■学生時代の青春を歌にこめて

――2018年は配信シングル「キミゾラ」のリリース、スマホゲームに声優として出演、ライブやイベントの出演など様々な活動を行っていらっしゃいましたね。

ずっと走り続けてきた一年でした。

――まさに夢の第一歩になったと思いますが、ご自身のなかで特に印象に残っている活動は?

夏に出演させていただいた「Re:animation 12」です。いつもはバーチャルで活動していることが多いのですが、この時初めてファンの方々の顔を見ながら歌いました。しかもオリジナル曲で野外! すべてが初めての経験でした。

――お客さんの反応はいかがでしたか?

私の作ったTシャツを着て下さっている方が結構いました。そして私が登場した瞬間、笑顔になってくださったんです。その顔を見るだけでとても嬉しい気持ちになりました。

――生ならではの良さが感じられた?

そうですね。

――では、バーチャルでの活動で思い出深かったことは?

いま「SHOWROOM」で700日以上連続で配信しているんです! そこでも私のことを応援してくださる方々が増えてきたので、その活動自体が印象に残っています。

――記録を作りたい?

出来る限りは配信を続けたいです(笑)。

――そんな1年の活動を経て、この度、アニメ『女子かう生』の主題歌としても採用されている「silent days」をリリースされます。こちらは作詞も担当されていますが、どのような想いを込められていますか?

「silent days」は『女子かう生』の世界観が存分に出せればという想いを持って作詞しました。『女子かう生』はセリフがないというのが特徴の作品。そこから、大切なことは言葉がなくてもきっと伝わるということを意識しました。また、学生にしか感じられないキラメキや感動が伝わったらいいな!という想いでも作詞をしています。

――特にお気に入りのフレーズは?

「一瞬の煌めき 君といれたらいいな」と「逆光で見えない 君の手を探してる」というフレーズです。

――このフレーズはどんなときに思い浮かんできましたか?

「一瞬の煌めき」というのは『女子かう生』原作の若井ケンさんがすごく大切にされているコンセプトだったので、絶対に使おうと思っていた表現でした。「逆光で見えない」というのは学校の帰り道をイメージしていたところ、思い浮かんできたフレーズです。夕日のなか友達とワイワイ喋りながら帰るのって、学生ならではだと思うんです。そう考えると自然と(富戸)もも子ちゃんたちの情景も思い浮かんできて、このフレーズになりました。

――確かに、学生ならではの体験かも。社会人になると哀愁が漂ってしまうというか……。

友達とワイワイしながら帰るっていう感じではないですよね(笑)。

――はい(笑)。作詞をするときはどんなときに詞が思い浮かんできますか?

タイアップ曲となればちゃんと原作を読んで、そのときに自分が感じたことを箇条書きしたり、作者の方が大事にしているコンセプトを書き出したりしています。普段歌詞に使いたい言葉が思い浮かぶときはお風呂のなか。で、その言葉を電車に乗っているときなどに、メロディーを聴きながらスマホに書き出して完成させることが多いですね。

ーー使いたい言葉をメロディーに合わせて組み立てていく?

そうですね。

――「silent days」のメロディーを聴いたときはどう感じましたか?

切ない、爽やかなメロディーで、爽快感が溢れていると思いました。

――実際のレコーディングはいかがでしたか?

かなり歌い込んでからレコーディングにのぞむことができたので、収録自体は早く終わりました。ディレクションでは、どうやったら人の心に届きやすくなるといった具体的なアドバイスをいただきました。また、レコーディングスタジオにはたくさん大人の方がいたのですが、みんな口をそろえて「やっぱりいい曲だな」と言っていましたね。さすが、渡辺拓也先生の楽曲です!

――実際にアニメで自分の曲がかかったときはいかがでしたか?

胸の奥が熱くなりました! 切ないエモい曲がさらにエモくなる状況(笑)。今までにないエモさでした。

――カップリング曲の「春とウソツキ。」についてもおうかがいします。こちらも作詞を担当されていますね。

はい。この曲は『女子かう生』とは全く別の世界。でも、共通しているのは学生時代の青春である、という点です。テーマは「もどかしい恋愛、片思いの気持ち」。性別を問わずに色々な方の想像が膨らむように、一人称を「僕」としていたり、あえて抽象的な表現を使っていたりします。

――こちらの詞で気に入っているのは?

色々と好きなフレーズがあるのですが、「独り言でつぶやいた“すき”って言葉」というのがお気に入りです。この部分は、好きな人に気持ちを伝えたいけども、自分にしか聞こえないくらいの声でしか言えない、聞こえちゃって関係が壊れるのも嫌だという、もどかしい気持ちを表現しています。この情景、自分のなかで、はっきりと思い浮かぶんですよね。

――そのもどかしさのなかに好きの気持ちが溢れているんですね。

そうです! こういうのって若いときに感じやすい気持ちなのかなと思います。

――こちらも渡辺さんが作曲を担当されています。

爽やかで疾走感があってエモい……まさに渡辺先生の曲だなと思いました。この曲、最初はドラムの音もエフェクトも何もない、ピアノの音だけのメロディーが送られてきたんですよ。アレンジが進んでいる時代ですが、ピアノだけでもいい曲だって分かったので感激しました。

――特技はピアノということですが、ご自身で弾いたりはしましたか?

しました。難しかったですね(笑)。

――今後弾き語りを披露するなんてことも?

ぜひ、挑戦したいですね!

――ここまでお話をうかがってきましたが、あま津うにさんにとってアニメと歌は今、どういう存在になっていますか?

アニメはずっと一ファンとして好きで、純粋に観て楽しむものでした。ただ、今は自分の戦うフィールドにもなっていて純粋にアニメが観られない時があるんですよね……。それが寂しいという気持ちもありつつ、でもそれだけ渦中にいられているんだなという喜びもあります。だからこそ、アニメは自分のいま生きている大部分を占めている、かけがえのないものだと思います。歌は最初から本気でやってきていますので、これからも歌いたいという気持ちに変わりはないですね。誰が聞いてもいい曲だなと思える王道な曲を歌っていきたいです。

――本日はありがとうございました。最後に今後の野望を語っていただければと思います。

インドネシアのファンの方々の前でどうしても生歌を歌いたいので、AFA(アニメ・フェスティバル・アジア)がインドネシアで行われるときは出演したいです。

――SNSで応援してくれた最初のファンがインドネシアの方だったんですよね。

そうなんです! だから、インドネシアに私の生の歌を届けたいんです。将来的にはワンマンライブもやりたいですね。国内ではアイドルアニメのメインのひとりを演じたいですね。あとは、来年は「アニサマ」(Animelo Summer Live)に出たい!

――叶えたい夢はたくさんありますね。

少しずつでも叶えられるよう、これからも突き進んでいきたいと思います!

●あま津うにメジャーデビューシングル「silent days」

・初回限定盤(CD+DVD)
価格;1,667円(税抜)
CD収録内容
1.silent days
2.春とウソツキ。
DVD収録内容
「silent days」ミュージックビデオ、メイキング映像
・通常盤(CD)
価格:1,204円(税抜)
CD収録内容
1.silent days
2.春とウソツキ。
※各曲のInstrumentalもプラス