新環境において、積極的にやったほうが良いことを教えてもらったが、逆にやってはいけないことには、どのようなものがあるのだろうか。松木さんは「NGなことを気にしてしまって、萎縮してしまうのが一番良くない」という。

「あまりネガティブなことを考えて、萎縮する必要はありません。逆に最初からあまり自分を大きく見せる必要もないでしょう。しばらく仕事をすると、その人の能力や仕事へのスタンスもわかってくるものです」

「前の職場では」は禁句

先述の通り、自分を理解してもらうことが大切だが、自我を通しすぎるのも禁物だ。

「時々、『前の職場ではこうだった』『私はこれで成果を上げてきた』と、自分のやり方を強調する人がいます。これまでの知見や経験は価値のあるものですが、あまり強調しすぎると『職場に馴染む気がないのでは?』と評価されてしまいます」

もし、前の職場との違いがあったとしても、自分流のやり方では何かあったときに周囲もフォローができない。自分を押し付けるのではなく、周囲と相談しながら進めていくのがベターだろう。

「馴染むというのは、親しみを持つということ。私が最初の上司に教わったのは『その土地を好きになること』で、今までたくさんの異動を経験しましたが、いつも心がけています。その土地ならではのものを知り、好きになっていけば、自然と周囲との距離も縮まりました。受け入れる側も、新しい人には早く組織に馴染んでパフォーマンスを発揮することを望んでいると考える方が自然です。そのためには、勇気をもって踏み込んでいくことが大切。その一歩が、お互いにとっていい状況を生み出せるはずです」

新しい環境に飛び込んだとき、つい縮こまってしまったり、必要以上に大きく振る舞ってしまったりすることもあるだろう。だが、自分に求められていることがわかってくれば、その必要もなくなるはずだ。そのためにも、挨拶という小さなコミュニケーションから相互理解を進めて新たな環境に馴染み、いち早く自分らしいビジネスライフを獲得してほしい。