2種類のイヤーピースを同梱。効果の違いは?
注目したい付属品は、種類が異なるシリコン素材の「ハイブリッドイヤーピースロング」と、フォーム素材系の「トリプルコンフォートイヤーピース」です。初代のWF-1000Xも同様に2種類のイヤーピースを同梱していました。
イヤーピースを変えることによる効果は、ひとつには「遮音性と装着感」に現れます。シリコン素材のハイブリッドイヤーピースロングは、外耳道の肌に触れる面積が広めで、少ししっとりとした感じ。開放的な着け心地が特徴です。
一方のトリプルコンフォートイヤーピースは、ハイブリッドイヤーピースロングと比べて肌との接点は少なめながら、やや強めのグリップ感があります。パッシブな遮音性能が得られるため、「耳栓」としての効果も高めなイヤーピースです。
イヤーピースによる違いは、「音質」にもわずかながらに感じられます。WF-1000XM3は密閉型のイヤホンですが、“ハイブリッド”を装着する、と少し開放的な中高域の抜け味が得られます。“トリプルコンフォート”は、中低域がぎゅっと引き締まるタイトなサウンドが持ち味です。
なお、イヤーピースはハイブリッドイヤーピースロングがSS/S/M/Lの4サイズ、トリプルコンフォートイヤーピースがS/M/Lの3サイズを同梱しています。装着感は好みで使い分けるのがいいと思いますが、WF-1000XM3で最高の消音効果を得るためには、自分の耳に合うサイズのイヤーピースを見つけることが肝要です。筆者の場合はハイブリッドイヤーピースロングのLサイズが消音効果も含めて最もよくフィットしました。
イヤーピースを耳の奥まで挿入してしっかりとホールドさせると、WF-1000XM3独自の耳の3点でイヤホンを支えて装着性を高める「エルゴノミック・トライホールド・ストラクチャー」の効果を最大化できます。ソニーが公開している装着方法の動画が参考になります。
少し大きくなった本体、装着感は?
イヤホン全体の装着感は、初代のWF-1000Xがシリコン製のスタビライザー(外耳のくぼみにフィットさせるリング状の着脱可能なパーツ)を採用していたのに対して、WF-1000XM3は耳との接点がイヤーピースのみになります。
重心のバランスは綿密に計算したうえで設計されているイヤホンなので、装着時の安定感は十分に確保されています。ただ筆者の場合、耳に着けながら早歩きをしたり、体を激しめに動かすとイヤホンの座りが若干不安定になることがありました。一人ひとりの耳の形は異なるものなので、イヤーピースの種類やサイズを交換しながら、最適なフィットを見つければ問題ないかと思います。
いずれにせよ、WF-1000XM3は防水・防滴性能をうたっていないので、体を激しく動かして、汗を多くかくスポーツシーンで積極的に使うことはあまりおすすめできません。
機敏に反応するタッチセンサーリモコン
リモコンは初代機のボタン式から、WF-1000XM3はハウジング側面に内蔵するタッチセンサー式に変更されました。イヤホン本体からボタンの存在は完全に消えています。
タッチ操作に対する反応はとても機敏です。ただ、WF-1000XM3に限らずタッチセンサー式のリモコンを採用するイヤホンはみな、着脱時などふとした拍子にパネルに触れてしまうことがあります。WF-1000XM3の場合はノイズキャンセリング機能、外音取り込み機能のオン/オフがリモコンから切り替えられるのですが、知らない間にパネルに触れてモードが切り替わっていることもありました。
WF-1000XM3の動作ステータスは専用アプリの「Sony Headphones Connect」で見える化されているので、時々確認すると良いでしょう。アプリから設定できる「通知音と音声ガイダンス」を「オン」にして使うと、少なくとも装着時にはステータスが切り替わるタイミングが把握できます。
タッチリモコンはノイズキャンセリング機能の切り替え以外にも、音楽再生の一時停止、曲送り、ハンズフリー通話の操作に対応しています。頻繁に使う音量のアップダウンが、初代機と同様にリモコン操作の対象外になっていることが少し残念です。