eSIMってなんだっけ?

続いて、同社の圓山大介氏による「IIJにおけるeSIMの取り組み - サービス開始に向けた軌跡 -」と題したセッションが開かれた。IIJmio meetingでは過去にも何度かeSIMについて解説が行われてきたが、いよいよサービスインを目前にして、eSIMについての概要や、IIJのeSIMに関する取り組みをおさらいする内容だ。

  • IIJではフルMVNOの法人向けサービスなどを担当している圓山氏(右端)。写りが悪いのは撮影者の腕のせいで大変申し訳ない次第

eSIMとはembedded SIMの略で、物理的なSIMカードの中に含まれるプロファイル情報を書き換えられるようにしたものだ。プロファイルはネット経由でダウンロードする。メーカー独自仕様のものもあったが、現在は業界団体がGSMAが策定したモデルに準じたものが、狭義でのeSIMとなる。現在はIoT機器のほか、iPhone XS/XRやiPad、Surface Pro LTE Advancedなど、一部のスマートフォンやタブレット機種で採用が進んでいる状況だ。

  • Appleは独自に書き換え型のSIM「Apple SIM」を実装していたが、最新モデルではGSMAモデルを採用している。Androidでの採用例がいまいち進んでいないのが、ちょっと意外かも

eSIMを導入することで、物理的なSIMが必要なくなるため、ユーザーはいつでもどこでも欲しい時にSIMを入手でき、またSIMの紛失やスロットの開閉による故障といったリスクがなくなる。販売店やキャリアにとっても、SIMの在庫を抱えたり、逆に在庫が枯渇するといったことがなくなるというメリットがある。

一方で、気軽にキャリアを変更できる点はMNOキャリアにとっては不都合なために普及が遅れており、MNPのときはどうするかなど、規格で決まっていないことも多い。

IIJmioでは7月18日からeSIMサービスを開始するが、 実際に端末を検証していくと、様々な問題が発覚しているという。例えばeSIMのプロファイルを指定する際に、一部の値を指定しなくても規格上で定義されているデフォルト値を指定してくれる「テンプレート」を使うと、不具合が発生するケースがあったり、端末からプロファイルを削除した場合、プロファイルを管理するSM-DP+への通知を行うタイミングが規定されておらず、プロファイルを削除したことがわからない、などだ。

  • テンプレートはプロファイル作成の手間を省くために用意された機能だが、規格側の不備で正しく運用できないケースがある模様。このように規格自体が成長中の場合、大きな変更等が途中で加わるリスクもある

こうした問題もあって、IIJmioが開始するeSIMサービスはβ版という扱いになるわけだ。今後、正規サービスの提供に向けて、規格側のアップデートも含めて調整を進めていくことになる。