前述の通り、中国市場には加熱式タバコはありませんが、中国は比較的喫煙者の多い国です。加えて、深センにはVape製品を製造する工場も多く、中国内ではVapeが一定のブームとなっています。

それも手伝って、今回のeCig Expoは規模を拡大。深セン会場は世界最大規模にまで拡大しています。eCig Expoは、小規模ながら上海でも開催される予定で、年2回の開催というほど、中国では大きな存在感となっています。

主力となるのはVapeです。会場には多くのVapeブランドがブースを構え、既存製品の紹介や新製品の展示を行っていました。

例えばJoyetechは、コンパクトながらハイパワーの「EXCEED GRIP」を出展。6種類のデザインバリエーションを用意し、手のひらサイズながら20Wの高出力を達成。新たなメッシュコイルも採用して吸い心地も改良しました。リキッド入りのカートリッジ(ポッド)を交換するだけですぐに利用できるほか、コイル変更も可能な通常のカートリッジも使えて、初心者も上級者も満足できる、としています。

  • EXCEED GRIP

Eleafの新製品としては、jouz Sのように平べったいスティックタイプの「iTap」を出展。ポッドシステムを採用して、出力は最大30W。コンパクトなVapeスターターキットとしてアピールしていました。

  • iTap

AspireのサブブランドであるZQは、ライターのようなサイズとスタイルの「Vi」を出展。こちらもコンパクトですが4色のカラーを用意してデザイン性を高めています。

  • Vi

面白いところでは、Asvapeの「世界初のタッチスクリーン搭載」という「Touch」が出展されていました。出力を切り替えたり、吸引時間などを表示したり、スマートフォンほどではないですが、比較的軽快に動作するタッチスクリーンを搭載しています。

  • タッチスクリーン搭載のTouchは各種の情報も表示できます

もう一つ「世界初」をアピールしていたのは、Polarnightの1664ブランド。出展されていたのは「携帯電話Vape」。指先ほどのカートリッジにUSB Type-C端子を備え、それをスマートフォンのUSB Type-C端子に接続すればVapeに早変わりする、というシロモノです。

  • スマートフォンやモバイルバッテリーに接続して吸えるVape

実のところ、機能としてはスマートフォンから電力を供給しているだけなので、モバイルバッテリーでも動作するということで、機能としては特に豊富ではありませんが、気軽に使うことができそうです。カートリッジは使い切りです。

DripArtの「LIMWELL」は、スマートフォンのタッチペンとVapeが一体化した製品。タッチペンの反対側から吸い込みつつ、タッチペンでそのままスマートフォンを操作できます。なぜかパッケージが(少し怪しい)日本語だったのですが、ブースの説明員に英語が通じなかったため、日本で販売するものかどうかは分かりませんでした。

  • タッチペン一体型のVape「LIMWELL」

会場内ではiQOS互換製品として、jouz以外にも2~3製品を見かけましたが、現時点で世界の趨勢はVape一色という感じ。Vapeは、欧州での利用が拡大し、米国やアジア、中東でも利用者が拡大しています。

  • 会場で見かけたiQOS互換製品

欧米では大型・高出力のVapeが人気ですが、アジアでは比較的コンパクトな製品が好まれるようで、各ブランドでも新製品はコンパクトサイズが多かったのが印象的です。また、初心者の増加もあるためか、ポッドを交換するだけで簡単に使えるコンパクトな製品が増えているようでした。大型サイズに比べて出力が小さいコンパクトなVapeは煙(水蒸気)の量も少ないため、日本にも向いていそうです。

日本では、こうしたブームとは異なり加熱式タバコが主流になっており、Vapeは一部個人の趣味にとどまっています。日本ではニコチンリキッドが販売できないので、より安心できる嗜好品としてのVapeが一定の評価を得られる可能性はあるでしょう。海外でも簡単に使えてスタイリッシュなデザインを意識したVapeが増えてきているのも追い風になりそうです。

その意味では、jouz Sが今夏に登場するのはいいタイミングにも思えます。eCig Expoは、世界のVape人気を目の当たりにできて、日本市場の展開も気になるイベントでした。