7月10日、本屋B&Bにて、美容ライター長田杏奈さんと平成元年生まれのオタク女子4人ユニット劇団雌猫による「だから私たちは美容する」『美容は自尊心の筋トレ』(Pヴァイン)刊行記念トークイベントが開催された。

  • だから私たちは美容する」『美容は自尊心の筋トレ』刊行記念トークイベントが開催された

    「だから私たちは美容する」『美容は自尊心の筋トレ』刊行記念トークイベントが開催された

『美容は自尊心の筋トレ』は6月19日に発売された、長田杏奈さんによる美容エッセイ集。モテようとも若返ろうとも、綺麗になろうとも書いていない、化粧品もちょっぴりしか載っていない美容本で、美容の観点から女性の自尊心を高めることを提唱している一冊だ。SNSで話題を呼び、発売して2週間で重版が決定している。

劇団雌猫が昨年10月に発売した、様々な女性の美意識やメイク、おしゃれへの声を集めたエッセイ集「だから私はメイクする 悪友たちの美意識調査」コミカライズを記念し、同書に長田さんのインタビューが掲載されていた縁から、今回のコラボレーションが実現した。

トークイベントには長田さん、劇団雌猫のかんさん、もぐもぐさんの3人が登場し、出版への思いや美容に関する話題が繰り広げられた。

 「美容は自尊心の筋トレ」ができた理由

「美容は自尊心の筋トレ」という目を引くタイトル。なぜこのような本を書いたのだろうか。今の美容世界は、こうすれば美人になれる、こうすればモテると型にはめる考えが強く、「全員が美人」と信じる長田さんは、フラストレーションを感じていたそう。女性は多くの場面で美容に関わっている。「誰かに評価され、コンプレックスに苛まれる美容」ではなく、「自分を好きになり、健やかな自尊心を育むための美容」を伝えたい思いから今回の出版に至ったという。

長田さん自身、自分を好きになることに負荷がかかるタイプ。自虐的になりそうなところをグッとこらえ、自分を受け入れるために意識する努力を「筋トレ」と表現した。美容に苦手意識がある人にも読んでもらいたいと、写真を使わず、化粧品もほとんど紹介せず、基本的な考え方や美容にまつわる違和感を文字だけで訴えかけた。

 自尊心の筋トレ十訓

本書は、初めに自尊心の筋トレ十訓から始まる。本文を執筆する前に、この十訓をまとめることから始めたそう。長田さんの伝えたいことが詰まっている十訓を紹介しよう。

  1. 生きているだけで美しい
  2. 自分大好きは褒め言葉
  3. 楽しい努力を選ぶ
  4. コンプレックスは魅力の泉
  5. 自虐で笑いを取るべからず
  6. 褒められたら「ありがとう」
  7. 嫉妬は自分の磨き石
  8. 夜中にモテで検索するな
  9. みんなで浮けば怖くない
  10. 今の私がいちばんイケてる

ひとつずつ読み上げた際、会場が盛り上がったのは「夜中にモテで検索するな」の部分。夜はいろいろと一人で考え込んでしまう時間。「モテ以外にも、占いに課金するとかエゴサーチも当てはまります」という長田さんに、会場からは納得の声が上がっていた。

「嫉妬をしてはいけない」「人と比べてはいけない」と、よく言われる。これは相手を嫉妬することで、ネガティブスパイラルに陥る人が多いからであろう。しかし長田さんは、嫉妬は自分を磨くチャンスだと考え、十訓に「嫉妬は自分の磨き石」を入れた。

長田さん「人間の本能として嫉妬はしてしまうもの。嫉妬してしまう相手のことをずっと考えたり、嫉妬心から目を背けて我慢をしていると表情にも出てくると思うんです。気持ちに蓋をして腐らせてしまうより、それを自分を磨く材料にしてチャンスに変えたらいいと思います」

嫉妬をしまう気持ちを認め、相手を自分を研究するための鏡にしてしまうと良いという。学びの材料にしてしまうことで、ざわざわとした嫉妬の感情をチャンスに変える。考え方を変えることで、自分を大切に思うきっかけとなるかもしれない。

  • 手作りの花冠を付けた長田杏奈さん

     手作りの花冠を付けた長田杏奈さん