チップセットについて - PCI Express Gen4のサポートはX570のみ
基調講演では説明が無かったのだが、基調講演直後にX570に関する情報が解禁された。基本的な構成はPhoto03の通りで、PCI Expressを合計44レーン用意する(ただし、うち4レーンはCPUとX570の接続で利用するので、ユーザーが利用できるのは合計36レーン)。
CPUからは合計24レーンのPCI Express Gen4レーンが出る(うち4レーンはX570用)。つまりGPU用のPCI Express x16とは別に、NVMe SSDを接続できるx4レーンがあるということだ。X570チップセットからは、汎用が1x8、SATA 6Gと共用が2x4、チップセット接続用がx4で合計20レーンとなる(Photo04)。
また、USB 3.2 Gen2相当のポートをCPUから4x、チップセットから8xで出せる。これとは別にさらにUSB 2.0ポートを4つ用意するという。このほか、SensiMIなどは引き続きサポートする。
今回明らかにされたのは、PCI Express Gen4に対応するのはX570だけ、ということだ。第3世代Ryzenにあわせて発表されるのはX570のみで、B550などのリリース予定はないそうだ。
理由は既存のB450/X470でも第3世代Ryzenは動作するし、メインストリーム~バリュー向けユーザーにはPCI Express Gen4対応は不要だからという話であった。
実際のところ、PCI Express Gen4への対応に結構コストがかかる。主な理由は高速化に伴う配線長の限界の短縮。引き回しできる配線長が半分に減るので、これを超えて引き回したければ、途中にReTimerと呼ばれるバッファ(というか、ブリッジ)を挟む必要があり、これのコストが馬鹿にならないためだ。
おまけに、PCI Expressを使うとCPU⇔GPU間を高速できるが、現実問題としてゲームのフレームレート向上にはあまり役に立たない(シーン切り替え時のテクスチャロードなどは高速化されるが)。また、当面PCI Express Gen4対応SSDは超高価であり、これがこなれるのは2020年以降になるだろう。
これらを考えると、少なくとも現時点でメインストリーム向けにPCI Express Gen4を導入してもメリットが少ない割にコストが上がってしまうということだそうだ。
ちなみにRyzen 7 3800XとかRyzen 9 3900XではTDPが105Wになっているが、現行のSocket AM4のデザインはTDP 140Wをサポートする設計になっており、少なくともX470チップセットを使ったマザーボードは全て140W対応なので問題はない、という話であった。さすがに初期のX370とか、B350やA320などはちょっと怪しいらしいが。
なお、X570のSensiMIの機能はX470と同じで、2台以上のHDDを高速化したいとかいう場合はSensiMIではなくFuseDriveを使うしかなさそうだ。
ところでX570を使うと合計12本のUSB 3.2 Gen2のポートが利用可能になるが、これを組み合わせてUSB 3.2 Gen2x2にするといったことはサポートしていないし、今後サポートする予定もないとのこと。USB4についても「まぁそもそもまだ仕様が出ていないし」ということで、いまのところ見送りになる模様だ。
Naviについて - E3を待て
Naviについてもほとんどが「Stay Tuned」であるが、こちらは太平洋時間の6月10日午後3時から"Next Horizon Gaming"と呼ばれるイベントがあり、ここで詳細が発表される。
というわけであまり新情報はないのだが、1つだけ補足すると、Naviに採用される新アーキテクチャにである「RDNA」はゲーム向けであり、Radeon InstinctなどのGPGPUには向いていないそうだ。
したがって、GCNは引き続き残るそうで、おそらくはRDNAと並行してこちらも進化を続けることになると思われる。ただ、ゲーム向けは全部RDNAに刷新されることになるだろう。