全世界で900万ダウンロードを突破した本格タクティクスRPGスマホゲーム『誰ガ為のアルケミスト』。ゲームのオープニングムービーを手掛けた『マクロス』シリーズ、『アクエリオン』シリーズでお馴染みの河森正治氏が務める本作がアニメーション映画化し、全国で上映中。
マイナビニュースでは劇場版オリジナルキャラクターであるカスミを演じる水瀬いのりにインタビュー。作品の見どころ、そして演じる役柄にちなんで自身の女子高生時代についても振り返ってもらった。
■『劇場版 誰ガ為のアルケミスト』あらすじ
自分に自信の持てない女子高生カスミは、ある日、不思議な声に導かれて異世界バベル大陸へと召喚される。そこは、伝説の存在・暗黒竜デストルークにより、錬金術も魔法も封じられ、“闇の魔人”が跋扈する世界だった。カスミは、彼女を召喚した魔法使いのリズ、ガンナーのエドガーと出会い行動を共にする。“闇の魔人”の魔の手はレジスタンスの村へと迫る。絶望を目前にしたカスミの脳裏に、意外なビジョンがふと浮かび上がる。それは、カスミの中に眠る彼女の“本当の強さ”が目覚めようとしている兆しだった―。「お願い、届いて、私の中に力があるなら……」
■キャラクターとの出会いで感情がグレードアップした
――水瀬さんが本作で演じられるキャラクターについて紹介をお願いします。
私が演じるカスミは至って普通の女子高生です。彼女が普通であるがゆえに、魔法使いのリズやガンナーのエドガーといった異世界のキャラクターたちの個性が引き立っていく、ある意味で起爆剤となるような子ですね。彼女を中心に物語も進んで行きますが、目立つヒロインではない、親しみやすく、普通の人間らしい描写に心がホッとさせられるキャラクターだと思います。
――続いてシナリオを読んだときの感想を教えてください。
私が『タガタメ』(誰ガ為のアルケミスト)に関わるのが劇場版からなので、最初はタイトルの印象もあってひょっとすると難しいお話なのかもと思っていたんです。だから、覚悟しながら読まないと頭の整理ができないかも、と思いながら1ページずつ読んでいったんですけども、読み終わったころにはそんな不安な気持ちはなくなっていました。単純に小説を読んでいるような気分でサクサクと最終ページまで読み進められたんです。
――それくらいシナリオに引き込まれた?
そうですね。カスミが急成長していくわけではなくて、一歩、一歩確実に踏みしめながら進んで行くという描写が多く、読んでいてもあまり置いてかれなかったので、スラスラと読むことができました。
――お話をうかがっているとカスミは視聴者の目線に近いヒロインになっていそうです。
そうだと思います。特に『タガタメ』シリーズを知らない方にとってはカスミが自分のように映るんじゃないかな。彼女がひとつひとつの出来事に驚き、不安になり、怖がりながらもなんとか理解しようと向き合っていくところは自己投影もしやすいと思います。
――そんなカスミは女子高生ですが、演じるうえで特別意識されたことはありますか?
女子高生のキャラクターと言っても様々なので一概には言えませんが、カスミは等身大の女子高生だと感じたので、自分の記憶を呼び起こしながら演じました。特に本作には結(ゆい)というカスミの親友がいるのですが、その子とのやり取りが軽い感じで女子高生っぽいなと思いましたね。あと、バベル大陸に召喚されたとき、ウロボロスというキャラクターと対峙するのですが、そのときカスミは「コスプレですか?」と聞くんですよ。不安や恐怖でいっぱいのはずなのに、先にこんな恐れ多い言葉が浮かび上がってくる。そんな危機感のなさ、純粋さもJK(女子高生)らしいと言えばらしいのかなと思いました。
――大人っぽいけれども、まだ子供の部分もある?
純粋な部分を残していて大人の境界線にいるって感じですかね。
――ちなみに水瀬さんはどのような女子高生でしたか?
目立つグループと大人しいグループ、どちらでもない狭間にいるようなタイプでした。アニメや声優さんなど自分の守備範囲のトークになったときは熱があるのですが、分からない話題になると狭間に戻るみたいな感じでしたね。だから、学校では目立っていなかったです。同級生のなかでも記憶に残りにくい、「あー、そんな子いたね」というポジションでした(笑)。
――その当時と今ではだいぶポジションも性格も変化しているように感じます。
取材などでもよく「明るくなったね」「デビュー当時と比べるとはつらつとしたよね」と言われることが多いです。自分でも明るくなったと思います。それは年々強くなっているので、今はわりと人生を謳歌できているんじゃないかな。今までは目立つのが怖かったり、自分の想いを正直に伝えることに抵抗があって繕ったりしていたんです。でも今はそういうことへの恐怖心がなくて。むしろ偽った言葉を言って、偽ったものが出来上がっちゃうほうがよくないと思っています。ありのままをさらけ出して、その姿を好きになってもらう、だからなるべく自分の想いには正直でいたいと今は思うようになりました。
――それは仕事を通じて気持ちが変化していった?
そうですね。あとは演じるキャラクターのタイプが影響しているかも。演じているだけで勇気をもらえる子、逆に大人しいながらに健気に頑張る子、ときにはサイケデリックというか狂気じみたキャラクターも演じてきました。そういう色々な波を越えて、たくさんのキャラクターたちと出会ってきたからこそ、自分の中で芽生える感情もグレードアップしたのだと思います。