■監督と二人三脚で取り組んだアフレコ

――そのほか、演じるなかで監督とはどういったやり取りをされたのでしょう?

「もっとこうしたほうがいいですか?」みたいに質問をさせていただいたり、いろいろ相談や話し合いをしたりのアフレコでした。そのなかで、琉花というキャラクターを自分の中に確立していけたなと思っています。アフレコ中はブースの中に監督がいらっしゃって、マンツーマンみたいな感じでやらせていただけたので、監督の想いとか琉花についての説明をたくさん伺うことができてすごく演じやすかったです。

――ちなみに『マジック・ツリーハウス』などでのアフレコや『まんぷく』の語りでの声の収録の経験が、今回生きた部分はありましたか?

自分ではそういう意識はないんですけど、今までいろんな役をやらせていただいた経験は、自分の土台として生きている部分はあるんじゃないかなと思います。でも特に「ここが」と意識したことはなくて、一つ一つに対してまっすぐ向き合って全力で演じていきたいと思っているので、今回は今回の、琉花という役として……という感じですね。

――公開も間近に迫っています。芦田さんは、完成した映像をご覧になってどう感じられましたか?

音楽がつくことで映像とお互いに引き立てあっていて、そこにもすごく命を感じました。それにクジラに飲み込まれるシーンとか、水の動きや魚の動きにも命を感じたというか……本当に、水や魚が生きているような躍動感ある表現がとても印象的でした。それに、繰り返しになってしまうんですけど、やっぱりこの映画って答えが出るようなものではないんだなと改めて思って。観ていただくみなさんも、きっとそれぞれに違うことを思われたり感じられたりすると思うんです。でも、それは人それぞれ違っていていいんじゃないかなと思っていて。私も含め、観ていただくときに明確な答えや正解を探し求めて観るのではなくて、その瞬間に体全体で感じたことを大切にしていくという映画なんだろうなとも、改めて感じましたね。

――試写会で拝見させていただいたとき、おっしゃるように胸にいろいろなものが残って、帰りながら想いを巡らせていたのを思い出します。なのできっと、ご覧になったみなさんも同じように帰途につくのかな、と思いました。

そうですね。もし今答えが出なくても、そのとき立ち止まって感じたことや考えたことが、いつかこの映画をパッと思い返したときに「あぁ、今につながってるかも」と感じられるような作品になっていたらいいですね。

(C)2019 五十嵐大介・小学館/「海獣の子供」製作委員会
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