人の欲望はつきないもので、お気に入りの一品を見つけても日が経つにつれて不満を抱えてしまいます。
13インチのノートPCが重いと感じて10インチの2in1PCを買い、軽くなった途端に「もう少し広い画面がいいなあ」などと言い出す始末――始末って、欲望が止まらないのは私なんですけどね。まさにあちらを立てればこちらが立たず状態になっていたのですが、画面の広さと本体サイズと、そこは使い分けするしかないと割り切っていました。
そんな私の目の前に、彗星のごとく現れたのが「VAIO SX12」。そのコンセプトは、「メインマシンの最小形」。「サブノートサイズのメインマシン」なのだそうです。そんなことが現実にあるんでしょうか。さっそくお借りしてレビューしてみました。
気軽に持ち歩ける11型サイズ、でも画面は12.5型
VAIO SX12(以下、SX12)は、12.5インチディプレイを搭載するノートPCです。VAIOが現在PCモバイラーが抱えているニーズを考慮し、サブノートを仕事用のメインマシンにするために、「12インチ以上の画面サイズ」、「フルピッチキーボード」という2つの課題をクリアしています。
まずは、本体サイズを見てください。これは女性がちょっとした外出に使うサイズのトートバッグです。隣に並べたiPhoneや折りたたみ傘でバッグの大きさがおわかりになるでしょうか。このバッグの中に、SX12はすっぽり入るのです。
VAIO SX12の本体サイズは、おおよそ幅287.8mm×高さ15.7~18.0mm×奥行203.3mmです。ディスプレイのベゼルをぎりぎりまで狭くすることで、11インチクラスの本体に12.5インチディスプレイを搭載することができたそうです。重さも最大構成で約897gと1kgを余裕で切っています。毎日持ち歩くスマホと合わせても1kgちょっとの重さは、かなり助かります。
標準モデルのカラーバリエーションは、ブラック、ブラウン、シルバー、ピンクの4色です。お借りしたのはブラウンで、性別に関係なくオシャレに使えるカラーですね。ブラックやシルバーは、定番の色を選びたい人におすすめです。実機で見たピンクは、赤が強い華やかなピンク色だったので、女性の心をがっちり掴みそうです。
そして、VAIO好きに人気が高いALL BLACK EDITIONも販売されました。「VAIO SX12 | ALL BLACK EDITION」は、ロゴもオーナメントも黒。さらに無刻印キーボードを選択すれば、すべてを漆黒にすることができます。この黒さ、しびれますね。ブラインドタッチ入力に自信のある方にチャレンジして欲しい一品です。
小さくてもキーピッチは19mm
ところで、本体サイズが小さいPCとなると、気がかりなのがキーボードです。キーボードが打ちにくいモバイルPCは、使い続けているうちにストレスが蓄積されてしまいます。しかしVAIO SX12には、キーピッチ約19.0mmのフルサイズキーボードが搭載されています(本体端までキーがみっちみち!)。普段デスクトップや大きめのノートPCを使っている人も、違和感なく打ち続けられるでしょう。
試用期間中、私は3,000文字ほどの原稿を書いてみましたが、A4ノートPCを使う感覚で文字入力することができました。私は思いついた文章を勢いよく入力するとき、ものすごく力が入ってしまうのですが、力強く打ち込んでもびくともしない安定感が嬉しかったです。打鍵音も小さかったので、カフェでの作業にも問題なさそうです。
安定した入力は、ディスプレイを開けるとキーボードが斜めに立ち上がる「チルトアップヒンジ」とパームレストのデザインのおかげでもあります。モバイルPCはしっかりした机の上で使えるとは限らないため、こうした工夫はありがたいですね。