問題は発熱量……

NVMe SSDはその速度ゆえに発熱が大きいことでも知られている。小さな外付けケースでの動作に不安を覚えるところだが、今回使用したTCM2-C3-BK-01はサーマルパッドにヒートシンクも搭載と対策が施されている。実際の効果についてTxBENCH 0.96βで5分間シーケンシャルライトを実行し続けるという高負荷な状況を作って確かめてみた。システム表示系のツールでは温度が表示されず、SSD/HDDの情報表示ツール「CrystalDiskInfo」では温度が表示されたが、正確か判断ができなかったため、赤外線温度計で外付けケースのヒートシンク部分を1分おきに手動でチェックした。

  • 疑似SLCキャッシュが切れない範囲で5分間連続でシーケンシャルライトを実行しても速度は1,000MB/s付近で安定。ヒートシンクの温度はゆっくりと上がっていった

  • 意図的に負荷をかけ、ヒートシンク部分を赤外線温度計で測定した。コントローラに近い部分を狙って温度を測っている

5分経過した時点でも書き込み速度に変化はなく、ヒートシンク部分の温度は67.2℃だった。NVMe SSDは温度が上がりすぎるとデータ転送速度を落とすことで発熱を抑えて故障を防ぐ「サーマルスロットリング」という機能が備わっているが、それが動作している様子は見られなかった。もちろん、容量の限界近くまで書き込みを続ければさらに温度が上がり、速度低下が起きる可能性は否定できないが、数GBレベルのファイルコピーでは心配不要だろう。ただ、当然だが67.2℃でもヒートシンクに触るとかなり熱い。触れないように注意が必要で、あまり熱が逃げない狭い場所には設置しないほうがいいだろう。そこは気を付けておきたい。

  • 温泉たまごができそうな温度に……やけどに注意!

ここまでNVMe SSDの外付け化手順と実際の性能を紹介してきた。その小ささを活かした手軽に持ち運んで使える高速外付けストレージとして十分魅力的と言えるのではないだろうか。最近ではUSB接続のSSDやHDDに保存した動画ファイルの再生機能を備えるテレビも多い。パソコンで編集した動画ファイルをテレビに移動させる手段としても便利だ。また、容量の少ないノートパソコンの外付けSSDとして使うのもいいだろう。1台作っておいて損のない存在だ。