小学校をリノベーションしたグランピング施設に宿泊

宿泊先となる「ノルディスクヴィレッジ ゴトウアイランズ」は、旧・田尾小学校校舎と同校の敷地をリノベーションして生まれたユニークなグランピング施設だ。愛らしく懐かしい小さな校舎は、管理室や食堂、ベッドルームなどを備える宿泊施設へと姿を変えた。もともとは校庭だった場所には、北欧のアウトドアブランド「ノルディスク」製の大型コットンテントが設置されている。

  • 福江島での旅の様子

    「ノルディスク」製のコットンテントでグランピングを体験

テントは2~3名用の「ヴァナヘイム」(24平方メートル)が4張、2名用の「アスガルド」(19.6平方メートル)が1張で、宿泊したのは広いタイプのヴァナヘイムだった。テント内には2つのベッド、ソファー、冷蔵庫、テーブル、ポット、マグカップなど、ホテルにある基本的な備品がほとんど備わっている。テレビはないが、あってもグランピングには無粋というもの。ただし、Wi-FiとBluetoothスピーカーが完備されているので、好きな音楽を聴きながらくつろぐことができる。

テント前のタープとテーブルセットはリビング代わりに使える。テントとはいえエアコンも完備されているので、暑い時期ではあったものの、室内ではかなり快適に過ごせた。別棟ではあるが、シャワー室や調理場も完備されている。

日が沈むと、あたりは暗闇に包まれる。建物の陰に回ると、宿泊施設内の明かりがさえぎられるため、空一面の星たちを見ることができる。ちょうど、宿泊した日は流星群が観測できる時期と重なっていたため、流れ星を見つけることもできた。

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    テントにはホテル並みの備品が備わっているので、快適に過ごすことができた

食事は自炊も可能だが、提携レストランや野外でのバーベキューならば、五島産の食材をふんだんに使った食事が楽しめる。豊かな自然と広大な敷地に恵まれた五島では、漁業だけでなく畜産や農業も盛んで、米作りも行われている。島内には米、麦、芋を原材料に焼酎を生産する「五島列島酒造」やワイン醸造の「五島ワイナリー」もある。食に対する期待を裏切らない環境なのだ。

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    福江島は食の宝庫でもある。牛肉はご当地和牛「五島牛」だ

気になる宿泊費だが、テントでの宿泊を選んだ場合、レストランの夕食つきで2万1,000円~2万8,000円(1名、消費税別)、夕食BBQつきで2万4,000円~3万1,000円(1名、消費税別)と少々お値段が張る。ただ、この価格は通常の夕食付宿泊プランと同等の設定なので、Bクラスが無料(ガソリン代別途)で使えることを考えると、レンタカー代の分だけお得という内容となっている。なお、Bクラス付きの特別プランは2019年8月9日~2019年12月27日までの期間限定で、募集は1日2組までだ。

Bクラスはメルセデス・ベンツのクルマであるだけに、トールワゴンといえど乗り心地もよく、島内観光を快適に楽しむ心強い味方となってくれる。もちろん、ナビゲーションシステムや先進安全運転支援機能、Bluetoothオーディオ機能など、ドライブに役立つ機能も満載だ。

  • 福江島での旅の様子

    メルセデス・ベンツ「Bクラス」が乗り放題のグランピングと考えれば、このお値段はお得かもしれない。この宿泊プランを利用したい人はHPを確認してみよう。空きがなさそうな場合でも、念のため電話で聞いてみるのがオススメだ

福江島へのアクセスは、確かによくない。しかしながら、地産地消が可能なほどの豊かな自然に恵まれ、自立した島であるだけに、観光地にありがちな派手な看板もなく、のどかな風景がどこにでも広がっている。あれだけ美しいビーチも、観光客でごった返すということはまずないそうだ。まさに、隠れた楽園といえる場所なのである。Iターンが多いというのもうなずけるほど、福江島には生活基盤がそろっているので、滞在に不便を感じることもない。可能であれば、ロングステイしてみたくなる場所だ。

ユネスコ世界遺産に正式登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」には、五島市に点在する潜伏キリシタンの集落や教会が含まれている。福江島にも当時の歴史を伝える貴重な古い教会が多く現存するだけに、今後、このあたりの観光地としての注目度は高まりそうだ。ただ、その立地から考えると、のどかな風景が失われることはないだろう。

  • 福江島での旅の様子

    観光地として注目が高まる五島だが、福江島の素敵な風景が失われることはなさそうだ。写真は福江島にある水の浦教会。新垣結衣主演の映画「くちびるに歌を」のロケ地にもなった

宿泊した「ノルディスクヴィレッジ ゴトウアイランズ」は「ヒュッゲ」(デンマーク語で安らかで居心地がいいこと)な空間を魅力としてうたっているが、この島自体がすでに、ヒュッゲな場所なのである。日本にも、まだまだ知られない素敵な場所があるのだなと実感できた旅であった。