• 『ストロベリーナイト・サーガ』(フジテレビ系、毎週木曜22:00~)
    5月16日放送の第6話では、民間人を突如襲った連続刺傷事件が発生。計画的犯行なのか、通り魔によるものなのか定かではないが、かつて通り魔に大切な人の命を奪われた経験のある葉山則之(葉山奨之)は、自身のつらい過去を重ねるように事件解明にのめり込んでいく。
    (写真左から)横田美紀、葉山奨之 (C)フジテレビ

――企画意図の中で、「時代背景の変化も作品の中に反映させていきたい」とコメントされていました。前作の竹内結子さんの姫川は、男社会の中で奮闘する張り詰めた雰囲気の女性だと感じたんですが、今回の姫川はそれより少し先に進んでいて、男社会の中にすでになじんでいる、それが二階堂さんだからこその姫川なのかなと感じました。やはり時代の変化を意識してのことなのでしょうか?

そうですね。ですが、やっぱり竹内結子さんとの比較ではなくて、まずは二階堂さん版の姫川玲子をどう作っていこうかを考えました。彼女の実年齢は24歳で今年25歳になるんですが、まだはつらつとしていて、少女性が残っている部分と、その一方でお芝居に入り込んでいった時の目力の強さというか、シリアスな部分とか、他のお芝居を見ていても両面性があるなと思っていて、姫川のキャラクターの中にある明と暗のギャップというかふり幅を大きく作りたいなと思ったんです。

おっしゃるように、男性社会の中に女性が1人で戦っていくというのは、警察の場で言うと当たり前で分かっているし、そこに特殊性を感じる時代でもないじゃないですか。とは言え、いまだに前時代的にそういうことに文句を言ってくる人もいる。今回でいうと岡田浩暉さんが演じる橋爪というキャラクターがそうなんですけど、そういう人物もいることが多様性の中の一部になっているというのがすごく今っぽいなと思っています。だから二階堂さんには、文句を言う人に対してちゃんと自分の信念を持って言い返せるくらいの強さやポリシーがあって、だけどちゃんと女性としても美しくあるんだと着飾ることもして、それで男社会の中で自分のポジションを保とうとしている人物にしたいと最初にお話ししました。それで二階堂さんのアイデアで髪の毛を短く切るというスタイルになったんです。

――第2話にあった、今野浩喜さん演じる井岡に姫川がスルメをおねだりする部分を見て、こういうかわいらしいキャラクターは二階堂さんだからなのかなと感じました。

姫川のキャラクター設定って重いものを背負っているので、誰もが共感できるじゃないですか。だから今回は姫川をみんなが応援していく感じを出したかったんです。そして今回の姫川は、過去をある程度乗り越えているんですね。だけど時折自分の弱い部分だったり怖い部分が頭を出してくるというか、そのたびにそれを抑えて頑張っている。バランスでいうと強い部分がベースにあるというのを意識して作っています。年上でも部下を下の名前で呼んでいるというのは、そういう意味です。菊田は自分のことを「菊田で」と言ったので菊田という呼び方になっていますが、例えば第1話の重岡大毅さん演じる大塚は、原作も前作でも「大塚」なのに、今回は「真二」と名前で呼ばせています。それは彼女がそういうコミュニケーションをすることによって距離を埋めていく、そういったポリシーをちゃんと見せられる人ということで、そう変更しているんです。

だから“スルメ”もその一環というか、井岡だからこそ見せられるフランクな部分という。あと今回、捜査会議にもってくる“おつまみシリーズ”っていうのをやろうと思っていて(笑)、普段の二階堂さんに近い明るい部分を多く出していこうかなと意識しています。

■重岡大毅に代わってムードメーカーになったのは…

――その第1話の大塚真二ですが、演じていた重岡大毅さんがすごく素晴らしくて…。前作を知っているので殉職するのは分かっていたんですが、亡くなってしまってすごく悲しかったですし、退場してしまうのはキャラクターとしてもすごくもったいない!と思ってしまいました。

本当にそうですよね、彼は本当にピッタリで…。『スターウォーズ』みたいに亡霊で現れるといいですよね(笑)

――制作発表では重岡さんのムードメーカーぶりが伝わってきましたが、重岡さんがいなくなってからの現場のムードメーカー役は誰が担っているのですか?

葉山さんが代わりに来たというわけじゃないんですけど、重岡さんが現場を賑やかにしてくれる犬キャラだとしたら、葉山さんも気が付いたら懐に飛び込んでくる犬キャラという感じなんです。葉山さんのペースにみんなが引っ張られて、それによっておじさんたちが盛り上がっている(笑)っていう現場ですね。

――渡辺さんが担当した『海月姫』は、監督が石川淳一さんで脚本も今回の第1話を担当した徳永友一さんでしたが、作風が真逆ですよね。現場の雰囲気もやっぱり変わってくるんですか?

刑事ものはチームで動いて、前室にみんながそろっている時間が長いので、やっぱり役というよりキャストの空気感で現場の雰囲気って作られていくんです。そういう意味で言うと現場は前作と引けを取らないくらいの明るさでやってますね。あと、今回のメンバーのほうがおじさんのキャストが多いので(笑)、会話の量も今回のほうが多いような気がします。宍戸(開)さんなんて、ずっとしゃべり続けてるので(笑)

  • 中林大樹(左)と葉山奨之 (C)フジテレビ

■亀梨「こんなに活躍しちゃって大丈夫?」

――菊田を演じている亀梨さんついて伺います。前半の段階ではまだメンバーとなじんでいないような印象でしたが、徐々に関係性が深まっていく描かれ方をするのでしょうか?

1話で菊田はすごく活躍して、亀梨さん自身も「1話でこんなに活躍しちゃって大丈夫なんですか?」って気にしてたんです(笑)。だけど2話以降、菊田は自分から積極的に活躍していくっていうのは実はないんですね。それは、姫川班にとって菊田の立ち位置って、姫川を含めみんなを支えていく楔(くさび)になっていくというか、主張しない楔になって存在していくようなキャラクターをイメージしているので、気が付けば菊田はなくてはならない存在という風になっていって欲しいなと思っています。そしてこれから「インビジブルレイン」のエピソードに向かっていくんですけど、そこまでの間に姫川班にとって菊田の存在が確立していくイメージで作っています。

そして、3話の終わりで半年時間が経って、葉山奨之さん演じる葉山が姫川班として合流して新しい関係性を作っていきますが、葉山と一緒に組んでその才能を最初に見抜くのが菊田だったりするので、その菊田と葉山の関係とか、葉山と姫川との関係とか、そういった移り変わりの変化、動きにも注目してもらいたいですね。

――今回個人的に一番驚いたキャスティングがガンテツを演じられる江口洋介さんでした。どんな意図があって起用されたのでしょうか?

実は原作のイメージに少し近いんですけど、元公安で情報を武器にする、ある種アウトローな刑事で、姫川に対して同じ刑事だけど敵というか脅威になっていく存在という見せ方にしたかったんですね。単純に江口さんって身長がすごく高いので、二階堂さんと比べるとすごく身長差があって、そういう物理的な威圧感も含めて、前作の武田鉄矢さんが演じたガンテツに比べると、迫力とか怖い部分が増していく存在になればいいなと思いました。また、「ブルーマーダー」という長編原作を最後に向けてやっていくんですけど、そこでガンテツの活躍があるんですね。だからそこからの逆算という意味合いもあって江口さんを起用しました。