長編動画も15秒のダイジェストに
AQUOS R3のカメラについては、受光感度を高めたイメージセンサーや、画づくりを行う画質エンジン「ProPix2」の進化など、ハード側の強化が目を引きます。AQUOS R2と同様、本体背面に動画用と静止画用のカメラユニットを別々に搭載しているところがユニークです。
画素数約12.2メガピクセルの静止画用カメラには、F1.7の明るいレンズと、1.4μmの高感度センサーを載せています。受光量が従来モデルと比べて約2.4倍にアップしているので、明るく色鮮やかでキレイな静止画を撮れるそうです。この辺は実機で試せなかったので、また機会があればトライしてみたいと思います。
20.1メガピクセルの動画撮影用カメラユニットには、高密度センサーと画角125度の超広角レンズを採用しました。イメージセンサーは、複数画素のセンサー配列を切り替えられる「Quad Bayer配列」というユニークな技術を用いています。フルHD動画を撮影するときは、4つの画素をあたかも1つの画素のようにまとめて使い、感度と明るさを確保。ノイズを押さえた臨場感ある動画を記録可能です。
4K動画撮影時は、1つの画素を1つの画素として使い、解像度の高い動画を記録します。撮影モードを切り替えたときに、画素配列を自動的にスイッチするアルゴリズムを組み込みました。このほかAQUOS R3は、AQUOS Rシリーズで初めてHDR動画(HLG方式)を撮影できるようになっています。
静止画・動画撮影時の「手ブレ」を効果的に抑えられるように、静止画では光学式手ブレ補正、動画では電子手ブレ補正を載せました。静止画撮影時は被写体のブレにも対応できるよう、一度に複数枚の静止画を撮影し、最もブレの少ないデータをベースに独自のアルゴリズム解析をかけて合成。シャープな静止画を撮影できる被写体ブレ補正も備えています。
発表会では、被写体ブレ補正の効果を実機によるデモンストレーションで紹介していました。被写体ブレ補正は、不意に動くネコなどを撮影するときに効果的なのだそうです。
AQUOS R3は、ダイジェストムービーを自動で作成する新機能「AIライブストーリー」も魅力です。動画撮影中、スマホに内蔵されているAIエンジンが被写体の構図や動き、人物の笑顔の瞬間などを判別して、見どころとなるシーンを自動抽出。撮影した動画を約15秒のダイジェストムービーに仕立てます。
スマホで撮った動画というものは、撮影したときにノリノリ気分でも、時間が経つと動画を再生するのが面倒になって、やがてスマホのストレージ内に埋没しがちです。大切な思い出を何度も見返したり、SNSで共有したりできるよう、動画の楽しみ方を改革する機能といえるでしょう。
AIライブストーリーを利用するには、動画の撮影前にAIライブストーリーの機能をオンにするだけ。動画を撮影すると、スマホにプリセットされているBGMやエフェクトを加えた3つのパターンのダイジェスト動画が自動で生成されます。4K/HDR動画撮影よりも、使う頻度が高くなりそうな機能だと思います。
エモパーも忘れずに
AQUOSシリーズのスマホが搭載するシャープ独自の人工知能「エモパー」は、バージョン10.0に進化しています。シャープのスマート家電プラットフォームである「COCORO+(ココロプラス)」に対応するエアコンや、空気清浄機、調理器具、冷蔵庫との連携が深まっています。一例として、ユーザーの行動履歴をスマホのエモパーが学習し、ユーザーが帰宅するとスマホがエアコンをつけるようオススメするといった「レコメンド機能」が強化されました。
2019年5月10日現在、シャープのスマート家電は、ジャンルによって異なるアプリで操作する仕様ですが、今後はエモパーから機器の設定や操作を一元管理できるようになると、ますます便利になりそうです。
AQUOS R3は、やみくもにスペックを高めるのではなく、ユーザーが便利に感じられる「実用性」を真摯に追求した最新スマホといえそうです。きっと使い込むほど、思いのほか画面が見やすかったり、操作がスムーズだったり、キレイな写真を撮れたりすることを実感できるのではないでしょうか。
すでにソフトバンクが取り扱いを発表しており、ドコモやauからの発売も期待されます。AQUOS Zeroのように、SIMフリースマホとしての展開にも期待したいところです。