続いてIIJmio Meetingの司会であり、広報も担当する堂前氏から、IIJが実施するDNSフィルタリングについての説明があった。このセッションを紹介する前に、筆者から現状を解説しておこう。
事の発端は、4月5日にIIJが発表した「IIJのセキュリティに関する取り組み」という文書だ。これによると、総務省の「電気通信事業におけるサイバー攻撃への適正な対処の在り方に関する研究会」を通じて整理されたサイバー攻撃対策の一環として、2019年7月1日からマルウェアによるDDoS攻撃対策としてDNSフィルタリングを行う予定である、というのだ。
この発表に対し、ネット界隈の一部からは強い反発が表明され、また一律でDNSフィルタリングをかけることを発表したIIJに対しても失望や怒りがぶつけられることになった。
IIJは日本最古のインターネットサービスプロバイダであり、インターネットの自由やネットワークの中立性を尊重してきた。たとえば特定のサービスの利用に関してパケットを使い放題にする「ゼロレーティング」について、IIJmioが導入してこなかったのは、特定サービスへの通信を優遇するのは通信の秘密を侵害したり、ネットの中立性を失う、利用者間の公平性を侵害するおそれがある、という認識からだ(IIJmio Meeting #13資料より)。
こうした背景もあって、IIJは昔気質のユーザーから支持を集めてきたわけだが、それだけに今回のDNSフィルタリングについては失望するユーザーも多かったようだ。