ダイソンの「弱点」
掃除機というのは吸引力だけでなく、使い勝手や操作性、機能、メンテナンス性、さらには住居環境やライフスタイルとの相性によって、良し悪しが変わるもの。吸引力だけの評価軸では、一概に優れた掃除機かどうかを判断できません。
筆者は前モデルV10までに対して、「吸引力はスゴイけれど、ほかはイマイチ」という印象を抱いていました。しかし新モデルV11は筆者をはじめ、多くのユーザーが「物足りない」と感じていた弱点を改善していました。
注目したいのは、新たに排気フィルター背面に搭載された液晶ディスプレイです。ダイソンのコードレス掃除機はもともと、バッテリー持続時間が短いといわれてきました。そこでダイソンは、バッテリー持続時間を延ばすのではなく、液晶ディスプレイであとどのくらい掃除できるかを表示する方向に進化させました。
液晶に表示されるのは、「運転モード」「バッテリー残量」「エラー原因と解決方法」の3つ。V11は、液晶ディスプレイ下部にある銀色のボタンを押すと、運転モードを「エコ」「通常」「強」の3段階で切り替えられます。ダイソンの空気清浄機と同じく、V11の液晶はカラーでグラフィカルな表示。しっかりダイソンらしさが表現されています。
液晶ディスプレイには、そのモードでどれくらい運転できるかを秒単位で表示します。残りの運転時間を明確に把握できるため、掃除の時間配分をしやすくなり、途中でバッテリー切れになってしまう心配も解消できます。思った以上に有用でした。
この機能がスゴイのは、ヘッドやアクセサリーなど、装着されたアイテムを自動で認識できること。「V11 Absolute」には6つの交換パーツが同梱されていますが、クリーナーヘッドやミニモーターヘッドといったモーター内蔵のパーツを装着した場合と、モーターを内蔵しないパーツを装着した場合では、バッテリーの消費量が異なります。V11では、装着するパーツに応じたバッテリー残量が計算されて表示されるのです。
待ってたよ! ダイソン純正の充電スタンド
ダイソンのコードレス掃除機といえば、大型で自立できず、置き場所に困るのも難点。壁かけ式の充電ドックが付属するものの、壁に穴を開けて取り付ける必要があり、ユーザーは困りものでした。
V11では、待望といえるスタンドタイプの充電ドックを用意。ポール型スタンドに本体をセットして、充電しながら保管できます。日本メーカーでは一般的なかたちですが、ようやくダイソンも対応してくれました。もちろんダイソン純正の充電ドックですから、重厚感のあるしっかりとした造りでスタイリッシュ。自慢の掃除機をカッコよくディスプレイしておけますよ。
専用スタンドにより、パーツ交換もグッとしやすくなりました。か弱き筆者が自立できないダイソンの掃除機でパーツ交換する場合、掃除機を床に一度寝かせる必要があります。スタンドにV11を立てかければ、パーツ交換もサッとでき、重い本体をわざわざ寝かせたり起こしたりというアクションが不要になります。これがもたらす効果は想像以上に大きく、掃除時に感じる心理的・肉体的ストレスがかなり軽減されました。
ちなみに、スタンドが付属するのは「V11 Fluffy+」(税込87,480円)、「V11 Absolute」(税込99,360円)、「V11 Absolute Pro」(税込101,520円)の3モデル。ベーシックモデル「V11 Fulfy」(税込75,600円)には付属しません。「V11 Fulfy」と「V11 Fluffy+」の価格差は12,000円ほどですが、スタンドによる使い勝手の違いは大きいため、妥協せずスタンド付きのモデルを選びたいところです。
1つだけ残念なのが、充電スタンドにセットして収納できる付属品に限りがあること。パッケージ付属のクリップ「ツールクリップ」を使うと、本体パイプ、または充電スタンドのポール部分に、ノズルやブラシを最大2個までセットしておけるのですが、「V11 Absolute」だと6つの交換パーツが付属します。せっかくなら、全部セットできる仕様にしてほしかったです。
初めて「ほしい」と思った
これまでダイソンのコードレス掃除機は、ふとん掃除機として魅力を感じつつも、フローリング中心の自宅ではオーバースペックで、我が家のライフスタイルにはマッチしないと考えていました。
ですがV11はスタンド込みで、ダイソン製品で初めて「ほしい」と思いました。なによりダイソンの掃除機には、所有欲を満たす圧倒的なカッコよさもあります。操作性や使い勝手、収納のよさも進化し、吸引力以外の部分でも最強の掃除機として、歩みをさらに進めたのではないでしょうか。