■会場一体となって見据えた、虹の向こう側
ふたりのステージが終わると、スクリーンにピンクの羽が映し出され、Aqoursが「Brightest Melody」をアニメにリンクさせて円陣からスタート。頭サビ後は表情晴れて明るく披露していくと、1サビ前にはジャケットを脱いでの早替えも交える。
2-Aメロでは斉藤・逢田が表情と歌声双方でポジティブさを表現していたし、落ちサビラストの伊波の「きっと...」のフレーズの歌声にも感情の深さが感じられた。するとステージセットには虹がかかり、「Over The Next Rainbow」の披露へ。メインステージではAqoursが、センターステージではSaint Snowがそれぞれ歌い始め、2番で2組が混じり合い、繋がる。
メンバーの振りに合わせてサブスクリーンの上部にも虹がかかり、客席の無数のペンライトのワイパーも幾重もの虹を形作っているかのように見えた。
さて、ライブも終盤。Saint Snowがコメントをおくって降壇すると、続いてAqoursメンバーからも、ファンへとメッセージがおくられていく。この日は鞠莉の誕生日・6月13日が近かったことから、鈴木の挨拶では会場中からの「マリー、お誕生日おめでとう!」の唱和がなされ、「ありがとデース!」と鞠莉として鈴木が返事。
さらに「マリー、ほんとにすっごくすっごくうれしいです!」と続けて、"ふたり"一体となっての感謝の言葉を述べていた。その後もメンバーが次々に、9人でステージに立てていることの喜びや尊さ、毎回ライブに足を運んでくれる"10人目"への感謝の言葉を口にしていくと、最後にリーダー・伊波の順番へ。
まずは肌寒かったこの日の気候に合わせて、千歌の「かんかんみかん」コールで一緒に動いて場内を温める配慮をみせると、「この9人でやってきたことが全部形になって観れたこの景色って、すごいぞー! 千歌はとってもうれしいです!」と!高海千歌!としての想いも口して、「私の始まりは『ラブライブ!』が大好きっていう気持ちだけでした。もっと『ラブライブ!サンシャイン!!』を、Aqoursを、沼津を広めたい! これからもよろしくお願いします! 頑張るぞー!」と高らかに意気を上げていた。
そして本編最後を飾ったのは、「Jump up HIGH!!」。楽曲の序盤にトロッコ3台に9人が分乗し、ファンを巻き込んでタオルを振り回しながらの披露。2サビで向正面で3台が合流して9人が跳ねながら歌う姿は、まるでライブのカーテンコールのようでもあった。
曲明けにはひとつのトロッコに集合してファンへと一礼すると、「みんなの近くに行っちゃうよ! 全速前進?(斉藤)」「ヨーソロー!(観客)」の掛け合いに続いてアリーナ外周をトロッコが走破。メインステージに戻って改めて一礼し、本編は幕を下ろした。
■最後まで劇場版と密接にリンク コンセプトの色濃いライブが完成
9人がステージから降りたあと、アリーナはオレンジ一色に染まる。一方スタンドは、内側から順にバイオレット、エメラルドグリーン、レッド、ホワイト、ピンク、イエロー、サクラピンク、ライトブルー、そしていちばん外周がみかん色へと染まり……ファンがメットライフドームに、9色の虹をかけていた。9人を呼ぶ、「アークーア!」の声とともに。
その空間に、まずAZALEAがゆっくりリフトアップして登場して「卒業ですね」を歌唱。デジタルチューンらしく振付もパキパキっとさせた一方、切なく卒業を描いた楽曲らしく表情・歌声の表現でも魅せていく。バックに映る3人のイメージカラーに対応した下向き吹き出し花火の映像は、作中の「未熟Dreamer」での、9人揃った初ライブを思い出させる演出だ。
ラストには、そのかわりにそれぞれに呼応した別の扉が映され、そこを向いたところで曲が締まる。替わってセンターステージにはGuilty Kissが登場し「Guilty!? Farewell party」を披露。こちらも卒業生への送別ソングではありながらも、魅せ方自体は非常にキュート。特にこの曲での、逢田の笑顔の小悪魔な魅力は群を抜いていたように思う。
加えて3人のコンビネーションも非常に良好で、A・Bメロでソロを執るメンバーのバックで他ふたりが踊る姿や大サビ前に3人縦になっての連動も美しく見事。ユニットとしての魅力をしっかり提示してくれたように思う。さらに、向正面のトロッコにはCYaRon!が登場。トロッコ上でもこぼれる笑顔でとともに「サクラバイバイ」を歌う。
この曲も卒業をテーマにした曲だが、3年生のいないユニットという点もあって、コードやメロディ感にはセンチさも含みつつ、ユニットカラー通り元気いっぱいに送り出すようなパフォーマンス。だからこそ逆に、降幡が「おめでとう」とソロを執るところが、余計にグッとくる。
そしていよいよ迎えた、この日のラストナンバー。1・2年生組6人が円陣を組むように登場し、点呼を行なう。「10!」の声が客席から響いたところで、6人で劇場版同様にラストの曲として、「Next SPARKLING!!」をスタートする。サビ前の「一緒に行こう」やサビ頭「忘れない」のフレーズは観客との大合唱になるなか、サビではステージ上や階段は、アニメ同様虹色のグラデーションに。
2番ではセンターステージに3年生が登場しAメロを歌うと、Bメロで9人が合流。大サビもファンとシンガロングしたら、後奏中に9人は虹の階段を一列に並んで登り、その頂上で手をつないで一礼。笑顔でリフトダウンしていった。 最後にメインスクリーンに映し出されたのは、“あの波打ち際”。最後にそこに書かれた“Aqours”の文字が映し出されると、「アクアー!?(伊波)」「サーンシャイーン!(ALL)」のコールで、ライブは幕を下ろしたのだった。
今年1月に公開された劇場版を主軸にしたひとつの物語を、現実世界で形にしてくれたような公演となった今回のライブ。セットリストをみても、"卒業"というものにフォーカスを当てたものであったことがよくわかる。
しかしもちろん、Aqoursの活動がこれで終わるわけではない。9月には4thシングルの発売を、来年1月には夢の舞台"ラブライブ!フェス"への出演も控えている。リリースやライブイベントでの経験を経て、また大きくなった彼女たちがみせる6thライブの景色は果たして、いったいどんなだろうか。一回りも二回りも大きなものであることは、間違いなさそうだけれども。
“ラブライブ!サンシャイン!! Aqours 5th LoveLive! ~Next SPARKLING!!~”Day.2
2019.06.09@メットライフドーム
【SET LIST】
M1.僕らの走ってきた道は… / Aqours
M2.スリリング・ワンウェイ / Aqours
M3.青空Jumping Heart / Aqours
M4.SKY JOURNEY / Aqours
M5.Daydream Warrior / Aqours
M6.逃走迷走メビウスループ / 松浦果南(CV.諏訪ななか)、黒澤ダイヤ(CV.小宮有紗)、小原鞠莉(CV.鈴木愛奈)
M7.予測不可能Driving! / 松浦果南(CV.諏訪ななか)、黒澤ダイヤ(CV.小宮有紗)、小原鞠莉(CV.鈴木愛奈)
M8.Marine Border Parasol / 高海千歌(CV.伊波杏樹)、桜内梨子(CV.逢田梨香子)、渡辺曜(CV.斉藤朱夏)
M9.ハジマリロード / 津島善子(CV.小林愛香)、国木田花丸(CV.高槻かなこ)、黒澤ルビィ(CV.降幡愛)
M10.Hop? Stop? Nonstop! / Aqours
M11.HAPPY PARTY TRAIN / Aqours
M12.“MY LIST” to you! / Aqours
M13.未来の僕らは知ってるよ / Aqours
M14.SELF CONTROL!! / Saint Snow
M15.Believe again / Saint Snow
M16.Brightest Melody / Aqours
M17.Over The Next Rainbow / Saint Aqours Snow
M18.Jump up HIGH!! / Aqours
EN1.卒業ですね / AZALEA
EN2.Guilty!? Farewell party / Guilty Kiss
EN3.サクラバイバイ / CYaRon!
EN4.Next SPARKLING!! / Aqours