――『555』の共演者の方々とは、現場で交流などあったのでしょうか。

半田(健人)君、村上(幸平)君、(芳賀)優里亜、泉(政行)たちメインのキャストですでにチームができていて、みんな仲良くしていました。僕としては途中参加ですから、すでに出来ているチームの中にがっつり踏み込んでいこうとは思わなかったですね。むしろ、番組が終わった後のほうがひとりひとりと仲良くなったような印象です。村上君とは『555』の後に『メモリー・オブ・ラブ』(2004年)というドラマで共演し、4か月半くらいずっと一緒にいましたし、『イケメン新選組』(2004年)では僕が土方歳三、泉が沖田総司を演じていて、京都で仲良くなりました。

それ以来、しょっちゅうというわけではないですけれど、泉とはよく飲みに行くように。それだけに、泉が2015年に亡くなったときは辛かったですね……。あのとき、ちょうど第1回「湖畔の映画祭」という、野外で映画を観るイベントが開催されていたんです。そこで泉が出演した『グレイトフルデッド』(2014年)が上映されるというので、観に行こうとしていた最中に電話で泉の訃報を聞きました。それがきっかけで、僕は『555』関連のイベント出演を断るようになったんです。やっぱり『555』という作品は、半田君、泉、村上君の3人が軸となっているお話なので、後半から参加した僕が前に出ていくのもどうか……という思いが強くありました。それが最近になって、少し考えが変わってきたのは、僕が「仮面ライダー」のゲームで声の出演をしたり、『555』イベントに出たりすることで、多くの方たちに泉のことをずっと覚えていてほしいからなんです。いろんなきっかけで、また『555』を見返してもらって、泉の元気な姿を思い出してもらえたらうれしいですよね。

――平成仮面ライダー20作目を記念した『仮面ライダージオウ』(2018年)の企画のひとつとして、つい先ごろ「もう一度スクリーンで観たい仮面ライダー映画」の1位に『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』が輝いたと発表があったようです。原田さんが思う『仮面ライダー555』の人気の秘密は何でしょうか?

『555』のエピソードって"暗い"ですよね。どちらかというと"明るい"要素よりも暗さが目立ちます。シリーズ全体からすると異質な作品のように見えますが、僕はその暗さこそが"仮面ライダー本来の姿"だと思っています。子どものときに『555』を楽しんで観ていた人が成長し、大人になってからもう一度観ると「これってこういうことだったのか」とキャラクターそれぞれの心の動きが、昔とは違った視点で見ることが出来ると思います。ある程度大人になると、あらゆることが自由になるとは限らないとか、手ひどい挫折を味わうとか、いろんな経験をしていきますよね。そんな経験を積み重ねた後で『555』を観ると、また違った作品として映るのではないでしょうか。