筆者はBGMとして音楽を流したい時は、インターネットラジオを活用しています。Nest Hubの場合はradiko.jp、またはTuneInによるストリーミングに対応しています。

日本語の放送は原稿を書くときに集中力を奪われるので、海外のインターネットラジオを主に聴きたいのですが、TuneInで海外のラジオ局を音声操作だけで呼び出すのは、コマンドが正しく認識されず至難の業です。

代わりにスマホのTuneInアプリからNest Hubにキャストするか、またはGoogleアシスタントから「ラジオを再生」というルーティンを作って聴きたいステーションを登録しておくことで、音声による操作も快適になりました。

  • Google Nest Hub

    TuneInで海外のラジオステーションを再生するときは、お気に入りの局をすぐに呼び出せるルーティンを作っておくと便利です

無料音声通話はGoogle Duoで対応

インターネットによる無料音声通話はGoogle Duoが利用できます。ただ、Nest Hubにカメラが内蔵されていないため、ビデオ通話にならないのが残念です。

スマートホームデバイスにカメラを載せるべきか否かは意見が分かれるところですが、Googleはカメラも載せた10インチスマートディスプレイ「Nest Hub Max」を発表しているので、ビデオ通話に興味がある方はNest Hub Maxの発売を待つか、Amazon Echoシリーズ、LINEのClova Deskを選んだ方がいいかもしれません。

スマート家電の操作をブラビアとHueで試した

Nest Hubは、“ハブ”の名の通り、インターネットにつながる家電(スマート家電)を操作・管理する機能があります。わが家にある、Android TVを搭載するブラビアと、フィリップスのスマート照明「Hue White ambiance」と、Nest Hubとの連携を試しました。

  • Google Nest Hub

    スマート照明のオン・オフ、明るさや色合いの調節がNest Hubからタッチ操作で行えます

ブラビアとの連携は実に優秀です。わが家のブラビアはX8300Dシリーズという2016年発売の4K対応テレビのエントリー機なので、Googleアシスタントを音声操作で利用するためには、テレビ本体の電源を入れてから付属するリモコンのマイクに向かって話しかける必要があります。Nest Hubの操作では、テレビのオン・オフや音量のアップダウンなど一部機能をハンズフリーで扱ったり、YouTubeやSpotifyの再生、Netflixのコンテンツを呼び出してタイトルページを表示することなどができました。

スマート照明のHueは、音声で操作した後に、Nest Hubの画面に結果が表示されます。Nest Hubの画面を上から下にスワイプして「ホームビュー」を表示してから、「ライト」を選択すると明るさや色が変更できます。

Google Homeシリーズと連携して、スマホアプリやスマートディスプレイから操作できるスマート家電は徐々に増えているようです。ただ、家庭にある既存の家電も音声で操作できるようになればもっと便利。Nest Hubも、家電のコントロールが可能なスマートリモコン「Nature Remo」を連携させると、赤外線リモコンによる操作が可能になります。将来はLINEのClova Deskのように、赤外線リモコン機能をビルトインしたスマートディスプレイが広がることに期待です。

Googleのスマートディスプレイ「Nest Hub」からの音声操作で、フィリップスのLED照明「Hue」を点灯。色も変えてみました ※音が出ます

画面付きならではの良さ。1台でじゅうぶん遊べる

Nest Hubは単なる「Google Homeに画面が付いて、YouTubeが見られるスマートスピーカー」ではありませんでした。

スマート家電のコントロールハブとして、またはインターネット通話が楽しめるコミュニケーションデバイスとして、スマートディスプレイにはまだこれから沢山の伸びしろがあるように思います。

料理レシピを表示できる機能は、調理のステップが小分けになっていて、ひとつの工程が終わったら「次のステップ」と発話し、ページを送りながら自分のペースで作れるようにアプリが上手に最適化されています。

バックグラウンドに音楽をかけながらでも画面にレシピが映せるので、キッチンで過ごす時間が楽しくなりそうです。このようにスマートディスプレイに最適化されたアプリやサービスがこれからも増えて欲しいと思います。

  • Google Nest Hub

    料理のレシピは音楽をかけつつ、ステップを順に追いながら利用できます。レシピの画像も表示できます

これだけ多機能で、スマート家電連携を使わなくても、単体で遊べる要素を満載するNest Hubの価格が15,120円(税込)というのは、もはや“たたき売り”みたいなものだと筆者は思いました。しばらくリビングでメインとして使うスマートデバイスはNest Hubに固定したいと思います。

……とはいえ、そうこうしているウチに、間もなくAmazonから5インチの新しいライバル「Amazon Echo Show 5」が9,980円(税込)で発売されます。こちらも楽しみなデバイスです。

GoogleとAmazonのAIアシスタントを搭載するスマートディスプレイは、今後はサードパーティからも魅力的な製品が出てくるものと思います。その時に各製品にどんな独自の付加価値を載っているのか、本家と比べた時のコストパフォーマンスを感じられるのかなど、注目すべきポイントもたくさんあるでしょう。「スマートディスプレイ」という商品カテゴリーが、今後大いに盛り上がってほしいですね。

著者プロフィール
山本敦(やまもとあつし)

山本敦

ジャーナリスト兼ライター。オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。ハイレゾやAI・IoTに関わるスマートオーディオ、4KやVODまで幅広いカテゴリーに精通する。堪能な英語と仏語を生かし、国内から海外までイベントの取材、開発者へのインタビューを数多くこなす。