■無意識的に、相手の芝居に寄るところがあるんです
――今回含め、『LUPIN THE IIIRD』シリーズって絵からシナリオまで本当にハードボイルドですけど、演じる際にTVシリーズなどと意識して変えられている部分はあるのでしょうか?
やっぱりポピュラーなルパンって、声のテンションとかが明るくて元気で、「うわぁ~」みたいに跳ねていることが多くて。1時間にたとえたら50分明るいルパンで、あとの10分は戦ってたり真面目になっていれば作品として成立しちゃうんです。だけど、“小池ルパン”は「跳ねなくていい」というか。ある意味、ずーっとテンションを下げていてもいいんですよ。僕のテンション的にも、こっちのほうが地に近いし……跳ねるような感じだと、こういうストーリーにもハマらないしね(笑)。
――ただ、そのなかでもやはりルパンならではの余裕みたいなものや、抑えめながらも浮き沈みみたいなものを感じるシーンもありました。それが、作品全体のテンションに結びついているようにも感じまして。
あー……そうかもしれないね。職業柄、どうしても僕は人のマネをしちゃうというか。ものまねの人間として、全部、人のテンションに合わせちゃうんです。たとえば田村正和さんと一緒になると、僕は僕で芝居しなきゃいけないのに、「わかった」のひと言だけでも正和さんみたいに言っちゃう自分がどこかにいる(笑)。
――無意識のうちに、近づいてしまうところがあるというか。
そうそう。ちょっと話がズレちゃったかもしれないけど、そういうふうにご本人がいると無意識に相手の芝居と空気感に寄っちゃうところがあるから、たぶんお芝居でも「そのときは、こうしたい」とかいうのを感じて、それが出ちゃうんでしょうね。でも今回は不二子ちゃんがメインなので、不二子ちゃんの邪魔をしないということだけを考えてたから、合ってるならそれでいいのかもしれない(笑)。観る人が決めることではあるけど、「不二子って、やっぱりこういう女だったなぁ」とか「やっぱルパンって、こういうときもルパンなんだなぁ」みたいに感じられるようなものが出せていれば、いいかなと思いますね。
■深い時間に観て、ぜひ余韻にも浸ってほしい
――ちなみに、今回の『峰不二子の嘘』という作品を通して、栗田さんが改めて感じた不二子の魅力とは?
繰り返しになっちゃうけど、悪巧みしているけど純粋な愛みたいなものに弱いんだなっていう部分が、ちゃんとした女として一個あるんだなというのが見えたところでしょうか。ただルパンを翻弄するだけの女ではなくて、愛とか真実みたいなものに、何かを感じてしまうところがある女なんだな、って。あと、やっぱりこの作品じゃないと出せないおっぱい感もかな?(笑)。入浴シーンとか、戦ってるシーンでサービスカットが出るとか……。
――そういう意味でも、TVとか誰もが観られるようなところでは描けない部分もあるのかもしれませんね。
そうですね。今回は劇場向きの作品ですから。TVっていうのは観たくない人も観ちゃうことがあるから、クレームが来て大変なことにもなるんだけど(笑)。でもこういう作品はやっぱり劇場で……深夜とかに観ていただきたいな。
――レイトショー、いいですね。
そうそう。ちょっと酒飲んだあとに「行こうぜ」なんつって、ドロドロしたシーンを観て。映画館を出たあとにも余韻に浸れそうだし、おすすめですよ。
ヘアメイク:中山芽美(e-mu)