2019年7月25日~28日、恵比寿エコー劇場にてVoice-Stage『本番です!』が上演される。小倉久寛、麻生かほ里、牧野由依、太田将熙という“声のスペシャリスト”による、「声」で魅せる新しいジャンルのエンターテインメント・Voice-Stage。立ち上げ公演となる本作は、とあるネット配信企業を舞台にアフレコ現場のリアルが描かれる、完全オリジナルの痛快コメディとなっている。
ここでは、若手キャストの牧野由依と太田将熙にインタビューを実施。前半では本作の魅力を、後半では声優デビュー当時のことや、表現者としての夢を語ってもらった。
※本インタビューは一部ネタバレ有
■「Voice-Stage」イコール朗読劇と舞台のいいとこ取り
――まず、新感覚舞台と銘打たれていますけど、「Voice-Stage(ヴォイステージ)」とはいったい何なのでしょうか?
牧野 今回が立ち上げ公演になるんですけど、朗読劇でも舞台でもなく、その両方のいいところを取っている新しいジャンルが「Voice-Stage」です。
――5月16日にはキャスト勢揃いのスペシャル番組が配信されて。
牧野 実はあのとき、作品の内容についてほとんど情報がなかったんです(笑)。「内容はまだ詳しく決まってないんですけど、めっちゃ面白くなるんで!!」という制作スタッフさんの熱い想いだけがすごく伝わってきていました。
太田 ストーリーや役の詳細を知ったのは顔合わせのタイミングで、わりと最近なんですよね。
――最年少の太田さん、大先輩との配信はいかがでしたか?
太田 緊張して緊張して。以前麻生さんには何度かご飯に連れていっていただいたことがあったんですけど、牧野さんとは初めてお会いして、小倉さんもご一緒する機会があまりなかったので……。すごく変な汗をかきました。
牧野 緊張するよねぇ。隣で見ていてかわいそうになるぐらい汗をかいていて(笑)。
太田 でも、今月から稽古が始まって、すごくいい経験をさせていただいているなっていうのはずっと感じています。
――稽古場からのツイキャス配信もありましたが、すごくほのぼのとした現場ですよね。
牧野 穏やかですね。それこそ演出の大歳(倫弘/ヨーロッパ企画)さんもとても物腰のやわらかい方なので、稽古が始まった当初から雑談が多くて。こんな現場、ほかにないです(笑)。
太田 大歳さんが稽古場にいらっしゃると、宇宙の話とか、今日だと占いの話が始まって、気づいたら30分ぐらい経ってるんですよね(笑)。はじめは時間を気にして「あれ、まだ稽古始まらないのかな?」と思っていたんですけど、最近はそれに慣れてきちゃいました。
牧野 それに、小倉さんと麻生さんが底抜けに優しくて、先輩方に感謝しかないです。
太田 本当に皆さん優しいです。稽古中も思ったことをしっかり言える環境で、そういう現場って絶対にいい作品が生まれると思いますし、作っていてすごく楽しいです。
■多彩な“声のスペシャリスト”が集結
――「海外のネット配信企業が日本向けのサービスをスタートするのに際し、様々なコンテンツの日本語吹き替え版を作ることになる。配信開始まで時間がなく、低予算のため、たった3人で数作品を録音しなければならないという状況になり……」というのが今回のあらすじだそうで、アフレコ現場の舞台裏が見られるんですよね。
牧野 アフレコパートがいくつかある作りになっていて。低予算で作品を成立させようとする小田というプロデューサーがいるので、兼役をしないといけなかったり、標準語とは違う言葉を使わないとけないポイントがあったり、非常につらい状況になっていきます。
太田 次のアフレコまでの休憩シーンもあって、すごくリアルなんですよ。そこでは皆さん役者として自然なお芝居をされているので、そういった声優と役者の切り替えが見られるのもこの作品ならではです。
――休憩中も含めた舞台裏というのは、なかなかレアですね。それに、牧野さんが歌うシーンなんかも出てくると……。
牧野 今回、声優以外にもいろいろな活動をしている、とても多彩なキャストが集まっているんですね。
太田 「いろんなジャンルを通ってきているメンバーで構成されている」っていうのは面白いですよね。
牧野 それぞれのキャスト個人の、声優以外の活動もこの作品に反映されていると思います。
――皆さん、どんな役を演じられているんですか?
牧野 小倉さんは元歌手から転向した役者を、麻生さんは某老舗劇団出身の女優を演じられていています。私が演じるのは咲野さんといって、彼はよく劇中で間違って「牧野さん」とか言ってくるんですけど(笑)。
太田 役者の名前とキャラクターの名前がみんな似ているので、わかんなくなっちゃうんですよね、たまに(笑)。
牧野 これからはアーティストとして頑張っていくのか、女優として頑張っていくのかっていう岐路に立っているアイドルグループ所属の女子です。
――太田さんは少し立ち位置の違うプロデューサー役ですね。
太田 小田さんはみんなを振り回すというか、周りの人はすごくイライラするだろうなっていう人物です。
牧野 すっごいイライラします(笑)。
太田 ですよね(笑)。こういう役を演じさせていただけるのはすごく楽しいんですけど、ちょっと申し訳ないです。伺ったところによると、「太田くん似合いそうだよね」と僕を選んでくださったみたいなので、台本をいただいたときは「僕ってこんなイメージなんだ」と……(笑)。稽古が始まってからもスタッフさんとかから「ほぼあてがきだね」って言われていて。喋り方というか、声の軽い感じは似ていますけど、自分では全然そんなことないと思ってます。
――ちなみに、ご自身は周りを振り回す側なんですか?
太田 うーん……。結構相手によって変わるタイプだと思います。同じ事務所で一緒にグループもやっていた溝口琢矢くんには結構振り回されますね。彼がズバズバものを言って、僕はのまれるみたいな感じの立ち位置なんですよ。地元の友達とかだと振り回しちゃうかもしれないです。