何より望遠端200mmのズームレンズが魅力的

RX100M6の最高コマ速は、電子シャッター時に24コマ/秒。そのときに生じる動体ゆがみは、α9並みとまではいかないまでも、普通のコンデジとの比較では圧倒的に少ない。つまり、ちゃんと実用になる電子シャッターが搭載されている=実用になる24コマ/秒なのだ。コンデジとして……いや、そういうくくりを外しても、これは驚異的なスピードの持ち主であるといっていい。

でも、その設定で撮っていると、自然の成り行きとしてとんでもない枚数を撮ってしまうことになり、あとのセレクト作業が地獄の苦しみに……。そのことをRX10M4で学んでいた私は、RX100M6を24コマ/秒で使ったことはほとんどない。メカシャッターでの最高速「10コマ/秒」に抑えておくのがいつもの設定であり、RX100M6をストレスなく使いこなすコツのひとつであると考えている。

そして、電子音(シャッター音)はOFF設定がいい。そうすると、RX100M6は撮影時「チチチ……」という感じのごく小さなメカシャッター音を撮影者に感じさせつつ撮影を行うようになる。周囲に届く音量ではなく、しかし撮影者の耳には「撮ってまっせー、撮れてまっせー」のメッセージが届くという塩梅だ。そう、ここは完全な無音じゃダメなところ。絶妙である。

参考までに、RX100M6の場合は、AF追従で24コマ/秒であり10コマ/秒にもできる(最低速設定は3コマ/秒)。RX100M4は、連写時最高約5.5コマ/秒のスピードにとどまり、RX100M5AはスピードはRX100M6と同一ながらもテレ端の画角が70mm相当にとどまる。“速さ”と卓越したAFの能力を完全に引き出すことのできるバランスにおいて、現時点最も優れているのは、望遠に強いRX100M6……自然にそういう判断になった。RX100M4やRX100M5には見向きもしなかった私がRX100M6にソッコーで飛びついた理由は、まさにそこにある。

  • 焦げた醤油の香りが漂ってきそうなテレ端の描写。背景に“意味”を残すことのできるボケの大きさも、そうとわかって使うのならばちょうどいい(ISO250、1/400秒、F4.5、200mm相当)

  • ISO6400での撮影。微妙に手ブレしている可能性を排除できず、等倍時のカッチリ感に欠ける印象はそのためであるとも思われるのだけど、NR設定デフォルトにおける粒状感(ノイズ残存)はこんな感じ(ISO6400、1/20秒、F4.5、200mm相当)

  • RX100M6のAFは、動体対応の観点からも優秀なAFだといえる。夜間など暗い場所でも、被写体に適切なコントラストがあるならしくじることは少ない。測距点自動選択との相性もとてもいい感じなのだ(ISO6400、1/25秒、F4.5、-0.7補正、200mm相当)

  • 画面中央部に写っているのは、青空を駆け上るラジオゾンデ。RX100M6のAFは、測距点自動選択で、このミジンコみたいな対象をしっかり認識しピントを合わせてくれる。こういう場面でピント合わせができないコンデジやミラーレス機って、たくさんあるよね。その点、ソニーのAFは小さな対象にもけっこう強いと思う(ISO125、1/1000秒、F4.5、200mm相当)

  • ISO2000レベルなら、多くの人がムリせず納得できる高感度画質だといえるのではないだろか? 暗部への階調のつながりも悪くない。ポケットサイズのコンデジで手持ちで撮っていることを考えれば、ホメ言葉しか出てこないというのが正直なところ(ISO2000、1/60秒、F2.8、24mm相当)

  • RX100M3から搭載されたEVFは、新たにワンタッチで撮影態勢が整う作りになったのがうれしい。ただ、ポンッ!と勢いよく立ち上がるEVFユニットであるがゆえ、そこに載っている視度補正機構の設定がいざ撮影をしようとしたときにズレてしまっていることがままある点は今ひとつ。そこがRX100M6を使っていて唯一、気になるところかな(ISO125、1/800秒、F4.5、200mm相当)

ってな感じで、何でもかんでもRX100M6で済まそうとしてしている最近の私がいるワケだ。RX100M6と防水系タフネスコンデジがあれば、ゆりかごから墓場まで何でも撮れちゃうんじゃないかなどという自堕落な発想は、先取りなのか破滅への第一歩なのか。

とりあえず私は、そんな自分がちょっと心配になっているので、我が写真人生に修正舵をあてるべく、リコー「GR III」を手にリハビリを始めているところだったりもする。GR IIIの変わらぬストイックさが、機能に溺れながら楽をしようとしているカラダにピリピリ沁みるんだよねぇ。そちらについての詳細は、また別の機会に。では、今日はこの辺で。

  • 小型軽量ながらズバズバ撮れるRX100M6に大満足の表情を見せる落合カメラマン。本体エッジ部分の塗装はげがハゲしく熱烈な愛用ぶりをうかがわせる