韓国では高級ホテルで導入が進む
LGのチャン・ボヨン常務によると、2011年の発売時、LG Stylerは一般家庭ではなく法人販売のほうが向いているのではないか、という意見が多かったとのこと。しかし、LGエレクトロニクスでは、LG Stylerを各家庭に1台以上ある定番家電にするため、あえてBtoC市場を主眼に、一般ユーザーに認知を広げる戦略を選びました。
それが実を結んだのは2015年。先にも少し触れたように、PM2.5をケアするため、一般家庭でLG Stylerの導入が進みました。同時に、法人市場の開拓も積極的に進め、大きな市場となったのがホテルです。
今回、ソウルにある2つの新しいホテルを訪ねました。ひとつがソウル郊外、金浦空港のほど近くに位置するマリオット系「コートヤード・ソウル・ボタニックパーク」です。このホテルの各フロアに2つずつ、隣接する植物園を眺められる「コーヤードスイート」ルームがあり、ウォークインクローゼットにLG Stylerが常設されています。
ホテル近辺は開発中ということもあり、平日はビジネスマンの利用が多く、「LG Stylerはビジネスマンから好評」(総支配人 マルコ・ピガット氏)といいます。
「LG Stylerは非常に便利だと感じました。宿泊されたお客さまからも非常に反応が良く、 LG Stylerがあるからこの部屋を選んでいる、という声も聞いています。毎日ケアできるので、ビジネストリップで持ってくるスーツは一着で済むそうです」(マルコ・ピガット氏)
実際に、LG Stylerが設置された部屋に宿泊してみました。 丸1日取材して、ホテルの部屋に戻ったあと、シャツをLG Stylerにかけ「リフレッシュ」モードでケア。たったそれだけで、シャツに付いていた汗や焼肉のニオイがなくなり、スチームの効果で生地はふんわり。翌朝の着心地はとても良いものでした。宿泊するホテルの部屋にLG Stylerがあるとわかっていれば、旅行に持って行く服を減らせると実感しました。
明洞にある「ロッテホテルソウルエグゼクティブタワー」でもLG Stylerの導入が進んでいて、スイートルーム全室に設置しているそうです。
高級ホテルが LG Stylerの導入を進める目的には、エグゼクティブをはじめとする宿泊客を獲得することもあるでしょう。 LG Stylerのあるホテルなら、衣類のケアを手軽にできることを体験した宿泊客は、リピーターになってくれます。ホテルの差別化にもつながります。
日本市場でのLG Styler
日本市場はどうでしょう。LGのチャン・ボヨン常務は、韓国の実例を生かして、日本でも積極的に展開していくと語ります。
「日本では40代男性が買われることが多いと聞いています。韓国のPM2.5と似た点として、日本には花粉の問題がありますね。LG Stylerを使うことで、衣類から花粉を除去できたという声も聞いていますし、スーツを頻繁にはクリーニングに出さなくてよくなったという、好意的な声も聞いています。
LG Stylerの普及には韓国でも4年かかりました。日本では店頭デモで使い方を紹介するとともに、SNSを使って利用者の声を紹介するなどして、LG Stylerを広めていきたいと考えています」(チャン・ボヨン常務)
LG Stylerは韓国と日本だけでなく、ロシア、アメリカ、シンガポール、ドイツといった多くの国で展開をスタート。衣類を洗濯機で洗うのではなく、クローゼットに吊るしながらケアするという新しいスタイルは、世界中で広がり始めています。
「日本でも『変なホテル』グループの一部でLG Stylerが設置されるなど、法人向けの展開は始まっています。現在、日本ではスリムとミラーガラスのモデルを販売していますが、もっと認知が高まってニーズがあれば、ビッグサイズやより多彩なモデルを用意したいと考えています。
これは日本に限ったことではありませんが、最優先で考えているのは、シルクなど様々な生地のケアがすばやくできるようになることです。そして、一家に1台ではなく、各部屋に1台、置いてもらえることを目指しています」(チャン・ボヨン常務)
韓国の一般家庭はもちろん、ホテルへの導入も進むLG Styler。日本では発売から2年が経過し、認知度もだいぶ高まりました。日本は韓国と同じく、焼肉など匂いが強い食事をする機会が多く、スーツや制服を着る文化もあります。LG Stylerが活躍できる環境といえるでしょう。 LG Stylerを使うことで衣類管理が楽に……という認識が広がれば、普及にも弾みがつきそうです。