女優の仲間由紀恵が、ヒットメーカー・東村アキコ氏原作のドラマ『偽装不倫』(日本テレビ系 10日スタート、毎週水曜22:00~)で、出産後初の連続ドラマに挑む。演じるのは、誰もがうらやむ理想の夫(谷原章介)がいるにもかかわらず、天真爛漫(らんまん)な年下の男(瀬戸利樹)と不倫をしてしまうという役柄だ。

6年ぶりとなる日テレのドラマで、この衝撃の役を選んだ理由とは…。双子ママの先輩で、今回が初共演だという主演・杏との裏話なども含め、話を聞いてみた――。

  • 『偽装不倫』に出演する仲間由紀恵

    『偽装不倫』に出演する仲間由紀恵 撮影:蔦野裕

■演じたことのない新しい役

――まずは今作の印象からお聞かせください。

恥ずかしながら東村アキコ先生の作品を初めて読ませていただいて、先生の世界観を知ったんです。すごく冗談っぽくて面白い部分もありながら、登場人物がみんな不器用で、一生懸命這(は)いつくばりながら生きている印象がありました。漫画の中で、こんなに胸を鷲づかみされるような言葉や世界観があるというのをあまり知らなかったので、すごく面白いなと思いまして、この作品の世界観に入ることができると思うと、大変うれしく思いました。

――今回演じられる葉子についてはどのように見ていますか?

今まで演じたことのない新しい役だなと思います。葉子は真面目で勉強もしっかりできて、結果も出して、周りの人たちが言う“幸せな人生”とか“成功者”とか、模範的であるとされることに一生懸命だった人だと思うんです。結婚して自分の人生がこれで安泰だと思ったのか分かりませんが、そんな中で今まで経験したことないような気持ちが躍る人物と出会ってしまったことで、葉子自身もどうしたらいいのか迷いながら、一方で楽しんでいる部分もあると思うんですよね。不倫するという役に共感するのはすごく難しいんですけど(笑)、葉子が初めて体験していくことに一緒に驚いてワクワクしながらいけたらいいなと思います。

――“不倫の恋に落ちる妻”という部分で、なにか役づくりはされたんですか?

やっぱり不倫する妻の気持ちというのは分からないので、難しいんですよね。だけど1人の女性として見たときに、今まで進学、就職、結婚と真面目に1つ1つを踏んできた人が、ある日、夫ではない運命の人に出会って、初めて自分の本当の気持ちに気づいてしまった…という風に考えると、ちゃんと物語に乗っていけるかなと考えました。

  • 仲間由紀恵(左)と谷原章介 (C)NTV

■瀬戸利樹に胸キュンする女性続出!?

――その不倫相手の風太役を演じるのは瀬戸利樹さんですが、印象はいかがですか?

瀬戸くんは、ピュアで素直さがある印象だったので、すごくいいなと思いました。一緒にお芝居をしてみても、とても自然だったんですね。そしてお芝居に対して本当に真摯(しんし)で一生懸命取り組むタイプですし、プロボクサーの役でボクシングの練習を何度もしたという話も彼から聞いて、そういう前向きで一生懸命な姿も今回の役にぴったりだなと思います。彼に胸キュンするお姉さんたちが、いっぱいいるんじゃないですかね(笑)

――瀬戸さんは、仲間さんからコミュニケーションを取ってくれて芝居しやすい環境作ってくれるとコメントを出していましたが、それは結構意識しているんですか?

そこまでは意識してないですが、やっぱり一緒に芝居をするので「おはようございます」だけでなく、会話してコミュニケーションを取ることで、私自身もリラックスして臨めるんですよね。

  • 瀬戸利樹 (C)NTV

――葉子はしっかりしたキャリアウーマンである一方、風太と会うときはメガネを外して、二面性がありますよね。

私も「この人はギャップがすごいな」と思いながらやらせていただいています(笑)。それほど心を揺れ動かされた人で、頑張ってるということなんでしょうね(笑)。私はメガネをかけるほうが鎧をつけてるような感じがして芝居をしやすいので、風太に会うときは「誰に向けてこんなボディコンみたいな服着てるんだ!?」って気恥ずかしい感じがするんですけど、できるだけ堂々として動じていないように見せられるように頑張っています(笑)

――そうすると、妹・鐘子役の杏さんとのシーンでメガネをかけているほうが、普段に近いテンションで臨めているんですね。仲間さんは実際にもごきょうだいがいらっしゃるんですか?

姉と兄がいます。私は姉と5つ離れているので、そこまで鐘子と葉子のような仲良しという感じではなかったんです。だから、こういうギャーギャーしたやり取りは楽しいし、憧れるので、今回は思い切って姉の特権を振りかざしてやっていこうと思います(笑)

■双子ママ同士で「寝てる? 大丈夫?」

――杏さんとは撮影現場でどんなお話をされているんですか?

杏ちゃんはセリフがとても多くて出番も多いので、あんまりゆっくり話せる時間はないんですけど、他愛もない差し入れの話で盛り上がったりしてますね(笑)。あと、2人とも子供を育てているので、「昨日何時に寝れた?」「寝てる? 大丈夫?」みたいな話もして、お互いのことを気遣い合っています。

――双子のお母さん同士ですもんね。

杏ちゃんからはお鼻を吸う道具とか、実際に使ってみて「これ良かったですよ」って便利グッズを教えてもらってます(笑)。(双子の母親として)先輩なので心強いです。何かあったらいつでも聞けますからね。でも、2人のシーンは掛け合いが多いので、心配なセリフを一緒に合わせることが多いです。「セリフがやばい!セリフがやばい!」「シーンが長い!シーンが長い!」って言いながらやってます(笑)

――スタジオでの撮影を拝見させていただいたのですが、初共演と思えないほど息がぴったりでした。最初は胸ぐらをつかむシーンでしたが、どのようにシミュレーションしていたんですか?

前室のセリフ合わせで、テンポ感も一緒につかめたと思います。あとは動きをできるだけ大きくすると面白いかなっていう話を2人でしましたね。

――初共演でいきなりあのシーンはなかなかないですよね(笑)

そうですよね(笑)! でも初めての共演シーンがあれだったので、ここで思い切ってやっておけば、後でどうにでも遊べるなと思ってやりました。ちょっとやりすぎたかもしれないですけど(笑)

  • 仲間由紀恵(左)と杏 (C)NTV

――実際に共演されて、杏さんの印象は変わりましたか?

お一人様女子のウジウジした感じや、オタクを理解する心があって、マニアックな感じをうまくつかんでらっしゃるので、こういう部分も杏ちゃんの中にあるんだなって感じたんですよね。これまでにNHKの大きな作品もやってるし、本当にいろんなタイプの役ができるんだなって感心しました。

――家族のメンバーでは、どなたがムードメーカーなんですか?

私的にはお父さん(伊沢弘)ですね。寡黙で全然おしゃべりする方ではないんですけど、いるだけで癒やされる感じがあります(笑)。谷原さんもそうおっしゃってました。お母さん(朝加真由美)も元気いっぱいで楽しいですし、やっぱり家族モノっていいですよね。久しぶりにこんな明るい家族のお話でいいなあって思います。裏は楽しくない話もありますけど(笑)、皆さまにリラックスして、構えずに笑って見てもらえたらうれしいです。