■心情の移り変わりも楽しんでいただけるポイント
――アフレコシーンには、やはりおふたりのアフレコ経験も生きているんでしょうか?
太田 稽古中に演出家の方から「実際はどんな感じですか?」と聞かれて、実際の現場の要素を取り入れて作っています。斬新ですよね。
牧野 斬新だと思いますね。「リアルをより面白く見ていただけるように」っていう工夫がされていて。マイクの使い方や台本のめくり方など、普段やっていることはどんどん取り入れているので。それと、心情の移り変わりも楽しんでいただけるポイントだと思います。例えば、役者さんが「え、これっておかしいんじゃないの?」と感じたときに、そのお芝居にもっていくためにどんな努力をしているのか、っていう過程が見えるのも面白いなと思っていて。声優を目指している方に見ていただくと、それこそ大先輩のおふたりもいらっしゃるので、とても素敵な経験になるんじゃないかなと思っています。
太田 「こんな緊張感の中でああやって喋っているんだ」っていうのをぜひ見てもらいたいですよね。ただ、僕が演じている小田さんは、本当にとんでもないやつなので。
牧野 緊張感とは程遠いところにいるね。実際の現場にいたら全部録り直しになるぐらいノイズ魔ですし。
太田 「あいつ声優現場で何やってんだ」って思われかねないですけど、そういう役なんです(笑)。だから、僕自身はちゃんとしたいいやつだよっていうのを伝えるべく、公演が終わったあとにストラボ(=ストラボ東京での番組配信)やりたいなって(笑)。
牧野 あはは(笑)。弁解するの?
太田 はい。弁解のストラボをやりたいです。でもそれぐらい思わせられたら、ちゃんと小田プロデューサーという役として見ていただけたっていうことなので、そこは覚悟して楽しんでいきたいなと思います。
――ストラボといえば、スペシャル番組では小倉さんと牧野さんが同じ三重県出身だったり、麻生さんと太田さんの実家がご近所だったり、いろいろな共通点が明らかになったじゃないですか。牧野さんと太田さんの共通点というと?
牧野 実はまだ共通点を見い出せるほどの会話をしていなくって(笑)。探しますか?
太田 はい。ありますかね。……髪の毛が茶色い。服が黒。
牧野 そうですね。黒で合わせたかのような。同じファッションブランドが好きで、たまに持っているものがかぶるので(笑)、嗜好が少し似ているんでしょうね。
太田 そうかもしれないです。Twitterに載せていた(北海道での)いくら丼、めっちゃ美味しそうでした。
牧野 いくら好きなの?
太田 大好きです。
牧野 そうなんだ。美味しいよねぇ。私も魚介類好きです。
太田 あ、そこも共通点ですね。
――ネギトロもお好きですもんね。
太田 はい。今日もネギトロ丼を食べました。でも、牧野さんとの一番の共通点は、あのー……。やっぱ髪色ですかね(笑)。
牧野 何か新しいのを出してくるのかと思ったら(笑)。
■デビュー作での初アフレコは
――ここからはそれぞれ個人の活動についてもお伺いしたいと思います。声優の仕事って、先ほどお話にも出たマイクワークや台本のめくり方といった技術も要求されると思うのですが、そういったテクニカルな部分はデビュー当時どう勉強されたんでしょうか。
牧野 私のデビュー作は、ありがたいことに大御所の先輩方がいらっしゃる作品だったんです。生きた教科書のような大先輩たちが目の前でお芝居をされるので、それを見ながら、「これはやっていいんだな、これはやっちゃいけないんだな」というのをずっと自分の台本にメモしていました。
太田 僕は『ドリフェス!』のアプリゲームのアフレコのときに初めて声優としてお仕事をしたんですけど、優しいスタッフさんばかりで、ゼロからすべて教えていただきました。アニメの収録が始まると、今度はスタッフさんだけでなくいろんな先輩方からお話を聞いて勉強していきました。
――そこで声の仕事をする以前、「声優をやってみたい」という気持ちは?
牧野 声優っていうお仕事自体、自分とまったく結びつかない存在でしたね。もう子役とは言えない年齢になってきたタイミングで声優オーディションのお話をいただいたとき、父親が音楽の仕事をしていた関係で緒方恵美さんなどにお会いしたことがあったからこそ、「私なんかが受けてはいけないのでは」っていう気持ちのほうが強かったんです。でも、そこでご縁があり合格をいただいて。そこから10年ぐらいはずっと、楽しいんですけど、「経験が足りない、知識が足りない。いろんなものが足りない。お仕事としてちゃんと成立しているんだろうか」という感覚がありました。
太田 今でこそ「声のお仕事もいろいろやって自分の幅を広げられたら」と思うんですが、僕も別の存在っていう意識でした。俳優としてアミューズに入ってきたので。そこから『ドリフェス!』で初めて声優をやることになったときも、声のお芝居と歌とダンスが同時進行だったんです。だから、深く考える時間もないくらいものすごく忙しい波に乗りながら、みんなとひたすら楽しんだり悩んだり……という感じでした。