『ラブライブ!サンシャイン!!』のライブイベント「ラブライブ!サンシャイン!! Aqours 5th LoveLive! ~Next SPARKLING!!~」が6月8・9日に埼玉・メットライフドームにて開催された。

  • 「ラブライブ!サンシャイン!! Aqours 5th LoveLive! ~Next SPARKLING!!~」

『ラブライブ!サンシャイン!!』発のスクールアイドルグループ・Aqours(伊波杏樹(高海千歌役)、逢田梨香子(桜内梨子役)、諏訪ななか(松浦果南役)、小宮有紗(黒澤ダイヤ役)、斉藤朱夏(渡辺曜役)、小林愛香(津島善子役)、高槻かなこ(国木田花丸役)、鈴木愛奈(小原鞠莉役)、降幡愛(黒澤ルビィ役))にとって約半年ぶりのワンマンライブは、1月に公開された劇場版『ラブライブ!サンシャイン!! The School Idol Movie Over the Rainbow』とリンクした、これまでで最もコンセプトの明確なライブとなっていた。本稿では、そのうちDay.2の模様をお届けする。

■走り続けた、9人と9人の“現在地”を強く感じるライブ

客入れBGMとして流されていた作品メインテーマの音色が次第に大きくなると、メインスクリーンに映し出され続けていた扉が開き、OPムービーが上映。各メンバーが紹介されると、メインステージには1年生組(小林・高槻・降幡)と2年生組(伊波・逢田・斉藤)の6人が上がり、劇場版同様「僕らの走ってきた道は…」を披露する。

同曲の衣装では初披露となったこの曲でも、メインスクリーンにはアニメが、左右のサブスクリーンにはステージ上のメンバーの映像が映し出され、双方がリンクしたパフォーマンスをみせていく。1サビ明けには、3年生組(諏訪・小宮・鈴木)の3人も後方から登場。

Dメロ明け、大サビ前の間奏のダンスはしなやかで、それでいて誰もがダイナミックなもの。3-Aメロでフィーチャーされた伊波の穏やかで優しい表情も、歌声と結びついていてグッとくる。こうして高質なダンスとともに、9人と9人、18人のステージがライブの幕開けを告げた。

続く「スリリング・ワンウェイ」は、冒頭の伊波の「私たち、輝きたーい!」のシャウトと同時に9人がステージに一斉に散っての披露。アップテンポかつシリアスなこの曲に合わせて次々と火柱が上がるなか、サビ前のリズムに合わせたピッピッとした腕のフリなどを中心に、ダンスでもスタイリッシュさをみせつつ場内に熱を与えたところで、TVアニメ1期OP「青空Jumping Heart」が、今度は場内に今後の展開へのわくわくをくれる。

斉藤の、サビ後半でのターンしながらの前進には余裕感すら出てきているし、Dメロソロでの鈴木の声の伸びも良好。メットライフドームに、気持ちよく響き渡っていった。

曲明けMCでは、劇場版の舞台・イタリアを彷彿とさせる太陽のモチーフやメンバーカラーが散りばめられたステージセットを紹介し、喜ぶ9人。また、各々の自己紹介では降幡が"がんばルビィ!"のコールの返りに「ぶっぶーですわ!」とまさかのNG。さらなる大きなコールを浴び、「よくできましたねぇ」と返せてご満悦の様子だった。

また、その"本家"小宮はライブビューイング用のカメラをうまく活用。投げキッスも織り交ぜ、ラブリーにアピールを決めていた。ライブは早替えを挟んで「SKY JOURNEY」から再開。3rdシングルのカップリングという少々意外な選曲にも思えたかもしれないが、少し切なく未来への出発を歌ったこの曲もまた、ライブの全体像にハマるもの。

パフォーマンス自体も、2-Bメロの小林の歌声と表情とダンスとのすべてが噛み合った魅せ方をはじめ、楽曲に最大限マッチしたものだ。その2サビ明けに移動したセンターステージでの「Daydream Warrior」では、キレ重視の楽曲を9人でも揃えつつ、間奏でもフォーメーションや連動した動きで決める。2番に入ってからの、歌声も鋭くダンスもキレまくりの諏訪がとにかく視線を奪い、降幡や、続く高槻の少しオトナな歌声や表情も、観るものを魅了してくれた。

ここで西部劇をベースにした、9人によるボイスドラマが上映。『ラブライブ!』のライブらしくコントチックでカオスな内容のボイスドラマが上映され場内を和やかにしたところで、ステージに登場したのは3年生組3人。「逃走迷走メビウスループ」を、アニメでの衣装をベースにした衣装で披露していく。

スウィング感の強いジャジーなナンバーに合わせて、トライアングルのフォーメーションを取りながら、かわいさ含みの歌声と、サウンドにマッチしたショー感のあるダンスをみせる。歌い終わると3人は車(型のトロッコ)に乗り込み、鞠莉の運転で「みんなの近くに行っちゃうからねー!」と、通路をドライブしながらの「予測不可能Driving!」でメットライフドームを一周。

車上でも、小宮の手や腕振りは大きくキレのあるもの。ファンと次々に視線を交わしながら、場内を駆け抜けていった。

続いてメインステージに登場し、「Marine Border Parasol」を披露したのは2年生組、そのパラソルをサビで開いて前に突き出して回転させたり、開いたパラソルを中心に向けて3人周回したりと、この曲ならではの目にも楽しいステージを展開。振付に合わせての逢田の1サビ明けでの跳ね具合の大きさにも、心中のウキウキが表れているようだった。

さらに2サビ明けにはパラソルを投げ捨ててはしゃぐような小芝居も挟まれ、ちょっとしたミュージカルのような魅せ方の1曲にもなっていた。そして、今度はバックネット裏の客席通路に1年生組が、それぞれミニトロッコに乗って登場。

ハイスピードなナンバー「ハジマリロード」を、前に後ろに体の向きを変えながら、まさにファンの真っ只中を抜けていく。2サビ明けには、小林の掛け声に続いて「ハジマリロード!」の大合唱! さまざまな意味で"駆け抜ける"1曲として、学年曲ブロックを締めくくった。

■Saint Snowもゲストで登場! 劇場版での新曲も披露

曲明けには、映像で劇場版の1・2年生6人で踏み出したシーンを挟んだところで、その挿入歌「Hop? Stop? Nonstop!」へ。この曲がルビィのパートから始まるというのが非常にエモいのだが、その観る側が感じるエモさに頼らず、降幡自信もこの日のステージ上でも歌・ダンスともに堂々とした姿で切り込んでいく。

さらにはステージ上の階段を生かしたアニメに忠実なフォーメーションで、未来を明るく見据えたナンバーを届けてくれた。歌唱が終わると、再びボイスドラマアニメが上映。日曜夕方らしく(?)『沼点』と題した、若干毒多めな千歌が司会を務める大喜利が展開され、ドーム内に次々と笑いを巻き起こしていた。

VTR後、メインステージには再び9人の姿。観客は「HAPPY PARTY TRAIN」のイントロと衣装に湧き、客席はエメラルドグリーンに染まる。落ちサビには花道に恒例の"果南レール"が灯り、楽曲とセンターである諏訪を盛り立てる。この曲で特に立ったのが、高槻。歌声も伸びやかなうえに、パフォーマンスの見せ方も体の隅々までの意識がより高かったからか、大きくのびのびとしていて非常に美しく印象に残った。

それに続いた「“MY LIST” to you!」は、ほわっとしたミドルナンバーらしく、歌い出しの斉藤のアプローチからまず非常にキュート。直後のソロを執る鈴木も歌声から表情まで愛らしく、2-Aメロの伊波にも、観る側を撃ち抜く愛らしさが。また落ちサビ直前に、斉藤と諏訪がふたりで大きなハートマークを作っていた姿も、非常にかわいらしいものだった。

その2番で移ったセンターステージで、そのまま「未来の僕らは知ってるよ」を披露。TVアニメのカットと同じ画面分割も用いて、18人のステージが再現し、ライブ後半に差し掛かった場内をいっそう高めていった。

するとメインステージにふたつの人影が登場。それは、ゲストとして登場した、Saint Snowのふたり(田野アサミ(鹿角聖良役)、佐藤日向(鹿角理亞役))のもの。そのまま劇場版の挿入歌「SELF CONTROL!!」の初披露へと移る。このふたりもレベルの高い歌唱とアニメ映像とのシンクロで、一気に会場全体を支配。

2サビ明けのダンスパートは、ただただ“圧巻”というしかないほどのクオリティだった。さらに続けた「Believe again」でも、「Saint Snowがいた」と感じさせる盤石のパフォーマンスで、照明の当て方も含めてアニメの世界を再現するようなステージング。

2サビ明けにはセンターステージへと移り、大サビでは息の合った立体的なフォーメーション含みのパフォーマンスをみせる。そのうえで、田野はシャープに、佐藤はダイナミックに跳ねまくる姿が、それぞれ特に印象深かった。