――今回ナレーションを読んで、VTRを見て、美容整形に対する印象は変わりましたか?
昨今のご時世だと、そんなにいけないことでもなくなってきましたよね。例えばタトゥーを入れることや、ピアスの穴を開けるのも整形に近いことであるような気がする。親によってはピアスも許さない人だっているわけだから、結局本人がどう思うかということだと思います。僕個人としてはそんなに否定するものではないと思いますよ。それで気持ちが前向きになって、その先の人生をどう変えていくのかを決めるのは、親ではなくて自分自身なんだし。
そういう意味では否定しないけど、彼女たちに言いたいのは、今の自分の顔に自信を持ちなさい、ということですね。どんなに整形できれいになっても、心が汚かったらダメ。どんなに顔が気に入らなくても、心がきれいであればきれいな人なんだという気持ちで僕はいるのでね。だから、どっちとも言えないですけど、こうやってテレビの取材を受けて整形するというのはとても勇気がいることだと思うので、人生の選択肢としてはありなんじゃないかなと思います。
――『ザ・ノンフィクション』で有村藍里さんが整形をカミングアウトした回で、世の中的に整形に対する見方が変わってきた印象があります。
ありますよね。整形大国と言われる韓国から来ているアイドルの人たちには、コンビニ感覚でする人もいるようだし、日本でもそういう文化が少しずつ若い子の中に流れてきて、こういう番組が支持されるようになってるんだと思います。一昔前とはちょっと感覚が違いますよね。
■1人だけ意外な選択をする子が…
――アイドルとして活躍された中村さんにお聞きするのは愚問ですが、整形しようと思ったことはありますか?
自分ではしようと思ったことはありません(笑)。でも、僕は顔の具材が真ん中に寄ってるんで、若い頃はもうちょっとシュッと新幹線みたいな顔なんないかなって思って、ずっと手で顔を引っ張っていたことがありましたよ(笑)。吉田栄作とか東山紀之みたいな、いわゆる醤油顔って言われるような顔になりたいなと思って。でも、そんなの無い物ねだりなんですよね。結局、自分の顔に見飽きてるだけなんですよ。
――中村さんが彼女たちと同じ年代だったら、彼女たちに対する見方は変わっていましたか?
今回みたいにちゃんと気持ちを投影して彼女たちを見られたかというと、そこまでの余裕はなかったんじゃないかな。50歳を過ぎて自然体でいられるようになってきましたけど、10代の頃は事務所だったりファンだったり、背負ってるものが大きかったですから。この30年でテレビもずいぶん変わってきて、整形のドキュメンタリーなんて昔はできなかったですからね。当時は否定する人のほうが多かったでしょうから、自分も右にならってたかもしれないです。
――いろいろお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。では、後編の見どころをお願いします。
4人の女の子に密着していますが、1人だけ意外な選択をする子がいるんです。このシーンは、本当にドキュメンタリーだなと思いましたね。最後は、「整形シンデレラオーディション」の優勝者を発表して終わりますが、そこまでの経過の中で彼女たちの心の動きを追って、整形で全部解決するわけではないという作りになっているので、そこがこの番組の“幅”になってるところだなと思います。
――『ザ・ノンフィクション』は結構見られるんですか?
わりと毎週見ちゃうんですよ(笑)。(有村)架純ちゃんのお姉ちゃんの回も、この「整形シンデレラ」のシリーズも見てました。他局ではこういうドキュメンタリーは深夜にやってますけど、日曜の昼にやるのはすごいなと思います。あの曲(「サンサーラ」)が流れると、みんな『ザ・ノンフィクション』だって分かるのもすごいですよね。
1967年生まれ、千葉県出身。82年ジャニーズ事務所に入所し、「ジャPAニーズ・ジュニア」「イーグルス」「サンデーズ」といったユニットで活動。その後、俳優やアーティストとして活躍し、9月1日には東京・銀座のLounge ZEROでバースデーライブを開催。
■張江泰之チーフプロデューサーが語る起用の理由
中村さんとは同世代なんですけど、同じ時代を生きてきて、あのアイドル時代の声が、今どうなっているんだろうと思うと、すごいワクワクしていたんです。ナレーターの起用として絶対外さない自信はあったのですが、実際に収録してもらって、さすがだなと思いました。事前に読み込んでいただいてから来てもらったのも感謝なんですけど、ツボを全部押さえてるんです。「ここは気持ちを入れるぞ」というところの感覚が、やっぱりプロだなと思いましたね。
この番組はF3という50代以上の女性層をすごく意識しているのですが、そのターゲットの方たちは「中村繁之」が読んでいると分かったときに、みんなグッと来ると思いますよ。