寝不足サラリーマンの悩み相談

そうか、寝不足を解消したつもりが、むしろ体調不良の原因を作っていたとは。きっと身に覚えのあるサラリーマンも多いのでは? では、続いてタイプ別の悩み相談にご回答いただこう。

●相談1
普段、仕事が深夜までの及ぶこともあるため、平日は常に寝不足気味です。その分、週末の休みに一日中寝ていることもあるのですが、そうした「寝だめ」は体に良くないのでしょうか? しかし、平日と同じリズムで寝起きすると、ずっと寝不足状態でいることになってしまう気がするのですが?

★回答
週末に寝ることそのものが悪いわけではなく、たまった睡眠負債(睡眠の借金)を寝だめで解消することは良い面もあります。問題は寝だめの仕方で、いつも通りの時間に寝て、朝はゆっくり朝寝坊する、というのは、ソーシャル・ジェットラグを招いてしまうため問題です。また、時差ボケ状態のせいで翌週の半ばまで眠気や集中力が低下した状態が続き、寝つきも悪いため、さらに睡眠負債を抱えるという悪循環に陥ってしまいます。週末の睡眠負債解消では、消灯を早める、朝は早い時刻に一度起きる、昼寝を活用するということを心がけましょう。

●相談2
私は工場に勤務しており、最近、日勤と夜勤を繰り返す勤務スケジュールの中で働くことになりました。慣れていないため、自分の中で時差ボケのような状態になってしまい困っているのですが、どのように体内リズムを整えれば良いのでしょうか。

★回答
日勤と夜勤のような大きな時間差に対して、体内時計を短時間で合わせることはできません。そのため、より長い日数を過ごす方(例えば日勤)を主要な生活習慣として体内時計を合わせ、もう片方(例えば夜勤)はできるだけ体内時計をずらさずに、眠気や集中力の低下だけを回避する方法で対応することが望ましいです。具体的には、勤務前の予防的仮眠や、勤務中の仮眠、カフェインの摂取などです。

●相談3
一日中パソコンを使った仕事をしています。疲れて帰ってすぐに寝ようと思っても、なんとなくすぐに寝付けないのですが、やはりパソコンやスマホの影響もあるのでしょうか?

★回答
パソコンやスマホの使用は精神的な疲労を蓄積し、緊張状態が続きます。スムーズな寝つきのためには、睡眠前にできるだけ長い時間、パソコンやスマホを使わない時間を作り、入浴やストレッチなどで心身をやすめましょう。また、パソコンやスマホの画面に使われているLEDは眠気を少なくし体内時計を夜型化する効果の強い光です。使う必要があったとしても、明るさを抑えたり、色を赤っぽくしたり、ブルーライトカットの機能があるメガネなどを利用して刺激を抑えましょう。

●相談4
夜12時には寝るように心がけているのですが、途中で2時とか4時に目が覚めてしまいます。その結果、朝はスッキリ起きられません。朝までぐっすり眠れるようにするにはどうしたら良いでしょうか。

★回答
体内時計と一致しないタイミングでの睡眠は寝つきの悪さや眠りの浅さ、早すぎる目覚め、目覚め不良などにつながります。夜の光を避け、朝の光を十分に浴びることが第一です。アルコールやタバコ、カフェインも睡眠を阻害するため、睡眠前には避けましょう。寝ている間の光や温度、騒音なども睡眠を妨害する因子です。そのほか、不眠症や睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群など、自分では気づかない睡眠障害が潜んでいる可能性もありますので、思い当たる原因がない場合は専門科への受診も検討してみてください。

●相談5
私はお酒が飲めないのですが、寝酒などではなく、夜寝る前に熟睡するためにおすすめな習慣などがあれば教えてください。

★回答
寝室を暖色系の暗めの照明にし、食事は3時間以上前にすませ、睡眠前のアルコール・タバコ・カフェインを避けてください。また、規則性も重要で、できるだけ決まった時刻に就床するようにしてください。睡眠前にぬるめのお風呂に長めにつかって、体温を上げておくとよい寝つきを得られやすくなります。日中の活動も重要で、夕方ごろに軽い有酸素運動を定期的に行うことで睡眠の質を上げることができます。

まとめ

睡眠は体を回復させ、脳の情報を整理するためのとても大事な行動です。できれば毎日十分な睡眠をとり、睡眠負債を抱えずにしたいところですが、実際にはなかなかうまくいかないもの。少なくとも、睡眠に大きく影響する体内時計を適切に維持することを心がけてください。体内時計の維持には、朝に光を浴び、夜はできるだけ避けること、週末には早めに就寝し、朝寝坊を避けること、昼寝を活用することが重要です。また、睡眠をとる環境も大事ですので、できるだけ暗く静かで快適な温湿度の寝室を作り、アルコール・タバコ・カフェインを避けること。カーテンを開けておき、朝の光を利用することも目覚めやすくする一つの手段です。睡眠が改善されると日中のパフォーマンスもよくなり、精神的にも安定します。少しずつ睡眠がよくなると、結果として生活の質が向上し、良質な睡眠がとりやすくなります。睡眠の改善を通じて、よりよい生活を送ってください。

なるほど、具体的な対策を教えていただき、今日からでも実践できそうだ。良質な睡眠をとるために、あなたも今すぐ初めてみては? 北村先生、ありがとうございました! より詳しい「目覚め方改革プロジェクト」の情報は、オフィシャル・ウェブサイトでチェックしてみよう。

岡本貴之(オカモト タカユキ)

1971年新潟県生まれのフリーライター。音楽取材の他、グルメ 取材、様々なカルチャーの体験レポート等、多岐にわたり取材・ 執筆している。好きなRCサクセションのアルバムは『BLUE』。趣味はプロレス・格闘技観戦。著書は『I LIKE YOU 忌野清志郎』(岡本貴之編・河出書房新社)」。