こうした変化の一方で、25年間変わらずに受け継がれているものは何か。渡邊CPは「アナウンサーたちが本当に仲が良いんですよ。それはスタッフが狙って演出していることでもなく、なれ合いでもなく、本当に腹を割ってるし、スタジオの画面に映らないところでみんなが協力しあってるし、本当に不思議なほど仲が良いんです」と、“めざましファミリー”と呼ばれるゆえんを明かす。さらに、「出演者はみんな普通の人で、実はすごい“スーパー”な人がいない。どこか足りない部分を一生懸命補い合ったりしてて、その中にゲストやマンスリープレゼンターで“スーパー”な人が来るとワーッと盛り上がるんです。それが視聴者の立場と近くて、身近でいいのかな」と、支持の理由を解釈した。
25年変わらないと言えば、番組開始当初から唯一出演を続ける、エンタメ担当の軽部アナだ。「良くも悪くも、本当にみんなの中心なんです。昔に何があったのかを全部説明できるし、いろんなところに足を運んで音楽を聴いてるし、映画も見てるし、うんちくがすごいんです。ものすごい情報量を持っていて、放送ではなかなか伝え切れないんですけど、誰かが亡くなったり、大きなニュースが動いたときのスタジオの軽部さんの短いコメントは実にまとまっているんです」と、大きな存在になっている。
“変わらないこと”は朝の番組にとって大きなことのようで、太陽をモチーフにした番組タイトルのロゴを一度リニューアルしたものの、再び復活させた経緯がある。「視聴者の人がよくおっしゃってくれるのは、『めざまし』を見ていると、『あのとき家族とケンカしたなあ』とか、昔の自分を思い出されるそうなんですよ。忙しい時間なので真剣に見ているわけでなくても、一緒に時間を過ごしていたことで記憶の断片になってるということを知って、やっぱり変えてはいけないこともあるんだと感じたんです」と、あらためて気づかされたそうだ。
■久慈アナ&井上アナは新たなステージへ
4月1日から26年目に突入するが、「来年の東京オリンピックをどう伝えるのかは、情報番組にとってすごく大事な局面になってくると思います。ラインナップの組み方もそうですけど、活躍した選手をどう伝えるのか。自国開催なので活躍していない選手も主役になれるし、その人たちをサポートする親だったり協会だったり、はたまた周りにいる人たちも主役になれる。日本全体が1つのものに向かい合うという特別な瞬間をどのように情報としてしっかり出していくのかが、大事になってくると思います」と意気込む。
現在25周年企画として、1964東京五輪聖火リレーのルートを、各地の輝いている人たちが走る「日本つながるプロジェクト」を昨年7月から1年間かけて展開しているが、この取材ノウハウが生かされる場面や、スポーツ分野での実績を誇る三宅アナ、元サッカー日本代表の父を持つ永島アナの活躍も見込まれる。
そして4月からは、久慈暁子アナを『めざましどようび』(毎週土曜6:00~)のメインキャスターに抜てき。「彼女はモデル出身で、インスタなどでも“キラキラ系”の印象がありますが、実は地味で真面目で、意外と天然だったりするんですよ(笑)。永島のように自分を出して、そんな魅力が伝わるようになればいいなと思いますし、引き続き平日も出演するので、すごい経験になると思います」と成長を見込む。さらに、久慈アナの担当していた一部を入社2年目となる井上清華アナが引き継ぐことで、「また新しい顔として成長してくれれば」と期待をかけている。
●渡邊貴
1974年生まれ、愛知県出身。早稲田大学卒業後、98年にフジテレビジョン入社。ドラマ制作、営業局をへて、『めざましテレビ』『とくダネ!』『Mr.サンデー』といった情報番組を担当、16年7月から『めざましテレビ』『めざましどようび』チーフプロデューサー(現任)。