「平成」と「令和」という2つの時代をまたぐ春ドラマが、続々とスタート。従来のリアルタイム視聴率ではなく、“視聴者満足度”を研究してきた「テレビ視聴しつ」の室長であり、テレビドラマの脚本家や監督、音楽などの制作スタッフに精通している自称ドラママニアが、過去作や放送枠の満足度に焦点をあてながらこの春注目のドラマを紹介する。

  • 『ラジエーションハウス』に出演する(左から)本田翼、窪田正孝、広瀬アリス

■あの大ヒットに服部隆之氏の音楽あり

大ヒットドラマには必ず名を連ねていると言っていいのが、窪田正孝主演『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』(フジテレビ系 8日スタート、毎週月曜21:00~)の音楽を担当する服部隆之氏。

服部氏が音楽を担当したドラマは、平成のドラマ最高視聴率42.2%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)を記録し、テレビウォッチャーが行なった満足度調査(データニュース社)でも過去最高記録4.34(5段階評価)を獲得した堺雅人主演『半沢直樹』(TBS)をはじめ、阿部寛主演『下町ロケット』(15年・18年、第1期は年間満足度トップ)、役所広司主演『陸王』(17年年間トップ)といった、池井戸潤原作×TBS日曜劇場チームでの近作。

さらに、『お金がない!』(94年、織田裕二主演)、『王様のレストラン』(95年、松本幸四郎=現・松本白鸚主演)、『のだめカンタービレ』(06年、上野樹里・玉木宏主演)、『HERO』(01年・14年木村拓哉主演、いずれもフジ)など、平成の代表作ばかり。どれも作品にマッチしたキャッチ―な楽曲ばかりで、普段そこに注目していない視聴者でも印象に残っている“音楽”があるに違いない。内容はもちろんだがどんな音楽が流れるかにも注目だ。

また、演出を手掛けるのは鈴木雅之監督。過去には『ロングバケーション』(96年、木村拓哉・山口智子主演)や、『ショムニ』(98~13年、江角マキコ主演)、服部氏ともタッグを組んだ『王様のレストラン』や『HERO』などの大ヒット作のほか、今年公開の映画『マスカレード・ホテル』のメガホンもとったヒットメーカーだ。連続ドラマは14年版『HERO』以来、約5年ぶり。真正面や真上など“シンメトリー”(左右対称)にこだわった画面演出が特徴で、今作でもどんな“画面”が見られるか楽しみ。

そして肝心の脚本は、昨年「テレビ視聴しつ」(eight社)が調査した満足度調査で、7月期トップを記録した山崎賢人主演の『グッド・ドクター』(フジ)を担当した大北はるか氏(セカンドライターとして担当)。前作同様の医療モノとなる今作で、持ち味が発揮されるに違いない。

フジテレビ×医療モノは『救命病棟24』や『白い巨塔』『医龍』『コード・ブルー』などハズレなし。どの角度から見ても満足度の高い作品になる可能性は高い。

■Pと脚本家の最強タッグ『わたし、定時で帰ります。』

『わたし、定時で帰ります。』主演の吉高由里子 (C)TBS

プロデューサーで注目したいのは、吉高由里子主演の『わたし、定時で帰ります。』(TBS系 16日スタート、毎週火曜22:00~)の新井順子氏。昨年1月期で満足度トップを記録した石原さとみ主演『アンナチュラル』や、10月期でティーンを中心に話題となった有村架純主演『中学聖日記』と、最近特に注目作が多いプロデューサーの1人だ。

また、今作には、鈴木京香主演『夜行観覧車』(13年年間満足度9位)、榮倉奈々主演『Nのために』(14年間4位)、藤原竜也主演『リバース』(17年年間2位)と、湊かなえ原作の3作品でもチームを組んだ脚本家の奥寺佐渡子氏と清水友佳子氏(清水氏は『夜行観覧車』と『リバース』のみ)が担当する。いずれの作品も年間上位に入る良作だっただけに、今回も視聴者を満足させる良作になるのではないか。