――今回の配信ドラマにおいて、松島さんがもっとも力を込められたシーンがあったら教えてください。
テレビシリーズのときから、僕がブレンを演じる上でずっと基本にしているのは「どんなことでも全力でマジメにやる」ってことなんです。すべてのことに全力で取り組むからこそ、ブレンの面白さが出てくるんじゃないかと……。今回、けっこうボケ倒しているシーンが多いんですけれど、役者的な目線でいうと、どこまで全力でやっていいのかな、なんて考えたりもしましたね。あまりアホなことをやりすぎて"濃い"のはどうかなあって。
テレビシリーズのときは、ブレンの出番って1話あたり1分とか2分くらいしかなかったんですね。それであんなに全力のテンションで(芝居を)やっていたから、ちょうどいい具合に薄まって、いい反響があったと思うんです。ですから、あのブレンのテンションでずっと出ずっぱりで、10分以上観続けるのはどうなんだろう、とか不安に思うこともあります。山口監督にお任せしているので、どうなっているかは実際に完成した作品を観てみないとわかりませんけれどね。うっとうしくなっているかもしれません(笑)。撮影中は、冷静にブレンのテンションを調整するなんてできませんでしたから。楽しすぎて(笑)。
――台本にない、松島さんのアドリブが飛び出したシーンなどもあったりしましたか?
いくつかありましたね。でも山口監督の「これはいいけど、これはダメ」という線引きによって、NGになる場合もありました。敵のボスがブレンに手下を差し向けて「やれい!」と命令するんですけれど、「やれいって! もう平成も終わるってのに」みたいなセリフのあとに「もうすぐ令和ですよ」って付け加えたら「それはダメです」って言われました(笑)。基準はよくわかりませんが、とりあえずなんでも言ってみて、ダメな場合は怒られるという、アドリブでセリフを言いやすい環境でしたね。
――共演者の方たちとひさびさにお会いして、どんな話をされましたか。
馬場(ふみか)ちゃんから「ブレンって、こんなキャラでしたっけ?」って言われましたよ。僕の芝居を観て「笑いをこらえきれない!」って(笑)。当時彼女は芝居を始めたばかりだったので、他のキャラがどんな風に動いていたとか、頭に入っていなかったそうなんですね。あれから年月が経って、いろんな現場を経験して、改めてブレンという役をしっかり見つめて「ええっ、そんなキャラ!?」って驚いたらしいんです。いや……僕はふつうにやってるつもりなんですけれど……(笑)。今回でようやくメディックに、私(ブレン)の全力さ加減が伝わったようです。
――馬場ふみかさんのメディック、蕨野友也さんのハートとご一緒のシーンを撮影したときのご感想をお願いします。
2年ぶりなんですけど、自分も含めてスッと入り込めました。まったくキャラが変化した印象もなくて。やっぱり、1年間テレビシリーズをやっていたことで、役が染みついているんですかね。みんな「懐かしい!」「やれてよかった」と言ってくれましたし、僕自身もうれしかったです。それぞれの印象だと、相変わらず蕨野くんはガタイがいいな、デカいなと思いました。あとメディックってあんなセクシーな格好していたんだなあと、改めて観て驚きました。あの衣装で、朝8時の番組に出ていたのかと(笑)。
――配信ドラマで気になるのは、仮面ライダーブレンがいったいどんな活躍をするか、というところですね。
それはもう、ご期待くださいとだけ言っておきましょう。以前のブレンだと、ドライブに変身する前の泊進ノ介とブレン怪人態が戦って、いい勝負をしていましたよね。つまりブレンは変身しても人間と同じくらいの強さレベルということかと(笑)。そのブレンが、ついに仮面ライダーになるわけですが、これまでのブレンと特別演じ方を変えたということではありません。僕は、この撮影に入る前日にテレビシリーズの第43、44話を観返したんです。ブレンが消滅する話です。自分が命を失う回を観てボロ泣きしましてね、ゴルドドライブに倒されたときのブレンの"思い"を大事にして、今回の"敵"との戦いのシーンに臨んだんです。
――ブレンといえば、トレードマークのメガネのほかに、ハンカチが重要なアイテムとして知られています。今回の作品にもハンカチは出てくるのでしょうか。
重要な意味合いを持って、ハンカチが使われています。テレビシリーズでブレンはハンカチをネタ的な意味でも、小道具としても大事に使ってきましたけれど、今回はこの上なくカッコいいシチュエーションでハンカチとメガネに触れています。違う種類のハンカチが2種類出てきますので、こちらも楽しみにしていただきたいです。今回は、まさにブレンの集大成のような感じで、ハンカチを噛むし、ハンカチで顔拭くし、そしてテレビシリーズで印象的だった"あのアクション"も出しました。もうブレンとしてはすべてを出しています。まあ、いろいろ止められたものもありましたが、詰め込めるだけ詰め込みました。かなり"ブレンが濃厚"なので、観られる方が疲れないといいのですが……。
――『ドライブ』の出演者やスタッフさんたちはとてもチームワークがよかったとうかがっていますが、今でもプライベートで集まったりすることはあるのですか。
年末の忘年会で、みんな集まるようにはしています。去年も集まったのですが、(竹内)涼真とかだーりお(内田理央)はスケジュールの都合で会えませんでした。まさか涼真があんなに売れるとは……(笑)。年に1回会ったとしても、そんなに"懐かしい"という気持ちにはならないんですよ。まあ、1年間ずっと一緒にやってきたというのもありますし、ふだんTwitterのやりとりでつながっていたりしますから。
――最後に、『仮面ライダーブレン』を楽しみに待っていたファンの方々に、ひとことメッセージをお願いします。
ブレンの特徴は、何かを説明するときに言葉を「3つ」重ねるところですよね。今回の『仮面ライダーブレン』では、テレビシリーズ第44話でブレンが消滅する際に「やはり私は、優秀で……、誠実で……」と、最後に言えなかった"3つ目"の言葉を聞くことができます! 全体に、シナリオを書かれた三条(陸)さんの愛がこもった作品になっています。三条さんは、今回の撮影も見に来てくださいましたからね。短編作品ではありますが、関わったみなさんの愛がすごく感じられる、自分にとって感謝の作品になりました。今は『仮面ライダージオウ』のおかげで歴代の仮面ライダーに注目が集まっていますが、『ドライブ』もまた盛り上がってほしいんです。またいつか、メディックも仮面ライダーになって、ドライブ、マッハ、チェイサー、ハート、ブレン、メディックの6人がそろって仮面ライダーに「変身」するみたいな作品が出来たら、鳥肌モノでしょう。ここでこうやって言葉にすれば、ほんとうに作られるかもしれません。『ブレン』もずっと前から言い続けていたら、実現しましたから(笑)。それでは、TTFC配信ドラマ『仮面ライダーブレン』をどうぞよろしくお願いします!
TTFCオリジナル配信ドラマ『ドライブサーガ 仮面ライダーブレン』は2019(平成31)年4月28日に第1話が配信され、2019(令和元)年5月5日に第2話が配信。まさに平成最後の仮面ライダーであり、令和最初の仮面ライダーとなる。
(C)東映特撮ファンクラブ (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映