――テレビシリーズではレジェンドライダーの俳優さんもかなり登場されています。レジェンドの方からのアドバイスで特に印象を受けたものはありますか?
EP37「2006:ネクスト・レベル・カブト」EP38「2019:カブトにえらばれしもの」の"カブト編"の撮影中に、「もっと視野を広げろ」と、事務所の先輩でもある佐藤祐基(仮面ライダーガタック/加賀美新役)さんに言われたことです。「キャラとしても、お前の性格上でも、もっと周りを見てお芝居した方がいいよ」と。自分でも自覚していることではあるんですけれど、再確認することができました。自分のいいところでもあり、欠点でもあると本当に思っていて、これはずっと考えてるところでもあります。
――そういう真っすぐさは、芯の通ったゲイツのキャラにも通じているのではないでしょうか。押田さんは、ゲイツというキャラクターの魅力をどのようにとらえていらっしゃいますか?
すごくヒーローのど真ん中のような人間ですよね。芯もすごく通ったキャラクターです。それがソウゴと出会って、普通の18歳の人間に戻っていく……。僕の中では、この「ソウゴとの出会い」を、ゲイツが変化していく理由づけみたいにしてるんです。ソウゴと出会ったことで、ゲイツは今いろんなキャラを見せています。今までだったら絶対やらないようなコミカルなところもやっていますね。
――視聴者から見たゲイツ、ソウゴというのも最初のイメージから変わってきた印象があります。序盤は、ゲイツは計算高くて、ソウゴはちょっと天然なのかな……と思っていたのですが。
どうなんですかね、僕の解釈かもしれないですけれど、逆に天然なのはゲイツで、ソウゴの方が計算していると思うんですよね。ソウゴは天然っぽいんだけれど、全部計算のうち。そんなところが"魔王"を彷彿とさせます。ゲイツの方がバカ正直なので、逆に天然っていったらそっちの方が当てはまるんじゃないかな。だからゲイツの方がいろんなことを面と向かって言える気もするんですけれど、それもソウゴが言わせてる感じになることもありますよね。
――ゲイツを演じる中で、特に心に残っているセリフはありますか?
EP28「オレたちのゴール2019」でアナザージオウに向かって、ソウゴのことを「おれの友達だ」と言ったところですね。やっぱりゲイツとソウゴの関係性を一旦完結させたところだと思うので、記憶に残ってます。
――一年間、『仮面ライダージオウ』という作品に関わられてきた中で、「超英雄祭」など、大勢のファンの前でキャラソンを歌ったのも初めての経験ですよね。
いい経験をさせていただきました。歌が得意な方ではないので、最初は「えー!? 僕がやるんですか?」って正直思ったんです。でも、日本武道館って、トップクラスの歌手じゃないと立てないような場所。そんな舞台に立たせてもらって、1万数千人の方の前で歌わせてもらったことで、一つ肝が座ったじゃないですけれど、達成感はすごくありました。キャラソンに関しては、歌が下手でも、そのぶんパフォーマンスでなんとかしてみようと工夫してみたり、色々と考えてやってみたんですけれど、どうだったんだろう……。でも、本当にいい経験でした。
――それでは、ついに公開となる映画の話題にいかせていただきまして、押田さんはゲストで織田信長を演じる前野朋哉さんとの絡みも多いようですね。
前野さんは本当に、頭の柔らかいというか、面白い方です。例えば、僕らがト書きを読んで、こういう風にやるんだろうな……というイメージを120%で越えてきて、しかもそれがバチンとハマる。本当にアイデアとその引き出しがたくさんある素晴らしい人で、キャスト全員がすごく刺激されていました。現場でも、コミカルな芝居をされていたので、僕たちは本当に素で笑ってることが多かったですね。どこかでそういうコミカルな役をやった時は、前野さんを思い出してではないですけれど、参考にさせていただきたいと思いました。
――映画で大変だったシーン、記憶に残っているシーンはどこでしょう。
1200人のエキストラさんが参加してくださったシーンですね。人数が多かったのもあって、本当に大変なシーンでした。ただ参加してくださったみなさんの熱がすごかったので、それで最後まで撮りきれたように思います。
――映画では押田さんは甲冑も身につけられているんですよね。
僕は個人的に時代劇が好きなんですけれど、甲冑を着たシーンは、撮影中から自分でも完成が楽しみだったんです。着てみると本当に重かったですね。スーツアクターさんの気持ちが初めてわかりました。重いし、暑い(笑)。
――レジェンドライダーとして、映画では仮面ライダーマッハ/詩島剛役の稲葉友さんも出演されることが話題です。
稲葉さんはすごくいい方で、2・3日しかご一緒する機会はなかったんですけれど、みんなのお兄ちゃんみたいな感じになっていました。すごく気さくに話しかけてくださって、こっちが芝居をやりやすいように、みんなでいい作品を作ろう!というスタンスで来て下さったので、凄くやりやすかったです。あまりレジェンドの方と一緒に変身する機会ってないんですけど、壮と稲葉さんと3人で変身もできたし、すごく楽しい撮影でした。
――映画の見どころをあらためて教えていただけますでしょうか。
テレビシリーズでは、レジェンド編がずっと続いてたわけで、『ジオウ』の世界ではありながら、『ジオウ』のキャストだけにフォーカスが当たることってあまりなかったと思うんです。今回は、『ジオウ』メンバーで一つの作品を作っていることが一番の見どころ。田崎監督が『劇場版 仮面ライダーキバ 魔界城の王』(2008年)ぶりに夏の劇場版を撮ってくださるということ、パイロットで田崎監督と一緒に作ったキャラで最後の映画にみんなで出ることができるというのがやっぱり大きいと思います。ゲストの方々も豪華で、とても面白い芝居をしてくださっていたので、そこも見どころです。
――最後に、最終回に向けて今後に向けてゲイツを演じていく上で、現時点で意識していることはありますか?
ゲイツは、最後まで真っすぐな男でいたいと思っています。ここまできたら、ソウゴ、ウォズ、ツクヨミ、できればタイムジャッカーもですけど(笑)、みんなでラストを迎えたいですよね。みんなでいろんな妄想をしてたんですよ、「こうやって終われたらいいな」とか、「バットエンドでもいいな」とか。でもいまは、超ど真ん中の、すごいハッピーエンドで終われたらいいんじゃないかと思ってます(笑)。それこそ、"平成"の文字のイメージのような。最終回まであと1か月ほどですが、最後まで駆け抜けるので、よろしくお願います!
劇場版「ジオウ・リュウソウジャー」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映