました。モバイル向けのドローイング機器が普及するなかで、プロの需要を満たし、かつ一般の人も使いやすいドローイングアプリを作ろうという目的で開発が進んだといいます。
Adobeは、デスクトップ向けのPhotoshopを“機能のハブ”的な存在に位置づけるといいます。Photoshopを起点とし、各機能を単体のモバイルアプリとして独立させていく構想です。たとえば、ドロー&ペイントアプリとして独立したFrescoでは、作った作品を後からPhotoshopで読み取って仕上げられます。ただし逆はできず、例えばPhotoshopやIllustratorで作った作品をFrescoで編集することはできません。
しかしFrescoでは、これまでPhotoshopで使ってきたブラシを活用できるのも大きな魅力です。もちろん、AdobeがPhotoshop用に公開しているブラシのダウンロードも可能で、この「ブラシのエコシステム」も、Frescoの特徴のひとつに挙げられるでしょう。
Frescoを使って完成したイラストは、PNG、JPG(高画質・中画質・低画質)、PSD、PDFで保存でき、AirDropやクラウドストレージでの保存・共有にも対応します。描き始めから描き終わりまでを.mov形式の短縮動画で記録するタイムラプス機能も標準装備。制作過程を簡単に記録することができます。
現時点での対応OSはiOS 12.4以降、対応iPadはiPad Pro(全モデル)、iPad Air(第3世代)、iPad(第5および第6世代)、iPad mini(第5世代)となっています。とはいえ今後、例えばSurfaceやワコムタブレットなど、他のタッチ操作デバイスに対応したバージョンもリリース予定とのこと。
正式リリースは2019年後半。公式ページでは、Frescoのプレリリースへの登録も受け付けています。興味を持った方は登録してみてはいかがでしょうか。